47 / 63
第六章 レッドフィールド伯爵家の嵐
4:恨めしい感情と、失踪の真相
しおりを挟む
三日後、ウィリアムとスターリンが帰国したとの知らせが入った。
「お姉様……!」
「キャサリン……!」
二人は抱き合い、泣き喚いて彼らの無事の帰国を喜んだ。
(本当ならすぐに会いに行きたいのに……)
リリカはローズを恨めしく思った。
ウィリアムにもう一度アタックしてみると決めていたのに……
そのために努力してきたのに……
渋い顔のキャサリンも、同じことを考えているのだろう。
二人の帰国と同時に、ローズが見つかった。
隣の領地の道端に座り込んでいる所を、捜索していた屋敷の使用人が見付けたのだ。
「ローズ!!! 金は!?」
「……」
ローズをリチャードの書斎に連れて来させ、使用人たちには席を外させた。
家族四人のみとなったところで、リチャードはすぐに詰め寄る。
必死の形相のリチャードに、ローズは目を合わせずにずっと下を向いている。
生気がなく、薄汚れている。
こんなローズを見るのは三人とも初めてだった。
「……ごめんなさい」
「金はどこなのだ!」
「本当にごめんなさい……」
「謝るだけではわからん! ちゃんと説明をするのだ!」
「……お金は全てなくなりました……」
一瞬時が止まった。
リチャードは椅子に倒れるように座り込み、黙り込んだ。
リリカは見かねて口を開いた。
「お母様、どういうことなのか説明して下さい」
「……」
「お母様、説明して」
キャサリンも言う。
「キャサリン……」
キャサリンの声に反応したローズは、急にキャサリンのもとへ行き、抱きつき泣き喚き出す。
「キャサリンー!!! ごめんなさい!!!!!! お母様を許して!!!」
キャサリンの顔は明らかな拒否反応を示しているが、グッと堪えているようだった。
そっとローズの身体を抱き締め、背中をさする。
「お母様、落ち着いて。何があったのか、ゆっくり話してみて?」
キャサリンは、まるで子供をあやすように優しく言う。
リリカには一切目もくれず、キャサリンしか目に入っていないローズに、リリカは少し複雑な感情を抱いてしまう。
その感情を打ち消すように、今にも気を失いそうなリチャードのそばへ行き、リリカはそっと手を握ってリチャードを励ました。
自分自信を励ますように……
「……実は、ある人とこの町を去ろうとしたの……」
魂が抜けかけていたリチャードは、急に立ち上がってローズを見た。
握るリリカの手をギュッと強く握り返しながら。
「……けれど、食事をして私が会計を済ませている間に、その人の姿が消えたの……。お金を隠していた場所に行ってみたら、全部なくなっていたの……。持ち運びやすいように変えた宝石と一緒に!私は騙されたのよ!!! あの男、許さない!!!」
ローズは怒り狂いながら大声で泣き喚いた。
リリカ達三人は全員、放心状態でその場に暫く立ち尽くしたのだった……
「お姉様……!」
「キャサリン……!」
二人は抱き合い、泣き喚いて彼らの無事の帰国を喜んだ。
(本当ならすぐに会いに行きたいのに……)
リリカはローズを恨めしく思った。
ウィリアムにもう一度アタックしてみると決めていたのに……
そのために努力してきたのに……
渋い顔のキャサリンも、同じことを考えているのだろう。
二人の帰国と同時に、ローズが見つかった。
隣の領地の道端に座り込んでいる所を、捜索していた屋敷の使用人が見付けたのだ。
「ローズ!!! 金は!?」
「……」
ローズをリチャードの書斎に連れて来させ、使用人たちには席を外させた。
家族四人のみとなったところで、リチャードはすぐに詰め寄る。
必死の形相のリチャードに、ローズは目を合わせずにずっと下を向いている。
生気がなく、薄汚れている。
こんなローズを見るのは三人とも初めてだった。
「……ごめんなさい」
「金はどこなのだ!」
「本当にごめんなさい……」
「謝るだけではわからん! ちゃんと説明をするのだ!」
「……お金は全てなくなりました……」
一瞬時が止まった。
リチャードは椅子に倒れるように座り込み、黙り込んだ。
リリカは見かねて口を開いた。
「お母様、どういうことなのか説明して下さい」
「……」
「お母様、説明して」
キャサリンも言う。
「キャサリン……」
キャサリンの声に反応したローズは、急にキャサリンのもとへ行き、抱きつき泣き喚き出す。
「キャサリンー!!! ごめんなさい!!!!!! お母様を許して!!!」
キャサリンの顔は明らかな拒否反応を示しているが、グッと堪えているようだった。
そっとローズの身体を抱き締め、背中をさする。
「お母様、落ち着いて。何があったのか、ゆっくり話してみて?」
キャサリンは、まるで子供をあやすように優しく言う。
リリカには一切目もくれず、キャサリンしか目に入っていないローズに、リリカは少し複雑な感情を抱いてしまう。
その感情を打ち消すように、今にも気を失いそうなリチャードのそばへ行き、リリカはそっと手を握ってリチャードを励ました。
自分自信を励ますように……
「……実は、ある人とこの町を去ろうとしたの……」
魂が抜けかけていたリチャードは、急に立ち上がってローズを見た。
握るリリカの手をギュッと強く握り返しながら。
「……けれど、食事をして私が会計を済ませている間に、その人の姿が消えたの……。お金を隠していた場所に行ってみたら、全部なくなっていたの……。持ち運びやすいように変えた宝石と一緒に!私は騙されたのよ!!! あの男、許さない!!!」
ローズは怒り狂いながら大声で泣き喚いた。
リリカ達三人は全員、放心状態でその場に暫く立ち尽くしたのだった……
101
あなたにおすすめの小説
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
お姉様のお下がりはもう結構です。
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
侯爵令嬢であるシャーロットには、双子の姉がいた。
慎ましやかなシャーロットとは違い、姉のアンジェリカは気に入ったモノは手に入れないと気が済まない強欲な性格の持ち主。気に入った男は家に囲い込み、毎日のように遊び呆けていた。
「王子と婚約したし、飼っていた男たちはもう要らないわ。だからシャーロットに譲ってあげる」
ある日シャーロットは、姉が屋敷で囲っていた四人の男たちを預かることになってしまう。
幼い頃から姉のお下がりをばかり受け取っていたシャーロットも、今回ばかりは怒りをあらわにする。
「お姉様、これはあんまりです!」
「これからわたくしは殿下の妻になるのよ? お古相手に構ってなんかいられないわよ」
ただでさえ今の侯爵家は経営難で家計は火の車。当主である父は姉を溺愛していて話を聞かず、シャーロットの味方になってくれる人間はいない。
しかも譲られた男たちの中にはシャーロットが一目惚れした人物もいて……。
「お前には従うが、心まで許すつもりはない」
しかしその人物であるリオンは家族を人質に取られ、侯爵家の一員であるシャーロットに激しい嫌悪感を示す。
だが姉とは正反対に真面目な彼女の生き方を見て、リオンの態度は次第に軟化していき……?
表紙:ノーコピーライトガール様より
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
【完結】あなたの瞳に映るのは
今川みらい
恋愛
命を救える筈の友を、俺は無慈悲に見捨てた。
全てはあなたを手に入れるために。
長年の片想いが、ティアラの婚約破棄をきっかけに動き出す。
★完結保証★
全19話執筆済み。4万字程度です。
前半がティアラside、後半がアイラスsideになります。
表紙画像は作中で登場するサンブリテニアです。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる