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第8話 聖女様のターン(うざい)
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最近、ちょっとずつ異世界生活にも慣れてきた。
セナくんの教育係として王城に滞在しながら、たまにエミリアちゃんや双子くんたち、ガルドさんの子供たちとも交流して、にぎやかで楽しい毎日を過ごしている。
こんな日々がずっと続けばいいなぁ、なんてぼんやり思っていたんだけど――。
「あなたが……春野こはる?」
その声は、あまりにも冷たかった。
振り向いた先に立っていたのは、金髪巻き髪、白いドレスを着た美少女。
ぱっと見、まるで絵本の中のお姫様みたいだった。でも、その目だけは笑っていなかった。
「あっ……はい。こはるです」
とりあえずにこっと笑って返すと、彼女――リリア・セレストと名乗った聖女様は、ふん、と鼻で笑った。
「へぇ。もっと高貴な雰囲気のある方かと思ったけど。……意外と、普通なのね」
……いや、わかってます。自覚はあります。
でも、そんなにあからさまに言わなくてもいいじゃない……!
「それに、噂ほど可愛くもないわね。どこが子供に好かれるのかしら?」
う、うざい……!
心の中でそっと叫びつつ、私はなんとか笑顔を保った。
「子供たちとは、自然に仲良くなれただけですから……」
「ふぅん……まあ、どうせすぐ飽きられるでしょうね」
リリア様はわざとらしく髪をかきあげながら、私を見下ろした。
すごい、この人、マンガに出てくる嫌な令嬢そのものだ……。
「それにしても、王太子殿下も変わったわよね。こんな地味な女を気にかけるなんて」
「…………」
さすがに、ちくりと胸が痛んだ。
私だって、好きで目立ちたかったわけじゃない。子供たちが懐いてくれて、セナくんが笑ってくれて、それだけで必死だったのに。
「……すみません。ご迷惑をおかけしているなら、気をつけます」
そう答えると、リリア様は明らかに不機嫌そうに顔をしかめた。
たぶん、私がもっと反論してくると思ったんだろう。
でも、ごめんなさい。私、喧嘩売られても買えないタイプなんだよ……。
「ふん。まあ、どうでもいいわ。私は殿下に気に入られさえすればいいもの」
そんなことをつぶやきながら、リリア様はくるりと踵を返した。
その背中を見送りながら、私はふぅっと小さく息を吐いた。
……めっちゃ疲れた。
精神的にえぐられる会話って、こんなに消耗するんだ。
全身のHPがごっそり持っていかれた気分だった。
そのとき――。
「おねえちゃん、あそぼー!」
「ママー、だっこー!」
遠くから、聞き慣れた声が聞こえてきた。
見ると、エミリアちゃんに双子くんたち、ガルドさんの子供たちまで、わらわらと私に向かって駆けてきていた。
手には花やどんぐり、ぬいぐるみ……両手いっぱいにお土産を抱えて。
「わっ、ちょ、みんな、順番、順番!」
あっという間に取り囲まれ、引っ張られ、抱きつかれる。
ふわふわの耳やしっぽが顔に当たって、くすぐったい。
「おねえちゃん、だーいすき!」
「だっこ! だっこー!」
きらきらした瞳が、私をまっすぐ見つめてくる。
子供たちの体温が、重さが、真っ直ぐに伝わってきた。
――ああ、私は、これでいいんだ。
誰かと比べられる必要も、取り繕う必要もない。
この子たちが、私を選んでくれた。それがすべて。
「ふふっ、ありがとう。みんなも、大好きだよ」
そっと頭を撫でると、子供たちは嬉しそうにくすぐったがった。
その様子を、少し離れたところでリリア様が見ていた。
ぎゅっとドレスの裾を握りしめる彼女の顔は、苛立ちと焦りに満ちていた。
そして彼女は――悔しさを隠せないまま、その場を足早に去っていった。
……たぶん、これからリリア様の「うざいターン」は本格化するんだろうな。
でも、大丈夫。
私は、守りたいものを見つけたから。
子供たちの笑顔と、ぬくもりと、このあったかい日常を。
どんなにうざい嫌がらせが来たって、負けたりなんかしない。
だって――この世界で、私はちゃんと「必要とされてる」んだから。
セナくんの教育係として王城に滞在しながら、たまにエミリアちゃんや双子くんたち、ガルドさんの子供たちとも交流して、にぎやかで楽しい毎日を過ごしている。
こんな日々がずっと続けばいいなぁ、なんてぼんやり思っていたんだけど――。
「あなたが……春野こはる?」
その声は、あまりにも冷たかった。
振り向いた先に立っていたのは、金髪巻き髪、白いドレスを着た美少女。
ぱっと見、まるで絵本の中のお姫様みたいだった。でも、その目だけは笑っていなかった。
「あっ……はい。こはるです」
とりあえずにこっと笑って返すと、彼女――リリア・セレストと名乗った聖女様は、ふん、と鼻で笑った。
「へぇ。もっと高貴な雰囲気のある方かと思ったけど。……意外と、普通なのね」
……いや、わかってます。自覚はあります。
でも、そんなにあからさまに言わなくてもいいじゃない……!
「それに、噂ほど可愛くもないわね。どこが子供に好かれるのかしら?」
う、うざい……!
心の中でそっと叫びつつ、私はなんとか笑顔を保った。
「子供たちとは、自然に仲良くなれただけですから……」
「ふぅん……まあ、どうせすぐ飽きられるでしょうね」
リリア様はわざとらしく髪をかきあげながら、私を見下ろした。
すごい、この人、マンガに出てくる嫌な令嬢そのものだ……。
「それにしても、王太子殿下も変わったわよね。こんな地味な女を気にかけるなんて」
「…………」
さすがに、ちくりと胸が痛んだ。
私だって、好きで目立ちたかったわけじゃない。子供たちが懐いてくれて、セナくんが笑ってくれて、それだけで必死だったのに。
「……すみません。ご迷惑をおかけしているなら、気をつけます」
そう答えると、リリア様は明らかに不機嫌そうに顔をしかめた。
たぶん、私がもっと反論してくると思ったんだろう。
でも、ごめんなさい。私、喧嘩売られても買えないタイプなんだよ……。
「ふん。まあ、どうでもいいわ。私は殿下に気に入られさえすればいいもの」
そんなことをつぶやきながら、リリア様はくるりと踵を返した。
その背中を見送りながら、私はふぅっと小さく息を吐いた。
……めっちゃ疲れた。
精神的にえぐられる会話って、こんなに消耗するんだ。
全身のHPがごっそり持っていかれた気分だった。
そのとき――。
「おねえちゃん、あそぼー!」
「ママー、だっこー!」
遠くから、聞き慣れた声が聞こえてきた。
見ると、エミリアちゃんに双子くんたち、ガルドさんの子供たちまで、わらわらと私に向かって駆けてきていた。
手には花やどんぐり、ぬいぐるみ……両手いっぱいにお土産を抱えて。
「わっ、ちょ、みんな、順番、順番!」
あっという間に取り囲まれ、引っ張られ、抱きつかれる。
ふわふわの耳やしっぽが顔に当たって、くすぐったい。
「おねえちゃん、だーいすき!」
「だっこ! だっこー!」
きらきらした瞳が、私をまっすぐ見つめてくる。
子供たちの体温が、重さが、真っ直ぐに伝わってきた。
――ああ、私は、これでいいんだ。
誰かと比べられる必要も、取り繕う必要もない。
この子たちが、私を選んでくれた。それがすべて。
「ふふっ、ありがとう。みんなも、大好きだよ」
そっと頭を撫でると、子供たちは嬉しそうにくすぐったがった。
その様子を、少し離れたところでリリア様が見ていた。
ぎゅっとドレスの裾を握りしめる彼女の顔は、苛立ちと焦りに満ちていた。
そして彼女は――悔しさを隠せないまま、その場を足早に去っていった。
……たぶん、これからリリア様の「うざいターン」は本格化するんだろうな。
でも、大丈夫。
私は、守りたいものを見つけたから。
子供たちの笑顔と、ぬくもりと、このあったかい日常を。
どんなにうざい嫌がらせが来たって、負けたりなんかしない。
だって――この世界で、私はちゃんと「必要とされてる」んだから。
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