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コヨタ

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第17話 今度の任務はオバケ退治

第17話・3 ついに出た!!

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 キイの瞬きのタイミング、言葉の選び方、抑揚。
 どこか、自然さ。

 何かを、隠している……?

 しかし今は、それを問い詰める時ではない。

 セセラこそ作り笑いのまま、優しく告げた。

「ありがとね~駿河くん。……オバケみたいな龍、なんてねえ。さてさて、いよいよ校内の調査に移るとしますかぁ~」

「……あ、いえ……よろしくお願いします」

 キイはペコリと一行にお辞儀をすると、静かに退室していく。

 それが合図かのように、調査開始の時が近付いていた。

 セセラは腕時計を確認しながら声をかける。

「よし……そろそろ始めるか。お前ら、準備いいか?」

 その言葉にレイラ、アシュラ、ラショウが頷く。

 ──が、ひとり返事が無い。

 ベッドに視線を向けると、いつの間にか寝転んで布団まで被っている奴がいた。

「……オレ……今日、無理かも……」

 声だけが掠れた調子で聞こえてくる。
 そう、リルだ。

「さっきから寒気が……あと、微熱……あと……動悸と息切れと……」

「…………」

 無表情でベッドに歩み寄るセセラ。レイラは既に笑いを堪えながら顔を背けている。

 そして──。
 セセラ、布団をバサッと捲って一言。

「顔色は最初から悪いし、熱もェし、その息切れは嘘ついてるからだよバカ」

「……ッッッ」

 バレた! ……という顔のリル。

 シエリは事務椅子に座りながらクスクスと笑う。

 するとラショウがそっと肩を撫でるようにして──。

「リルくん、がんばろう? もしオバケが出ても……私たち、ついてるから」

「だからそのオバケって言い方やめろ!!」

 保健室内が一瞬で爆笑に包まれる。
 もはや仮病すら通用しないことを悟ったリル、項垂れて起き上がる。

 そして、いよいよ校内調査スタート。

 ──まずは校内の廊下。

 目立たないように行動しろというセセラの指示を胸に、4人は静かに校舎を探索し始める。

 だが、問題は“目立たないようにしても目立ってしまう”ということだった。

 教室の窓越し、生徒たちの視線が一斉に。

「……え、あの子たち誰? え、なんかかっこよくない??」

「セーラー服、あんなに似合う人間いたんだ……!」

「あっちの白髪の人ヤバくない!? あれ地上にいたの!?」

 中でもアシュラは、完全に校内王子様状態だった。

 そんな中、廊下の奥で──。

「きゃっ!」

 大きめな荷物を抱えた女子生徒のひとりが、階段の縁で足を滑らせ転倒しかけた瞬間。

「!」

 アシュラがすかさず駆け、女子生徒の体を片手で支える。

「大丈夫?」

「は、は、はい……っ……」

「……良かった。荷物、重そうだね。気をつけて……。俺が持とうか?」

「ぃ、いえ、お気遣い無くぅ……っ……!!」

 廊下がざわめく。拍手すら起こりそうな勢いだった。

 アシュラはそのまま笑顔で礼を返し、レイラたちの元へ戻っていく。

「アシュ……めっちゃ目立ってるって……」

「兄様……でも、かっこよかったな……」

「ベタすぎるだろ……」

 その頃──。

 校舎の影から、観測用端末を手にしながらレイラたちの様子を静かに監視する人物がいた。

 それは──先程の男子生徒、キイだ。

「…………」

(……さて、戦いに不向きな環境で、キミたちはどう動く?)

 広いがある意味狭く、制限があり、一般人の目もある学校という空間。

 だからこそ、価値がある。
 試す意味がある。

 ──校庭の奥、物置裏の影に、何かが微かに揺れた。


 ◇


 夕刻。
 下校時間が近づき、校舎は次第に静かになり始めていく。

 グラウンドでは部活動の掛け声が響き、廊下にはまだ残る昼の熱気がじんわりと漂っている。

 そんな中、レイラはひとり、渡り廊下の影に立っていた。
 風が通る、静かな場所。制服の裾がそよそよと揺れている。

 そのとき──。

「……紫苑さん」

 後ろからそっと声をかけてきたのは、キイ。

 黒髪が風に揺れ、穏やかな瞳でレイラを見つめている。

「……キイくん……?」

 レイラが振り返ると、少しだけ眉を下げるようにしてキイが問う。

「すみません……突然。あの……龍って、何なのでしょうか」

「……?」

 その唐突な問いに、レイラは一瞬だけ言葉に詰まる。

(……何なのか、なんて……)

 視線を落とし、少しだけ悩んでから、静かに答えた。

「……よくわからない。だから“龍”って呼ぶんだって。正体がわからないし、危険な個体もいるから、調査しなきゃいけないんだって」

 真剣に頷くキイ。
 そして──。

「……怖くないの?」

「……!」

 レイラは目を見開き、そして、ふっと笑う。

「……怖いよ。でも、頑張るしかないから。皆が危ない目に合わないようにするためにも……」

 それはとても柔らかく、あたたかい笑顔だった。

 キイは、心の中でぽつりと呟く。

(……優しいな)

 今、自分の目の前にいるこの女の子は、どんな不安や痛みを抱えても誰かを守ろうとする。

 ……思っていたより、

 ずっと、まっすぐな人間……。

「……っ……」

 キイは少しだけ頬を紅潮させながら続けた。

「すごいですね、紫苑さん……。変な話だけど、ボク……今回のことで、龍に興味が湧いちゃって。もっと色々、聞きたいなって……」

「……え! そ、そんな、変、だなんて……!」

 レイラは嬉しそうに笑って、手を振る。

「……うん! あ、それじゃ……レイラでいいよ。敬語禁止! ふふふっ」

 キイも小さく笑った。

「……ふふ、……よろしく、レイラ……照れるな……」

 この空間だけ、まだ戦場じゃない。
 ごく普通の、学生同士のような穏やかな時間が流れていた。


 ◇


 保健室内モニター室(仮)。
 シエリとセセラは、レイラたちの中継小型カメラと、校内に設置されたカメラが繋がれたPCのモニターを見つめていた。

 モニターA:レイラとキイ。
 モニターB:ラショウが校舎裏で猫を見つけて微笑んでいる。
 モニターC:アシュラが廊下ですれ違う女子にペコリと会釈して騒ぎを生んでいる。
 モニターD:リルが物陰にしゃがみこんで気配を消す訓練中。

 セセラは缶コーヒーを片手にため息。

「……何も起きねえな」

 シエリがそっけなく。

「今のうちは、ね。夜が本番」

「……つーかさ……アシュラ、目立ちすぎじゃね?」

「リルは……あの様子、ちょっと予想外だったね」

「俺も寝ていいか?」

「ダメ」

 静かで、どこかのどか。
 ──だが、それは嵐の前の静けさだった。

 校舎内でざわめきは続く。

「ねぇ! やっぱさっきの人、超イケメンだったよね!? 名前なんだっけ?」

「アシュラって名前でしょ? 西城って名字だって~!」

「ちょっと妹ちゃんも可愛すぎない!? モデルなの!?」

「レイラちゃんも可愛いよね!」

「リルって人顔色悪くない?」

 噂は校内に広まり、レイラたちは思った以上に目立っていた。

 ──そして、夕陽が沈み始める頃。

 校庭の隅。
 誰もいない倉庫裏。

 一際冷たい風が、スッと通り抜ける。

 “それ”は、まだ気配だけを残していた。


 ◇


 空の色が橙から群青へと変わる。
 完全下校時刻のチャイムが、校舎にゆっくりと鳴り響いていた。

 校内では部活終わりの多数の生徒たちが廊下を走り、靴箱へと向かう中──誰にも知られず、“それ”がついに動き出す。

 場所は体育館裏。

 が、ふわりと風に舞ったかのように現れる。

 その姿は、まるで人魂か霊布。

 だが、それは間違いなく“龍”だった。

 透明感のある白い体躯、存在感を持たない気配。

 だが、急に目の前に現れたかと思えば──。

 ──スッ……

 瞬きの間に姿を掻き消す。
 正確には、高速で移動しているだけ。

 それは見えないのではなく、目が追いつかないのだ。

 そして──校舎2階の廊下。

「……あれ?」

 女子生徒がひとり、窓の鍵を閉めながら独り言を呟いた。

「……今、誰か通っ──」

 ──ヒュッ……

 白い影が、その肩に触れる。

 そして。

「…………ぁ゙」

 その瞳が、虚ろに染まる。

「…………お゙……ぁ゙…………」

 すぐ近くの廊下を歩いていたレイラたちに、突如としてその女子生徒が突進してきた。

「──ッ!?」

「危ない!」

 アシュラが即座に制止し、ラショウが距離を取り、レイラがその生徒の様子を確認しようとする──。

 が、次の瞬間。

 また別の生徒が、明らかにような挙動で階段から現れた──。


 ◇
 

 保健室のPCモニターの映像に映る、次々と様子のおかしくなる生徒たち。

「…………!?」

 セセラはすぐにレイラたちに無線で指示を飛ばす。

「──全員、保健室に戻れ。繰り返す、全員保健室に戻れ。既に複数名の生徒が干渉を受けてる。武器を持ってから再展開するぞ」

 同時に、放送室へ移動していたシエリが校内放送のマイクに向かい、冷静な声で伝えた。

『生徒諸君へ。シエリちゃん先生だ。現在、学内で異常が発生している。下校可能な者は速やかに帰宅しなさい』

 校舎内のざわめきの質が変わる。
 ざわざわから悲鳴混じりのヒリヒリへ。

 セセラは小さく呟いた。

「……本体はまだ捕らえられてねえ……。でも、生徒に触れて、精神を乗っ取ってる。このままだと龍を追いたくても、生徒が邪魔してくるぞ……」

 無線を確かに聞いたアシュラは、考え込むように──。

「……一般の人を傷つけるわけにはいかないしな……」

 ラショウとレイラがそれに続けた。

「……鎮静させる術が、あるといいんだけど……」

「……く、……あの子たちは、何も悪くないのに……」

 その中で。

「…………」

 リルだけは、めちゃくちゃ震えている。

「これ……マジで……オバケだろ……!? いや、今の絶対オバケの仕業だったって……!!」

 その恐怖の純度は、誰よりも高く反応していた。


 ◇


 一行は保健室へと戻っていく。

 室内のカーテンをくぐると、それぞれの武器が丁寧にケースに収められて並んでいた。

 レイラは深く息を吐いてからブレードを手に取る。

 アシュラは無言で刀を腰に。
 ラショウは2本の短剣を腰に収め、表情を引き締めた。

 リルは、念の為今日は龍化をしないようにと指示を受けている。
 代わりに鞘ごと支給された爪型の武具。それを睨みながら呟く。

「……出たくねえけど……、出ねえと、あいつらが傷つくんだろ……」

 自分の体が震えているのを、今だけは責めない。
 ただ、恐怖の中でも一歩、足を踏み出そうとしていた。

 するとレイラが小さく笑って、リルへと声をかける。

「……行こう、リル」

 リルも、震えながら頷いた。

「……オバケ、ぶっ飛ばす……」

 ──夕闇が、ついに夜へと染まり始めた。

 “それ”は、まだ姿を現していない。


 ◇

 ──陽は完全に落ち、時刻は夜。

 校舎は、薄暗い非常灯と月明かりだけに照らされている。
 どこか静まり返った学内を、4人の影が進んでいた。

 レイラは目を細め、手にした剣の柄を握りしめる。

 アシュラとラショウは背を預け合うように警戒しながら、リルはその少し後ろ──爪型の武器を構えるでもなく、そわそわと周囲を伺っていた。

 リルの腰には、“龍化の代替”として支給された黒い爪型の武具。

 ──しかし。

「……はあ、はあ、……やだ、やっぱり嫌だ……絶対オバケ出るだろ今のこの雰囲気……」

 ぶつぶつと弱音が止まらない。

 そんなリルに、ラショウは苦笑しながら小さく話しかける。

「リルくん、頑張って。ちゃんと私たちがついてるから……」

「うぅ……ラショウ…………お前が癒してくれるのが救いかもしれねえ……」

 レイラが真顔で。

「……この状況で癒し、は……ちょっと違うかも……」

 しかしそのやり取りの中で、アシュラは冷静に後ろを確認しながら注意を促す。

「もし接触戦闘になった場合は、なるべく拘束・気絶で対応。無用な損傷は厳禁だ。相手は無関係な一般の人だからな」

 その直後だった。

 ──カタッ……

 ──カタカタ……カタンッ……

 階段の奥、昇降口から聞こえる乾いた物音。

「……!!」

 振り向いた瞬間──。

 非常灯の奥から、“何か”がゆっくりと這い出してくる。

 をされた生徒。
 服は乱れ、呻き声を上げながら手足を引きずるような動き──。

「っっっっっっ!!!????」

 リル、その場で硬直。

 ──そして。

「ぎゃあ゙あ゙あ゙ああああああ!!!!」

 盛大に叫び、レイラの背中にしがみついた。

「うわ!!? り、リル!?」

「オバケ!! 出た! オバケきた!!! オバケだってこれ!! もう絶対やだ!!!」

「う、うるさい!! 背中引っ張らないで!!」

 レイラの背後でパニック状態のリル。

「り、リルくんっ、声大きい……!!」

「精神干渉濃度が高い……! くるぞ!!」

 その“生徒”が叫び声も無く突然加速し、一直線にレイラたちに向かって突進してくる。

「ッ!!」

 ラショウが咄嗟に短剣の柄で牽制。
 アシュラは壁を背に回り込みながら、制圧体勢を整える。

「リルどいて!! ……ッ、制圧する!」

「レイラ……! 傷つけずに止めるぞ!」

 レイラとアシュラが連携し、武器を取らず体術のみで見事に制圧。

「…………うぁ゙あ゙…………」

 布のような質感だった“何か”が、その生徒の目元から剥がれ落ちるように風と消える。

 だが、それも束の間──。

「う、うしろッうっうしろうううしろにいいいぃぃぃッ!!!」

 再びリルの絶叫。

 もうひとり──別の生徒が今度は天井からぶら下がるような形で現れていた。

 その姿に、レイラも少し引く。

「ちょっ……演出がホラーすぎるんだけど……!」

「演出じゃない……! あれ、龍の力による身体能力の操作か……!」

「……リルくん、泣かないで……!」

「ムリ!! 涙と鼻水が止まんねえ!! 怖い怖い怖い怖い!!!」

 直後。『──おい』と、セセラの無線が飛ぶ。
 その無線の音にすら「ぎゃああっ!!」と飛び跳ねるリル。

 普段のリルとはかけ離れたその様子に、若干笑いを堪えているような無線越しのセセラの声音。

『あー、見てるぞ。どこが龍化禁止だよ、龍化よりお前のテンパり具合の方が危険じゃねえの……ふふふ……!』

 シエリも続けて無線を飛ばした。

『でも……おかげで反応は明確。は既に出現している。深追いは避けて、慎重に包囲するんだ』

 レイラたちは頷く。

 だがその横で、リルだけはグズグズに震えていた。

「マジで無理……!! ……なぁ……なんでお前ら怖くねえの……? 無理だって……ううぅっ……」



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