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第三章 決意と変化
5:キャサリンの許婚スターリン
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キャサリンの部屋を出たリリカは、意気揚々と二階の廊下を歩いていた。
(キャサリンの言うことはもっともだわ。人は外見で判断するものではないけれど、実際に性格の良い人は外見も良い人が多い気がするわ……。きっとそれは、卑屈になっていないからではないかしら……。それもこれも、自分に自信があるから……。そうすれば、自分のことを好きになれるかもしれない……。少なくとも、卑屈になる材料は激減するわ!)
「よしっ! まずは痩せましょう!」
そうリリカが決意表明をした時、廊下から見える中庭に人の気配を感じた。
ふと目をやった先には、キャサリンの許婚であるスターリンがいる。
スターリンは、植物が多く広いレッドフィールド伯爵邸の庭が気に入っているそうだ。
キャサリンを待っている間などに、よく一人で庭の散歩をしており、リリカは度々姿を見掛けていた。
スターリンの姿を目撃したリリカは、一瞬胸がギュッと締め付けられた。
もうウィリアムが、許婚としてリリカを訪ねて来てくれることはないのだ。
「あっ……!」
少しの間スターリンを見ていたリリカは、ふと閃く。
すると次の瞬間には、リリカは走り出していた……
「ス……スターリン様!」
リリカは何とかスターリンを捕まえることが出来たが、珍しく走った為に息があがっており、すぐに話すことが出来なかった。
「やぁリリカ、久しぶりだな。そのように慌てて、一体どうしたと言うのだ?」
「ぜえ……はあ……ぜえ……はあ……」
「……呼吸が落ち着くまで待つとする」
真顔でそう言ったスターリンは、リリカの呼吸が落ち着くまでの数分間、本当にその場で何も言わずにただ待っていてくれた。
スターリンは感情が顔に出にくいタイプだが、”信用できる人物である”ということは、その真面目な態度からよくわかる。
「も……申し訳ありません。もう大丈夫です」
「そうか、それは良かった」
185㎝という高身長に、鎧の様な筋肉を備え付けているスターリンは、現在駆け出しの騎士として頑張っているらしい。
「あの、もし宜しければ、アドバイスを頂けませんか?」
「アドバイス?」
日に焼けた黒い肌に黒髪、黒眼という全体的に黒い印象のスターリンだが(服まで黒系)、対比して真っ白い白目と歯のコントラストが綺麗だった。
いつ見ても堂々としており、自信に満ち溢れていて輝いている。
リリカからしたら、キャサリンもスターリンもウィリアムも、みんないつも眩しくうつるのだった……
「あのっ、私、痩せたいのです。どうしたら良いでしょうか?」
リリカはよく一人で庭にいることが多い。
そのため、スターリンがリリカを目にすることも多く、リリカを見掛けるといつも挨拶に声を掛けてくれるのだ。
そのため、リリカはスターリンにはだいぶ慣れていた。
ウィリアムと話す時はいつも緊張していたため、リリカが唯一、全く緊張せずに話すことが出来る男性だと言っても過言ではないかもしれない。
そんなスターリンは、綺麗な白目を少し見開き、かすかに驚いた顔をしている。
「……そのままでも健康的で良いと思うのだが……」
165㎝58㎏のリリカは、キャサリンの横にいると太って見えるが実際は決して太ってはおらず、ややぽっちゃりめの体型なだけであった。
ただ、女と男で体型に対する〝普通〟の基準が異なる様に、〝ややぽっちゃり〟の基準も異なる。
リリカは女性から見れば〝ややぽっちゃり〟で済むが、男性から見れば〝ぽっちゃり〟な体型と捉える人も多い。
「私は今の自分が嫌いなのです。痩せて、自分に自信を持ちたいのです」
「……ウィリアムとの婚姻は無くなったと聞いた。次の相手を探すためか?」
「私は諦めていません! ……まだ」
リリカは威勢よく否定したものの、すぐに弱気になって下を向いてしまった。
「……スターリン様、私はこのままだと絶対に後悔します。頑張るだけ頑張ってみたいのです。卑屈な私ではなく前向きな私で、もう一度ウィリアム様にアプローチをしたいのです……」
リリカは自然と、涙が溢れて来て止まらなかった。
リリカは今初めて、自分の本当の想いを……願いを、言葉に出したのだ。
言葉にするだけで、思考の整理になる。
自分でも驚くほどに落ち着き、考えが纏まっていくのがわかった。
そしてリリカは、泣きながら笑顔を浮かべて言う……
「私はウィリアム様に……ウィリアム様から、私を選んで貰いたいのです」
(キャサリンの言うことはもっともだわ。人は外見で判断するものではないけれど、実際に性格の良い人は外見も良い人が多い気がするわ……。きっとそれは、卑屈になっていないからではないかしら……。それもこれも、自分に自信があるから……。そうすれば、自分のことを好きになれるかもしれない……。少なくとも、卑屈になる材料は激減するわ!)
「よしっ! まずは痩せましょう!」
そうリリカが決意表明をした時、廊下から見える中庭に人の気配を感じた。
ふと目をやった先には、キャサリンの許婚であるスターリンがいる。
スターリンは、植物が多く広いレッドフィールド伯爵邸の庭が気に入っているそうだ。
キャサリンを待っている間などに、よく一人で庭の散歩をしており、リリカは度々姿を見掛けていた。
スターリンの姿を目撃したリリカは、一瞬胸がギュッと締め付けられた。
もうウィリアムが、許婚としてリリカを訪ねて来てくれることはないのだ。
「あっ……!」
少しの間スターリンを見ていたリリカは、ふと閃く。
すると次の瞬間には、リリカは走り出していた……
「ス……スターリン様!」
リリカは何とかスターリンを捕まえることが出来たが、珍しく走った為に息があがっており、すぐに話すことが出来なかった。
「やぁリリカ、久しぶりだな。そのように慌てて、一体どうしたと言うのだ?」
「ぜえ……はあ……ぜえ……はあ……」
「……呼吸が落ち着くまで待つとする」
真顔でそう言ったスターリンは、リリカの呼吸が落ち着くまでの数分間、本当にその場で何も言わずにただ待っていてくれた。
スターリンは感情が顔に出にくいタイプだが、”信用できる人物である”ということは、その真面目な態度からよくわかる。
「も……申し訳ありません。もう大丈夫です」
「そうか、それは良かった」
185㎝という高身長に、鎧の様な筋肉を備え付けているスターリンは、現在駆け出しの騎士として頑張っているらしい。
「あの、もし宜しければ、アドバイスを頂けませんか?」
「アドバイス?」
日に焼けた黒い肌に黒髪、黒眼という全体的に黒い印象のスターリンだが(服まで黒系)、対比して真っ白い白目と歯のコントラストが綺麗だった。
いつ見ても堂々としており、自信に満ち溢れていて輝いている。
リリカからしたら、キャサリンもスターリンもウィリアムも、みんないつも眩しくうつるのだった……
「あのっ、私、痩せたいのです。どうしたら良いでしょうか?」
リリカはよく一人で庭にいることが多い。
そのため、スターリンがリリカを目にすることも多く、リリカを見掛けるといつも挨拶に声を掛けてくれるのだ。
そのため、リリカはスターリンにはだいぶ慣れていた。
ウィリアムと話す時はいつも緊張していたため、リリカが唯一、全く緊張せずに話すことが出来る男性だと言っても過言ではないかもしれない。
そんなスターリンは、綺麗な白目を少し見開き、かすかに驚いた顔をしている。
「……そのままでも健康的で良いと思うのだが……」
165㎝58㎏のリリカは、キャサリンの横にいると太って見えるが実際は決して太ってはおらず、ややぽっちゃりめの体型なだけであった。
ただ、女と男で体型に対する〝普通〟の基準が異なる様に、〝ややぽっちゃり〟の基準も異なる。
リリカは女性から見れば〝ややぽっちゃり〟で済むが、男性から見れば〝ぽっちゃり〟な体型と捉える人も多い。
「私は今の自分が嫌いなのです。痩せて、自分に自信を持ちたいのです」
「……ウィリアムとの婚姻は無くなったと聞いた。次の相手を探すためか?」
「私は諦めていません! ……まだ」
リリカは威勢よく否定したものの、すぐに弱気になって下を向いてしまった。
「……スターリン様、私はこのままだと絶対に後悔します。頑張るだけ頑張ってみたいのです。卑屈な私ではなく前向きな私で、もう一度ウィリアム様にアプローチをしたいのです……」
リリカは自然と、涙が溢れて来て止まらなかった。
リリカは今初めて、自分の本当の想いを……願いを、言葉に出したのだ。
言葉にするだけで、思考の整理になる。
自分でも驚くほどに落ち着き、考えが纏まっていくのがわかった。
そしてリリカは、泣きながら笑顔を浮かべて言う……
「私はウィリアム様に……ウィリアム様から、私を選んで貰いたいのです」
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