子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん

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第7話 獣人パパと、もふもふ子供たち

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 セナくんの教育係という肩書きが一応できたけど、正式な地位が決まるにはもう少し時間がかかるらしい。
 そんなわけで、私は王城の端っこの離れで、なんとなく暮らしている。

 正直、異世界に来てから怒涛すぎて、心が追いついてない。
 でも毎日、セナくんがきゅっと袖を掴んでくるたびに、「がんばろう」って思えるんだから、単純なものだ。

 そんな、ちょっとだけ落ち着いてきたある日。
 私が中庭でセナくんとお絵かきをしていると――。

「……なあ、あんた。コハルってやつか?」

 いきなり背後から、野太い声がかけられた。

「ひゃっ!?」

 びっくりして振り向くと、そこにいたのは――灰色の耳と尻尾を持った、大きな男の人だった。
 腕にはびっしり筋肉、顔立ちは怖いくらい精悍。ぱっと見、完全に野生の獣って感じ。

「あ、あの……どちら様で……」

「俺はガルド。獣人族の戦士だ」

 名乗ると同時に、胸をドンと叩く。
 ゴツゴツした体格に似合わず、その仕草はなんだかちょっとだけ……子供っぽかった。

「お前が、子供に好かれるって噂の女か」

 真剣な目で睨まれて、私は無意識に背筋を伸ばした。

「え、えっと、そんな大したものじゃないんですけど……」

「試させろ」

 そしてガルドさんは、突然ぱしんと手を叩いた。

 すると――。

「わー!」

「ママだー!」

「おねえちゃーん!」

 どこからともなく、小さな子供たちがわらわらと現れて、私に突撃してきた。

「うわああっ!?」

 腕に、腰に、足に、しがみつかれる。
 ふわふわの獣耳がぴこぴこ動いて、ちっちゃい尻尾がぱたぱたしてる。もはや可愛いの暴力だった。

 それにしても、人数、多くない……!?

「ガルドさん、もしかして、この子たち……」

「俺の子供たちだ。五人いる」

「ご、ごにんっ!?」

 予想の斜め上すぎた。

「おねえちゃん、だっこ!」

「おんぶー!」

「なでなでー!」

 次々にせがまれて、私はわたわたと応じた。
 抱き上げるとふわっとした匂いがして、耳を撫でると、ぴこぴこ嬉しそうに動く。
 ……癒される。

 そんな私たちを見ながら、ガルドさんは腕を組んでぼそりと呟いた。

「……お前、すごい女だな」

 その言い方が、なんというか……ちょっと拗ねたようで可愛かった。

「あの、ガルドさんも、すごいと思いますよ。こんなに元気な子たち、育てるのってすごく大変なはずです」

 そう言うと、ガルドさんは耳をぴくっと動かして、わずかに顔を赤くした。

「……べ、別に……当たり前だろ、親なんだから……」

 うわ、この人、見た目ゴリゴリなのに、めちゃくちゃ照れ屋だ。
 ギャップ萌えってこういうことか……!

「ねえ! これ見てー!」

 子供のひとりが、小さな石を私に差し出した。

「あっ、かわいいね! 大事にしてるの?」

「うんっ!」

 そんなやりとりをしていると、ガルドさんがもぞもぞと尻尾を動かして、気まずそうにこちらを見てきた。

「……こ、こはる」

「はい?」

「その……あいつらが懐きすぎたら、困るかもしれねぇけど……」

「困りませんよ?」

 即答すると、ガルドさんは耳を真っ赤にして、口をぱくぱくさせた。

「……そ、そうか……!」

 思わず、くすっと笑ってしまった。
 この人、ほんとに、見た目と中身のギャップがすごすぎる。

「それに、私も嬉しいです。……こんなに元気な子たちに囲まれるの、久しぶりだから」

「……そ、そうか。……なら、よかった」

 ガルドさんは照れ隠しみたいに腕組みし直して、そっぽを向いた。
 でも、尻尾はぴょこぴょこ動いていて、すごく分かりやすい。

 ふふっ。なんか、ちょっと、かわいいかも。

「おねえちゃん、これなーにー?」

「これ、どんぐりー!」

 子供たちは飽きることなく、私に次から次へと話しかけてくる。
 全員が笑顔で、元気いっぱいで――その中心に私がいる。

 異世界に来て、こんなふうに必要とされるなんて思わなかった。
 でも、今はただ、嬉しい。

「……その、これからも、たまに……あいつらの相手、してくれるか?」

 ガルドさんが、耳を赤くしながら、必死に言った。

「もちろんです」

 私がにっこり答えると、ガルドさんは、ぱたんと耳を伏せた。
 そして、こくんと、小さく頷いた。

 すごい、大男の戦士なのに、めちゃくちゃ可愛い。

 こうして私はまた、にぎやかで優しい居場所をひとつ、手に入れたのだった。
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