114 / 140
閑話
114 第一王子殿下の来訪
しおりを挟む
「マ、マックス様、大変でございます!」
「なんだ?」
辺境伯会議もつつがなく終了して、ゲルハルディ辺境伯領に戻って執務をしていた俺の元に執事のヨーゼフが勢い込んでやってきた。
もともとは父上の執事だったヨーゼフだが、俺が辺境伯になったことで俺の執事になってもらった形だ。
「だ……第一王子殿下を名乗るものが領境にやってきたとの報告がっ!」
「…………またか?」
ローズマリー嬢も急にゲルハルディ領にやってきたが、王都ではアポなしで訪問するのが流行っているのか?
「いえ、どうやら先触れは出していたようですが、隣領の街道にモンスターが出現していて配送が遅れていたそうで……」
「ああ~、そういや商人からそんな報告も来てたな」
この世界のモンスターはダンジョンだけでなく、そこかしこに出現するもので、領主の仕事は領内に出現したモンスターを退治するものもある。
だが、それは自領での話で隣の領でモンスターが出現しても基本的に手を出すことは出来ないし、話を聞くしかなかったんだよな。
ちなみにダンジョン外のモンスターはダンジョンのスタンピードで溢れたモンスターが外に出て繁殖能力を獲得したものなので、攻略できなくてもダンジョンに入ってモンスターを倒す意味はある。
「というわけで、こちらが届くはずだった手紙です」
「陛下からか……嫌な予感がするな」
といってみたものの、第一王子殿下がやってきているのに読まないわけにもいかないから読むが……ふむふむ。
「どうでしたか?」
「第一王子殿下が王太子指名を受けるために辺境を巡る旅を始めるとのことだ」
「ああ、確か現王陛下も辺境を周っていたそうですね」
「ヴァイセンベルク王国の国王になるための試練みたいなものだからな」
ヴァイセンベルク王国では国王は基本的に王都から出ることはない……だからこそ、辺境の苦労を知るために国王になる前に辺境伯領を周るという試練がある。
ま、現王陛下は貴族学園在籍中に王位に就いたから、国王になってしばらくしてから行ったらしいが、その時はゲルハルディ領には来なかったはずなんだよな。
「話は聞いたわよ、マックス」
おっと、母上のお出ましだ。
一応、現在の領主は俺ってことになってるし、領民も近隣領の領主も認めているが、流石に1人……レナと2人でまわすには仕事が膨大すぎるということで、母上にも手伝ってもらっている。
え? 父上? 領主時代にもまして騎士団で訓練してますが、なにか?
「母上、第一王子殿下がこちらに向かっているらしいのですが」
「マックス、忘れているかもしれないけれど、ここも辺境伯領よ」
「そりゃ、わかってますよ。でも、普通に考えて新設の領から周ることなんてないでしょう」
「第一王子殿下はあの国王陛下の子供よ?」
「…………ああ」
ああ……うん、納得した。いや、納得しちゃダメなんだけど、国王陛下……というか、王族って基本的に王都から出ることができないから、新しいものが好きなんだよな。
特にゲルハルディ領は流行の最先端というか……ウイスキーボンボンやら、ゴールディ国からの交易品やら、色々と陛下に見せてるからなぁ。
「とりあえず、ヨーゼフは早馬を出させて、第一王子殿下をゲルハルディ邸にお通しするように伝えなさい」
「はっ!」
「マックスはレナと料理長に第一王子殿下の来訪を伝えて、準備をさせなさい!」
「母上は?」
「私? もちろん、訓練場でバカをしているクラウスの首根っこひっつかんでくるわ!」
いや~、母上は頼もしいな。
父上だったら、第一王子殿下がやってきたと聞いても、そのまま訓練を続行しそうだし、俺が伝えにいったら一緒に訓練をしようとか言い出しかねないからな。
とりあえず、俺は母上の指示通りにレナの元に……確かこの時間はアンナとカリンに勉強を教えてくれているはず。
「レナ、2人の調子はどうだい?」
「マックス様、2人とも優秀ですよ」
「お兄様っ! カリンがすごいんですのよ!」
「アンナ、淑女のふるまいを忘れてはダメだよ。……で、カリンがすごいって?」
「失礼いたしましたわ。カリンですけれど、私と同じ課題をこなしますの」
アンナとカリンは2つ違い……だけど、この年齢の2つというのは大きな違いだ。
ま、俺もそうだけどカリンも前世の記憶があるから、知識を吸収するのが早いんだろうな。
「じゃあ、アンナはカリンに負けないように頑張らないとな。それはそれとして、みんなに聞いてほしいことがあるんだ」
「どうしたんですか、マックス様?」
「じつは第一王子殿下がゲルハルディ領を訪れることになった」
「第一王子殿下が!?」
「……おうじさま」
「いついらっしゃるのですか? 準備をしなくては」
「今からだ」
「「「は?」」」
「隣領のモンスター出現で手紙が遅れててな。今は領境にいるらしい……というわけで、みんな準備をしておくように」
「「「……はい」」」
「アンナとカリンは侍女と相談して粗相のない恰好を準備しておきなさい。レナはメイド長と相談して、客室の準備を。俺は料理長と相談して今夜のメニューを考えておく」
さーて、またもや忙しくなってきたな。
「なんだ?」
辺境伯会議もつつがなく終了して、ゲルハルディ辺境伯領に戻って執務をしていた俺の元に執事のヨーゼフが勢い込んでやってきた。
もともとは父上の執事だったヨーゼフだが、俺が辺境伯になったことで俺の執事になってもらった形だ。
「だ……第一王子殿下を名乗るものが領境にやってきたとの報告がっ!」
「…………またか?」
ローズマリー嬢も急にゲルハルディ領にやってきたが、王都ではアポなしで訪問するのが流行っているのか?
