126 / 140
貴族学園
126 結末(シャウナ男爵令息視点)
しおりを挟む
クソクソクソっ!!
ゲルハルディ伯爵子息と授業中に決闘を行ってから、既に一週間がたっているが、未だに俺を倒した時のやつの顔が頭から離れない。
しかもクソ教師と結託していたのか、騒ぎを起こした俺は当分の間、寮で謹慎させると言われ、レナ嬢の元には駆けつけられていない。
絶対に彼女は俺の助けを待っているんだ!
「カール・フォン・シャウナ、部屋の中にきちんといるか?」
「……はい」
本当なら寮なんて抜け出したいところだが、こうして抜き打ちで寮監が俺が謹慎させられている部屋にやってきては在室なのかを確認するから抜け出すこともできない。
謹慎時に在室確認が取れなかった場合は、学園からの退学も視野に入れると脅されてしまったからな。
とはいえ、親父にも俺からの手紙が届いているだろうし、そろそろ謹慎生活も終わりだろう。
「カール・フォン・シャウナ、貴様に父上からの手紙が届いている。直ぐにもタウンハウスに戻ってくるようにとのことだ」
「……タウンハウスに? 謹慎が終わって学園に通えるんじゃ?」
「謹慎は続いている。当主からの命令ゆえの緊急措置だ」
「……親父から?」
「とにかく、表にシャウナ男爵が用意した馬車がある。そこまで誘導するから暴れず、ついてこい」
寮監の言っている意味は分からないが、俺には選択肢はないようだ。
扉を開くと寮監の後ろには学園に常駐している騎士が付き従っていて、俺が暴れたとしても直ちに拘束されるだろうことが理解できた。
しかも今は授業中の時間なので、寮内には俺以外の学生はいない。
だから、たとえ暴れたとしてもゲルハルディ伯爵子息に一矢報いることもできない。
「さ、早く馬車に乗りなさい」
促されるままに、俺は馬車に乗せられる。
謹慎は専用の個室で行われていたため、寮内の自室には荷物が残ったままになっているが……なに、直ぐにでも戻ってこられるだろうし、問題はないだろう。
「バカもんがっ!!!」
タウンハウスに戻った俺を待っていたのは親父……シャウナ男爵その人だった。
親父は俺が馬車から降りるなり、御者や執事の目があるにもかかわらず俺を殴りつけてきた。
「なにするんだっ!!」
「お前がバカなことをしてくれたおかげで、シャウナ男爵領がどれだけ大変になったかわかっているのかっ!?」
「バカなこと!?」
親父がキレていることはわかるが、俺には何が何だかわからない。
「ゲルハルディ辺境伯に対して横柄な態度をとったらしいな」
「ゲルハルディ辺境伯? ゲルハルディ伯爵子息だろ?」
「学園に通っていたというのに、そんなことも知らなかったのか。かの方は、南大陸からの侵略者を退けた功績で辺境伯に任じられている」
「……ありえねえだろ、俺と同い年だぞ」
「陛下が直々に任命したことをお前ごときが有り得ぬなど言うな!」
「知らなかったのは悪かったが、親父は知ってたのかよ?」
「今は儂のことは関係がない。お前が……たかが男爵子息ごときが、国でも最高峰の貴族である辺境伯に喧嘩を売ったことが問題だと言っておるのだ」
親父は俺ばかりを責めるが、親父だってゲルハルディ伯爵子息が辺境伯になっていたなんて知らなかったはずだ。
王都に入ってからは会っていないが、領内にいた時にも親父から辺境伯の話なんて一度も聞いていないからな。
「喧嘩ったって、別に学生同士のお遊びみたいなもんだろ」
「そのお遊びで、辺境伯領との取引がなくなったんだぞ!」
「……辺境伯領じゃなくてバルディ領だろ」
「バカがっ! バルディ領の跡取り娘がゲルハルディ辺境伯の元に嫁ぐんだぞ! バルディ領はとっくにゲルハルディ辺境伯領の傘下に入っておるわっ!」
「……レナ嬢はゲルハルディ伯爵子息に脅されているんだ。俺がレナ嬢を救い出せば、ゲルハルディ家との繋がりなんて……」
「バカもんがっ!!!!」
俺の言葉を遮るように、親父の鉄拳が飛んでくる。
元・騎士、現・男爵だけあって鍛え抜かれた親父の鉄拳はかなり効く。
「……なんだよ、事実だろ。伯爵子息……辺境伯だからって傘下の令嬢を嫁にするなんて間違ってるだろ」
「だから、お前がバルディ家の婿に入るとでも? そもそも、バルディ男爵令嬢とお前に接点などないだろうに」
「……会ったことくらいはあるさ。……それに、ゲルハルディのやつがいなければ、直ぐにでも俺の魅力に気づいてくれるさ! 同じ男爵の子供なんだ、釣り合いも取れてるだろ!」
「はぁ……それなら、その夢は叶わんな」
「……どういう意味だよ」
「今日を持って、お前を勘当する! お前は男爵の子供ではなくなるから、釣り合いは取れんというわけだ!」
「…………は?」
「落ちぶれて犯罪者になられても困るからな、知り合いの騎士の家に預けることにする。農家も兼業しておるところだから、仕事には困らんぞ」
「ま……待ってくれよ」
「待たん! お前のせいでシャウナ男爵領が大変だと言ったろうが! 安心しろ、その家には引退した騎士も大勢いるからな、お前が暴れようが喚こうが、きちんと躾てもらえるぞ」
俺の抵抗もむなしく、俺は貴族学園を退学にさせられ、騎士兼農家の家に連れていかれることになった。
それ以降は剣を握ることもなく、ゲルハルディやレナ嬢に会うこともない。
暇になれば、どうしてこうなったのかと考えてしまう毎日なので、一心不乱に畑を耕す日々となった。
本当に、俺はどこで何を間違えてしまったのだろうか。
ゲルハルディ伯爵子息と授業中に決闘を行ってから、既に一週間がたっているが、未だに俺を倒した時のやつの顔が頭から離れない。
しかもクソ教師と結託していたのか、騒ぎを起こした俺は当分の間、寮で謹慎させると言われ、レナ嬢の元には駆けつけられていない。
絶対に彼女は俺の助けを待っているんだ!
「カール・フォン・シャウナ、部屋の中にきちんといるか?」
「……はい」
本当なら寮なんて抜け出したいところだが、こうして抜き打ちで寮監が俺が謹慎させられている部屋にやってきては在室なのかを確認するから抜け出すこともできない。
謹慎時に在室確認が取れなかった場合は、学園からの退学も視野に入れると脅されてしまったからな。
とはいえ、親父にも俺からの手紙が届いているだろうし、そろそろ謹慎生活も終わりだろう。
「カール・フォン・シャウナ、貴様に父上からの手紙が届いている。直ぐにもタウンハウスに戻ってくるようにとのことだ」
「……タウンハウスに? 謹慎が終わって学園に通えるんじゃ?」
「謹慎は続いている。当主からの命令ゆえの緊急措置だ」
「……親父から?」
「とにかく、表にシャウナ男爵が用意した馬車がある。そこまで誘導するから暴れず、ついてこい」
寮監の言っている意味は分からないが、俺には選択肢はないようだ。
扉を開くと寮監の後ろには学園に常駐している騎士が付き従っていて、俺が暴れたとしても直ちに拘束されるだろうことが理解できた。
しかも今は授業中の時間なので、寮内には俺以外の学生はいない。
だから、たとえ暴れたとしてもゲルハルディ伯爵子息に一矢報いることもできない。
「さ、早く馬車に乗りなさい」
促されるままに、俺は馬車に乗せられる。
謹慎は専用の個室で行われていたため、寮内の自室には荷物が残ったままになっているが……なに、直ぐにでも戻ってこられるだろうし、問題はないだろう。
