大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

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第四章 戦花の魔女

第91話 『森の魔女』ちゃん

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「そ、そういえば、私の体、早く拭いてよ」

「おっと。そうだったね」

 彼女は、思い出したように、床に置いていたタオルと桶を持ってベッドに座った。桶に入っているお湯でタオルを濡らし、「ん」と一言。それを合図に、私は、パジャマを脱いで彼女に背中を向ける。

「拭くよ」

「お願い」

 背中にタオルの感触。温かなそれが、ゆっくりと上下に動かされる。背中がスッと冷たくなり、汗のせいで感じていた気持ち悪さが、少しずつなくなっていく。

「魔女ちゃん」

「なに?」

「気を付けて」

「……私は大丈夫。それより、あなたも気を付けて」

「分かってる」

 彼女は、私の昔からの知り合いだ。私を狙っている連中が、彼女を人質にするなんてことも考えられる。まあ、情報通である彼女のことだから、狙われる前に逃げることもできそうだが。

 それからしばらくの間、私たちはお互いに何も言葉を発さなかった。私の体を拭く彼女。されるがままの私。何とも言えない不思議な空間が広がっていた。






「じゃあ、魔女ちゃん。ボクは帰るね」

「うん。ありがとう」

 彼女にお礼を言いながら、私はベッドに横になった。言いようのない疲労感が体を覆っている。もうひと眠りしておきたい。

「あ、そうだ」

 不意に、彼女が何かを思い出したような声をあげた。

「どうしたの?」

「また役所から依頼があるらしいから、そのつもりで」

「えー……。面倒」

「そんなこと言わずにさ。前みたいに、ボクの会社に役所の人が乗り込んでくるなんて御免だよ」

「むう」

 不貞腐れる私。そんな私に向かって、彼女は告げる。おそらくその言葉は、過去を忘れたい私に対する、彼女なりの配慮だったのかもしれない。

「お願い。『森の魔女』ちゃん」
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