子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん

文字の大きさ
6 / 20

第6話 王子の隠し子に懐かれてしまった

 ふわふわの髪。小さな手。頼るような、怯えるような瞳。
 目の前のセナくんは、まるで小動物みたいだった。

 私が優しく頭を撫でると、セナくんは最初こそぴくりと肩をすくめたけど、すぐに目を細めた。
 その表情があんまりにも可愛くて、私は自然に微笑んでしまった。

「セナくん、怖いこと、ないからね。……一緒に、遊ぼうか?」

 するとセナくんは、ほんの少し首をかしげたあと、ぎゅっと私のスカートの端を握りしめた。

 ……これ、たぶん、「うん」って意味だよね?

 手探りで手を取ってみると、セナくんはちょっとだけびくっとしたけれど、逃げはしなかった。
 きゅっと握り返してくる小さな手に、私の胸がまた温かくなる。

「ふふっ……じゃあ、何して遊ぼうか」

 そう言いながら、私はかばんの中を探った。森で拾ったとき、何か子供が喜びそうなもの……って思って、ハンカチに動物の刺繍をしていたのを思い出した。

 取り出してセナくんに見せると、彼はぱぁっと顔を輝かせた。

「これ、うさぎさんだよ。セナくん、好き?」

 こくり。
 うんうんと、小さく何度も頷く。

 ああ、なんだ、こんなに素直で、こんなに可愛いのに。どうして誰も、この子をちゃんと受け止めてあげられなかったんだろう。

 私はそっと、刺繍ハンカチをセナくんの手に握らせた。

「これ、セナくんにあげる」

「……いいの?」

 初めて、彼が小さな声で呟いた。
 その言葉に、私は心の中でガッツポーズしたいくらい感動した。

「もちろんだよ。セナくんが大事にしてくれるなら、私もすごく嬉しいな」

 セナくんは、ぎゅっとハンカチを抱きしめて、にこぉ……と小さく笑った。
 その笑顔に、私は思わず涙ぐみそうになった。

 ――そこへ、扉の向こうから誰かが入ってきた。

「……どうだ?」

 低い声。振り向くと、王太子・シリル様が立っていた。

 セナくんは一瞬、びくっとした。けれど、すぐに私の後ろに隠れた。
 それを見て、シリル様の表情が、わずかに揺らいだ。

「……驚いたな。ここまで早く、心を開くとは」

「えっと、私は何も……ただ、普通に接しただけで」

 慌てて手を振る私に、シリル様は静かに言った。

「その普通を、できる者がいないのだ」

 ……その言葉が、どこか悲しそうに聞こえた。

 たぶん、セナくんは、ここでずっと孤独だったんだ。
 王族だからって、愛情をたっぷり注がれるわけじゃない。むしろ、立場のせいで誰にも心を許せなかったのかもしれない。

「春野こはる。……改めて頼みたい」

「はい……?」

「セナの、教育係になれ」

 またその話!? いや、前も言われたけど! 
 さすがに即答できなくて戸惑っていたら――

「……おねえしゃん」

 セナくんが、袖をぎゅっと握ってきた。

 見上げる顔には、不安と期待が入り混じった色。
 こんな目で見つめられたら、もう、断れるわけがない。

「……はい。できる限り、頑張ります」

 覚悟を決めて答えると、セナくんはまた、ぱぁっと笑った。
 その笑顔は、宝石みたいにきらきらしていて、私の胸をまっすぐ撃ち抜いた。

「ふん。……どうやら、セナは貴様を選んだようだな」

 シリル様が、ほんのわずかに、口元を緩めた。
 普段は冷徹そうな彼の、珍しい表情だった。

 私はただの普通のOL。
 でも今、確かにこの異世界で、私にしかできない役割ができた。

 そう思ったら、少しだけ誇らしくなった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜

恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。 だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。 自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。 しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で…… ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています ※完結まで毎日投稿します

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜

蝋梅
恋愛
 仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。 短編ではありませんが短めです。 別視点あり