「いえ、どうやら先触れは出していたようですが、隣領の街道にモンスターが出現していて配送が遅れていたそうで……」
「ああ~、そういや商人からそんな報告も来てたな」
この世界のモンスターはダンジョンだけでなく、そこかしこに出現するもので、領主の仕事は領内に出現したモンスターを退治するものもある。
だが、それは自領での話で隣の領でモンスターが出現しても基本的に手を出すことは出来ないし、話を聞くしかなかったんだよな。
ちなみにダンジョン外のモンスターはダンジョンのスタンピードで溢れたモンスターが外に出て繁殖能力を獲得したものなので、攻略できなくてもダンジョンに入ってモンスターを倒す意味はある。
「というわけで、こちらが届くはずだった手紙です」
「陛下からか……嫌な予感がするな」
といってみたものの、第一王子殿下がやってきているのに読まないわけにもいかないから読むが……ふむふむ。
「どうでしたか?」
「第一王子殿下が王太子指名を受けるために辺境を巡る旅を始めるとのことだ」
「ああ、確か現王陛下も辺境を周っていたそうですね」
「ヴァイセンベルク王国の国王になるための試練みたいなものだからな」
ヴァイセンベルク王国では国王は基本的に王都から出ることはない……だからこそ、辺境の苦労を知るために国王になる前に辺境伯領を周るという試練がある。
ま、現王陛下は貴族学園在籍中に王位に就いたから、国王になってしばらくしてから行ったらしいが、その時はゲルハルディ領には来なかったはずなんだよな。
「話は聞いたわよ、マックス」
おっと、母上のお出ましだ。
一応、現在の領主は俺ってことになってるし、領民も近隣領の領主も認めているが、流石に1人……レナと2人でまわすには仕事が膨大すぎるということで、母上にも手伝ってもらっている。
え? 父上? 領主時代にもまして騎士団で訓練してますが、なにか?
「母上、第一王子殿下がこちらに向かっているらしいのですが」
「マックス、忘れているかもしれないけれど、ここも辺境伯領よ」
「そりゃ、わかってますよ。でも、普通に考えて新設の領から周ることなんてないでしょう」
「第一王子殿下はあの国王陛下の子供よ?」
「…………ああ」
ああ……うん、納得した。いや、納得しちゃダメなんだけど、国王陛下……というか、王族って基本的に王都から出ることができないから、新しいものが好きなんだよな。
特にゲルハルディ領は流行の最先端というか……ウイスキーボンボンやら、ゴールディ国からの交易品やら、色々と陛下に見せてるからなぁ。
「とりあえず、ヨーゼフは早馬を出させて、第一王子殿下をゲルハルディ邸にお通しするように伝えなさい」
「はっ!」
「マックスはレナと料理長に第一王子殿下の来訪を伝えて、準備をさせなさい!」
「母上は?」
「私? もちろん、訓練場でバカをしているクラウスの首根っこひっつかんでくるわ!」
いや~、母上は頼もしいな。
父上だったら、第一王子殿下がやってきたと聞いても、そのまま訓練を続行しそうだし、俺が伝えにいったら一緒に訓練をしようとか言い出しかねないからな。
とりあえず、俺は母上の指示通りにレナの元に……確かこの時間はアンナとカリンに勉強を教えてくれているはず。
「レナ、2人の調子はどうだい?」
「マックス様、2人とも優秀ですよ」
「お兄様っ! カリンがすごいんですのよ!」
「アンナ、淑女のふるまいを忘れてはダメだよ。……で、カリンがすごいって?」
「失礼いたしましたわ。カリンですけれど、私と同じ課題をこなしますの」
アンナとカリンは2つ違い……だけど、この年齢の2つというのは大きな違いだ。
ま、俺もそうだけどカリンも前世の記憶があるから、知識を吸収するのが早いんだろうな。
「じゃあ、アンナはカリンに負けないように頑張らないとな。それはそれとして、みんなに聞いてほしいことがあるんだ」
「どうしたんですか、マックス様?」
「じつは第一王子殿下がゲルハルディ領を訪れることになった」
「第一王子殿下が!?」
「……おうじさま」
「いついらっしゃるのですか? 準備をしなくては」
「今からだ」
「「「は?」」」
「隣領のモンスター出現で手紙が遅れててな。今は領境にいるらしい……というわけで、みんな準備をしておくように」
「「「……はい」」」
「アンナとカリンは侍女と相談して粗相のない恰好を準備しておきなさい。レナはメイド長と相談して、客室の準備を。俺は料理長と相談して今夜のメニューを考えておく」
さーて、またもや忙しくなってきたな。
95
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる