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「殿下、服をお贈りくださってありがとうございます」
アルウェンの部屋のテラスに作られたお茶会用の席に着き、早々にリュシアンがそう言うと、アルウェンは嬉しそうに顔をほころばせた。
柔らかくなった目が体の線をなぞっているのがわかり、リュシアンは思わず視線から逃れるように顔を逸らした。
銀糸で細かな刺繍が施されたスーツは、リュシアンの体のサイズに合っており、着心地がいい。明らかに高級品だとわかるものの、品があり派手過ぎず落ち着いていた。
王宮で行われる昼のお茶会にはちょうどよい服だ。
(正直、助かった)
一応、一通りの外出着はあるが、普段は学園と家の往復で、学園に行くときは専用の制服でいい。
リュシアンはあまり社交をしないため、服の数が少なく、王宮に来れるような服は持っていなかった。
場所と場合と時に応じてそれなりの恰好をするのは常識で、むしろリュシアンは普段、それしか意識していない。
最低限の服飾さえしていればいいという意識しかないリュシアンは、自身を飾り立てることにも興味がなく、いざとなると選べるものが非常に少なかった。
リュシアン付きの侍女からはもっと服や装飾品を増やしてほしい、飾りがいがないと言われていたが、夜会に行く頻度すら低いリュシアンにそんなに服の種類は必要ないと、とりあっていなかった。
(まさかそれがこんな形で自身に降りかかってくるとは)
服の選択肢が少ないことにこんなに困らされたこともない。
リュシアンは昼の王宮で行われるお茶会用の服、というものを持っていなかった。
お茶会の日取りはすぐだったため、急遽服を用意せねばならなくなり、正直リュシアンは困っていた。
女性のドレスほどではないが、王宮にも行けるような服となると探すのが難しい。
そんなとき、アルウェンから大量に服や装飾品が贈られてきたのである。
ネクタイピンやハンカチーフ、ネクタイにスーツ一式まで様々なものが贈られてきて困惑したものの、贈られてきた服は品がありつつ、どれも高級品とわかるものばかりだ。
王宮へ来ていくには困らないだろうというものばかりだった。
困ると同時に助かった、というのが正直なところだった。
「俺が贈ったものを着てくれたんだな」
嬉しそうに目を細めるアルウェンは、非常に落ち着いていた。
「どれもリュシアンのことを考えながら選んだ。思った通り、よく似合っている」
アルファ性が抑えられ、落ち着いているアルウェンは好青年だった。
まるで久しぶりに恋人に会うかのように顔を緩ませているが、表情を緩ませていてなお、昼の明かりの元ではその精悍な顔立ちは凛々しく見えた。
これでは女たちは放っておかないだろうとリュシアンは思う。
アメリアはエミールの婚約者候補として名が挙がっているが、実はアルウェンのほうを狙っていて、部屋の前にいたのかもしれない。
(なんか……)
隣に座る青年は王族にふさわしく着飾っている。
服をはじめとしたすべてが高級品だが、それに飲まれることもなくうまく着こなしており、彼が支配者として君臨するにふさわしい装いをしているように思えてしまう。
支配者として落ち着いて冷静で、王にふさわしいと思わせるような魅力がアルウェンにはあった。
彼を王太子として推す声が多いのもうなずけると、実際にそばにいてアルウェンも思う。
しかし、この男がどれだけ恐ろしい生き物なのかは、先ほど目にしたばかりだ。
甘やかに笑うだけの男ではないことは、よくわかっている。
(なんだろう……)
しかし、リュシアンはなぜか、この男が怖くない。
それどころか、この強い生き物のそばにいるとやはり気のせいではなく、体調がいい。
「……私にはすぎるほどの贈りものでした」
これ以上はいらないぞ、と円滑に断りを入れるためにリュシアンは微笑む。
「足りないくらいだ。すべて急ごしらえだった」
「とんでもございません。十分に素晴らしい品です」
にこ、とお互いに笑い合う。
「これからも受け取ってくれるな?」
「私にはすぎるほどの贈りものは十分でございます」
「今度また招待状を出す。そのときには必要だろう?」
(いらないって言ってるだろうが!)
何度も断っているのはわかっているはずなのに、アルウェンは何食わぬ顔で一歩も引かない。
「もっともっと、お前に似合う品がある。ああ、そうだ。今度王宮で一緒に選ぶか?」
「…………なぜですか」
思わず心の声が漏れてしまい、リュシアンは遠い眼をしてしまった。
お戯れを、と言って遠回しに逃げればよかったのだろうが、アルウェンがそれで逃がしてくれる気もしない。
言い合いに疲れたしまあいいか、とリュシアンは開き直った。
「好きな子に贈り物をするのは、当然だろう?」
アルウェンの眩しいほどの笑顔に、リュシアンは聞かなかったことにした。
出会って2回で好きだと言われても、その言葉を信じることはできない。
たとえかなり昔に出会っていて色々あったのだとしても、リュシアンにはその記憶はない。
「リュシアン、菓子は好きか?色々用意してみた。好きなものを食べてくれ」
リュシアンは改めてテーブルの上を眺めた。
お茶会用にセッティングされたテーブルには、果実や菓子が並べられている。
王宮で作られたであろう菓子はどれ見た目が鮮やかで、見るだけでも楽しめるような品ばかりだった。
様々な種類のケーキや果実が飾られ、食べるのがもったいないと思えるほどだ。
(おいしそう)
王宮の料理人が作った菓子だ。
すごいおいしいかもしれない。
そうそう王宮に来ることもないだろうし、せっかくだから食べようと思うが、好きに食べていいと言われると、どれから手を付けていいのかわからない。
リュシアンはあまり家で菓子を食べない。
というのも、ライモントには一切出されず、リュシアンには出るので、リュシアンが菓子を食べなくなった。
どれがいいかなと悩んでいると、横から強い視線を感じた。
思わず横をちらりと見やると、アルウェンが嬉しそうにリュシアンに視線を向けていた。
どんな動作も逃すまいとするかのような視線は熱がこもっていて、すこし怖い。
「あの、殿下……」
控えめな声で呼びかけると、アルウェンは満面の笑みを浮かべ、なんだ、と応じた。
「そんなに眺められては、その、食べにくいの、ですが……」
そもそも選べてもいないが、視線が強すぎて動きにくい。
見すぎだ。
リュシアンは困った末に、ティーカップを手にした。
出されているお茶は高級品なのか、ふんわりと上品な花の香りがする。
「でもな、シア。俺はお前と離れていた15年を知らないのだぞ」
ずっと見ていて、ずっとそばにいたかったのに。
熱烈な言葉にリュシアンは困ったように眉を下げた。
(15年前……)
リュシアンは3歳だ。
年齢のせいで覚えていない可能性も出てきたなとカップに視線を落とした。
「でも、殿下がお気づきになられたのは最近で」
「あのオメガのにおいが邪魔だったんだ。それがなければもっと早くシアを見つけられた」
その言葉にリュシアンは困ったようにうつむく。
リュシアンは隠されていた。
アルウェンから。
「……殿下、なぜ私は覚えていないのですか?」
リュシアンは何も覚えていない。
15年前、リュシアンが3歳のときにされたことだから覚えていないのかわからなかった。
理由がなんであれ、すこしくらい覚えていてもよさそうである。
「それは、俺がお前にひどいことをしたから」
アルウェンがそっと手を伸ばして、リュシアンの耳元にぶら下がる不似合いなピアスに触れた。
赤い眼はどこか遠いものを見るかのようで、そばにいるというのに考え込んでいるようだ。
(でも、こわくないのに?)
触れることさえためらうように、アルウェンはそれ以上手を伸ばさない。
リュシアンは最初、アルウェンが怖くなかった。
ピアスを開けて傷つけて笑っているときは怖かったが、しかし昔したというひどいことに体が反応するほどトラウマのようなものはない。
本当にひどいことをしたならそれくらいあってもいいと思うのに、リュシアンはどうしてか、アルウェンに対して怖がりきらないところがある。
(本当に怖かったら、ここまで来ていないし)
ピアスを開けて傷つけて笑っているときは怖かった、本当に。
耳は痛かったのに、しかし乞われればこうして会いに来るぐらいには怖くない。
けれどそれらを口に出しては逃げられなくなる気もして、伝えることはできなかった。
「もうしない。このピアスさえつけていてくれるなら」
頼むから、これだけは外さないでくれ、と眉根を下げて上目遣いにリュシアンの顔を覗き込むアルウェンに、リュシアンは思わず視線を向けた。
大きな犬がわざとらしく媚びるようだ。
アルウェンはわざわざ大きな体を丸めてわずかに顔を傾け、リュシアンに懇願していた。
赤い眼とあうと、アルウェンは表情を緩めて見つめる。
(……王族なのに)
アルウェンは王族である権力も使わず、リュシアンにただ懇願してくる。
リュシアンを見つめる目はとろけたようにあまく、先ほどの恐ろしさが嘘のようだ。
(……困る……)
アルウェンの顔はきれいで、そんなきれいな顔がにこにこしながらリュシアンに好かれようと微笑みかけてくるとリュシアンも悪い気はしない。
おまけにアルウェンのそばは、体調がいい。
怖い男のはずなのに、ほだされてしまいそうで、リュシアンは顔をそむけた。
「……せっかくなので、お菓子、いただきますね」
そうして話題をそらしたが、ちゃり、と耳元で音がした。
指先でピアスを弄ったアルウェンに、外すなよ、と念を押されているようで、リュシアンはそれに答えずに済むよう、ピンク色のマカロンを手にして口に放り込んだ。
久々の甘味の味と、やはり王宮の料理人の上品な味においしい、と頬をほころばせた。
そしてやはり横からものすごく視線を送ってくるアルウェンに、見すぎだ、食べづらい、と苦情を入れた。
アルウェンの部屋のテラスに作られたお茶会用の席に着き、早々にリュシアンがそう言うと、アルウェンは嬉しそうに顔をほころばせた。
柔らかくなった目が体の線をなぞっているのがわかり、リュシアンは思わず視線から逃れるように顔を逸らした。
銀糸で細かな刺繍が施されたスーツは、リュシアンの体のサイズに合っており、着心地がいい。明らかに高級品だとわかるものの、品があり派手過ぎず落ち着いていた。
王宮で行われる昼のお茶会にはちょうどよい服だ。
(正直、助かった)
一応、一通りの外出着はあるが、普段は学園と家の往復で、学園に行くときは専用の制服でいい。
リュシアンはあまり社交をしないため、服の数が少なく、王宮に来れるような服は持っていなかった。
場所と場合と時に応じてそれなりの恰好をするのは常識で、むしろリュシアンは普段、それしか意識していない。
最低限の服飾さえしていればいいという意識しかないリュシアンは、自身を飾り立てることにも興味がなく、いざとなると選べるものが非常に少なかった。
リュシアン付きの侍女からはもっと服や装飾品を増やしてほしい、飾りがいがないと言われていたが、夜会に行く頻度すら低いリュシアンにそんなに服の種類は必要ないと、とりあっていなかった。
(まさかそれがこんな形で自身に降りかかってくるとは)
服の選択肢が少ないことにこんなに困らされたこともない。
リュシアンは昼の王宮で行われるお茶会用の服、というものを持っていなかった。
お茶会の日取りはすぐだったため、急遽服を用意せねばならなくなり、正直リュシアンは困っていた。
女性のドレスほどではないが、王宮にも行けるような服となると探すのが難しい。
そんなとき、アルウェンから大量に服や装飾品が贈られてきたのである。
ネクタイピンやハンカチーフ、ネクタイにスーツ一式まで様々なものが贈られてきて困惑したものの、贈られてきた服は品がありつつ、どれも高級品とわかるものばかりだ。
王宮へ来ていくには困らないだろうというものばかりだった。
困ると同時に助かった、というのが正直なところだった。
「俺が贈ったものを着てくれたんだな」
嬉しそうに目を細めるアルウェンは、非常に落ち着いていた。
「どれもリュシアンのことを考えながら選んだ。思った通り、よく似合っている」
アルファ性が抑えられ、落ち着いているアルウェンは好青年だった。
まるで久しぶりに恋人に会うかのように顔を緩ませているが、表情を緩ませていてなお、昼の明かりの元ではその精悍な顔立ちは凛々しく見えた。
これでは女たちは放っておかないだろうとリュシアンは思う。
アメリアはエミールの婚約者候補として名が挙がっているが、実はアルウェンのほうを狙っていて、部屋の前にいたのかもしれない。
(なんか……)
隣に座る青年は王族にふさわしく着飾っている。
服をはじめとしたすべてが高級品だが、それに飲まれることもなくうまく着こなしており、彼が支配者として君臨するにふさわしい装いをしているように思えてしまう。
支配者として落ち着いて冷静で、王にふさわしいと思わせるような魅力がアルウェンにはあった。
彼を王太子として推す声が多いのもうなずけると、実際にそばにいてアルウェンも思う。
しかし、この男がどれだけ恐ろしい生き物なのかは、先ほど目にしたばかりだ。
甘やかに笑うだけの男ではないことは、よくわかっている。
(なんだろう……)
しかし、リュシアンはなぜか、この男が怖くない。
それどころか、この強い生き物のそばにいるとやはり気のせいではなく、体調がいい。
「……私にはすぎるほどの贈りものでした」
これ以上はいらないぞ、と円滑に断りを入れるためにリュシアンは微笑む。
「足りないくらいだ。すべて急ごしらえだった」
「とんでもございません。十分に素晴らしい品です」
にこ、とお互いに笑い合う。
「これからも受け取ってくれるな?」
「私にはすぎるほどの贈りものは十分でございます」
「今度また招待状を出す。そのときには必要だろう?」
(いらないって言ってるだろうが!)
何度も断っているのはわかっているはずなのに、アルウェンは何食わぬ顔で一歩も引かない。
「もっともっと、お前に似合う品がある。ああ、そうだ。今度王宮で一緒に選ぶか?」
「…………なぜですか」
思わず心の声が漏れてしまい、リュシアンは遠い眼をしてしまった。
お戯れを、と言って遠回しに逃げればよかったのだろうが、アルウェンがそれで逃がしてくれる気もしない。
言い合いに疲れたしまあいいか、とリュシアンは開き直った。
「好きな子に贈り物をするのは、当然だろう?」
アルウェンの眩しいほどの笑顔に、リュシアンは聞かなかったことにした。
出会って2回で好きだと言われても、その言葉を信じることはできない。
たとえかなり昔に出会っていて色々あったのだとしても、リュシアンにはその記憶はない。
「リュシアン、菓子は好きか?色々用意してみた。好きなものを食べてくれ」
リュシアンは改めてテーブルの上を眺めた。
お茶会用にセッティングされたテーブルには、果実や菓子が並べられている。
王宮で作られたであろう菓子はどれ見た目が鮮やかで、見るだけでも楽しめるような品ばかりだった。
様々な種類のケーキや果実が飾られ、食べるのがもったいないと思えるほどだ。
(おいしそう)
王宮の料理人が作った菓子だ。
すごいおいしいかもしれない。
そうそう王宮に来ることもないだろうし、せっかくだから食べようと思うが、好きに食べていいと言われると、どれから手を付けていいのかわからない。
リュシアンはあまり家で菓子を食べない。
というのも、ライモントには一切出されず、リュシアンには出るので、リュシアンが菓子を食べなくなった。
どれがいいかなと悩んでいると、横から強い視線を感じた。
思わず横をちらりと見やると、アルウェンが嬉しそうにリュシアンに視線を向けていた。
どんな動作も逃すまいとするかのような視線は熱がこもっていて、すこし怖い。
「あの、殿下……」
控えめな声で呼びかけると、アルウェンは満面の笑みを浮かべ、なんだ、と応じた。
「そんなに眺められては、その、食べにくいの、ですが……」
そもそも選べてもいないが、視線が強すぎて動きにくい。
見すぎだ。
リュシアンは困った末に、ティーカップを手にした。
出されているお茶は高級品なのか、ふんわりと上品な花の香りがする。
「でもな、シア。俺はお前と離れていた15年を知らないのだぞ」
ずっと見ていて、ずっとそばにいたかったのに。
熱烈な言葉にリュシアンは困ったように眉を下げた。
(15年前……)
リュシアンは3歳だ。
年齢のせいで覚えていない可能性も出てきたなとカップに視線を落とした。
「でも、殿下がお気づきになられたのは最近で」
「あのオメガのにおいが邪魔だったんだ。それがなければもっと早くシアを見つけられた」
その言葉にリュシアンは困ったようにうつむく。
リュシアンは隠されていた。
アルウェンから。
「……殿下、なぜ私は覚えていないのですか?」
リュシアンは何も覚えていない。
15年前、リュシアンが3歳のときにされたことだから覚えていないのかわからなかった。
理由がなんであれ、すこしくらい覚えていてもよさそうである。
「それは、俺がお前にひどいことをしたから」
アルウェンがそっと手を伸ばして、リュシアンの耳元にぶら下がる不似合いなピアスに触れた。
赤い眼はどこか遠いものを見るかのようで、そばにいるというのに考え込んでいるようだ。
(でも、こわくないのに?)
触れることさえためらうように、アルウェンはそれ以上手を伸ばさない。
リュシアンは最初、アルウェンが怖くなかった。
ピアスを開けて傷つけて笑っているときは怖かったが、しかし昔したというひどいことに体が反応するほどトラウマのようなものはない。
本当にひどいことをしたならそれくらいあってもいいと思うのに、リュシアンはどうしてか、アルウェンに対して怖がりきらないところがある。
(本当に怖かったら、ここまで来ていないし)
ピアスを開けて傷つけて笑っているときは怖かった、本当に。
耳は痛かったのに、しかし乞われればこうして会いに来るぐらいには怖くない。
けれどそれらを口に出しては逃げられなくなる気もして、伝えることはできなかった。
「もうしない。このピアスさえつけていてくれるなら」
頼むから、これだけは外さないでくれ、と眉根を下げて上目遣いにリュシアンの顔を覗き込むアルウェンに、リュシアンは思わず視線を向けた。
大きな犬がわざとらしく媚びるようだ。
アルウェンはわざわざ大きな体を丸めてわずかに顔を傾け、リュシアンに懇願していた。
赤い眼とあうと、アルウェンは表情を緩めて見つめる。
(……王族なのに)
アルウェンは王族である権力も使わず、リュシアンにただ懇願してくる。
リュシアンを見つめる目はとろけたようにあまく、先ほどの恐ろしさが嘘のようだ。
(……困る……)
アルウェンの顔はきれいで、そんなきれいな顔がにこにこしながらリュシアンに好かれようと微笑みかけてくるとリュシアンも悪い気はしない。
おまけにアルウェンのそばは、体調がいい。
怖い男のはずなのに、ほだされてしまいそうで、リュシアンは顔をそむけた。
「……せっかくなので、お菓子、いただきますね」
そうして話題をそらしたが、ちゃり、と耳元で音がした。
指先でピアスを弄ったアルウェンに、外すなよ、と念を押されているようで、リュシアンはそれに答えずに済むよう、ピンク色のマカロンを手にして口に放り込んだ。
久々の甘味の味と、やはり王宮の料理人の上品な味においしい、と頬をほころばせた。
そしてやはり横からものすごく視線を送ってくるアルウェンに、見すぎだ、食べづらい、と苦情を入れた。
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