「バカもんがっ!!!」
タウンハウスに戻った俺を待っていたのは親父……シャウナ男爵その人だった。
親父は俺が馬車から降りるなり、御者や執事の目があるにもかかわらず俺を殴りつけてきた。
「なにするんだっ!!」
「お前がバカなことをしてくれたおかげで、シャウナ男爵領がどれだけ大変になったかわかっているのかっ!?」
「バカなこと!?」
親父がキレていることはわかるが、俺には何が何だかわからない。
「ゲルハルディ辺境伯に対して横柄な態度をとったらしいな」
「ゲルハルディ辺境伯? ゲルハルディ伯爵子息だろ?」
「学園に通っていたというのに、そんなことも知らなかったのか。かの方は、南大陸からの侵略者を退けた功績で辺境伯に任じられている」
「……ありえねえだろ、俺と同い年だぞ」
「陛下が直々に任命したことをお前ごときが有り得ぬなど言うな!」
「知らなかったのは悪かったが、親父は知ってたのかよ?」
「今は儂のことは関係がない。お前が……たかが男爵子息ごときが、国でも最高峰の貴族である辺境伯に喧嘩を売ったことが問題だと言っておるのだ」
親父は俺ばかりを責めるが、親父だってゲルハルディ伯爵子息が辺境伯になっていたなんて知らなかったはずだ。
王都に入ってからは会っていないが、領内にいた時にも親父から辺境伯の話なんて一度も聞いていないからな。
「喧嘩ったって、別に学生同士のお遊びみたいなもんだろ」
「そのお遊びで、辺境伯領との取引がなくなったんだぞ!」
「……辺境伯領じゃなくてバルディ領だろ」
「バカがっ! バルディ領の跡取り娘がゲルハルディ辺境伯の元に嫁ぐんだぞ! バルディ領はとっくにゲルハルディ辺境伯領の傘下に入っておるわっ!」
「……レナ嬢はゲルハルディ伯爵子息に脅されているんだ。俺がレナ嬢を救い出せば、ゲルハルディ家との繋がりなんて……」
「バカもんがっ!!!!」
俺の言葉を遮るように、親父の鉄拳が飛んでくる。
元・騎士、現・男爵だけあって鍛え抜かれた親父の鉄拳はかなり効く。
「……なんだよ、事実だろ。伯爵子息……辺境伯だからって傘下の令嬢を嫁にするなんて間違ってるだろ」
「だから、お前がバルディ家の婿に入るとでも? そもそも、バルディ男爵令嬢とお前に接点などないだろうに」
「……会ったことくらいはあるさ。……それに、ゲルハルディのやつがいなければ、直ぐにでも俺の魅力に気づいてくれるさ! 同じ男爵の子供なんだ、釣り合いも取れてるだろ!」
「はぁ……それなら、その夢は叶わんな」
「……どういう意味だよ」
「今日を持って、お前を勘当する! お前は男爵の子供ではなくなるから、釣り合いは取れんというわけだ!」
「…………は?」
「落ちぶれて犯罪者になられても困るからな、知り合いの騎士の家に預けることにする。農家も兼業しておるところだから、仕事には困らんぞ」
「ま……待ってくれよ」
「待たん! お前のせいでシャウナ男爵領が大変だと言ったろうが! 安心しろ、その家には引退した騎士も大勢いるからな、お前が暴れようが喚こうが、きちんと躾てもらえるぞ」
俺の抵抗もむなしく、俺は貴族学園を退学にさせられ、騎士兼農家の家に連れていかれることになった。
それ以降は剣を握ることもなく、ゲルハルディやレナ嬢に会うこともない。
暇になれば、どうしてこうなったのかと考えてしまう毎日なので、一心不乱に畑を耕す日々となった。
本当に、俺はどこで何を間違えてしまったのだろうか。
96
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる