77 / 133
第18話 過酷?な訓練
第18話・1 準完全龍化、再び
しおりを挟む
ある日の機関。
午前の白い廊下に、忙しない足音と書類のやり取り。
いつもと変わらぬ日常のようでいて、どこか張りつめた空気もある施設内。
その片隅、休憩ラウンジ。
機関の騒がしさとは裏腹に、怠そうにソファに寝転がっていたのは──リル。
片手にジュース、片足はソファから投げ出し、瞼は半分。
明らかに『午前中は完全に仕事スイッチ切ってます』な態度。
「……ふぁあ……」
(ねむ……。午後から任務っつっても、アレだろ。なんか、小動物みてぇな奴……)
先程任務ブリーフィングで確認した対象は、リルにとっては完全に物足りないくらいの低危険度龍個体。
「……なんでオレが……」
小さくぼやいた瞬間、ラウンジの扉が開く。
「よお、午後からよろしくな」
煙草を咥えながら入ってきたのは、すっかり常連となったセセラだった。
白衣のポケットからライターを取り出しつつ、いつも通りの気怠げな動きで窓際に腰掛ける。
リルは胡散臭そうに細目を向けた。
「……随分ラクそうな任務組まれたんだけど、何か裏があったりしねえよな?」
一瞬、煙草に火をつける手が止まる。
セセラは視線だけリルに向けて、「……んー、まあ……」と軽く唸った。
「機関として“試したいこと”があってな」
「……あー、オレを使って実験したいことがあるってことね」
長年この施設にいるだけあって変に勘が鋭い。
天井を仰いで、リルはため息を吐く。
「はぁ……またかよ」
セセラはくゆらせた煙を遠くに吹きながら、ふっと口元だけで笑った。
そして、軽い調子で言い放つ。
「お前、この前の。あれ。『準完全龍化』ってやつ。あれ今日やってくれ」
「…………」
──沈黙。
リルの体が、固まった。
「はあ!?」
思わず立ち上がると同時、不意に声が張り上がる。
目を見開いて、まるで今、虫でも踏んだかのような顔。
「おい待て、普通に言ったけどな!! オレあれで死にかけたんだけど!?」
セセラは一切動じない。
「だから弱い個体を選んだ。気持ちに余裕があれば、少し違うかもしれねえだろ?」
「簡単に言うけどなァ……!」
リルは座り直し、眉をしかめた。
「……まず、自発的にできるかどうかも怪しいぞ。前は……あれだ。あの制御装置。外れた瞬間、何かがブワッて……。よくわかんねえけど……勝手に暴走しただけだっての……」
「まあまあ、ゴネんなよ。俺だって言われてんだよ。『自我を保った龍化の確立例が欲しい』……ってな」
セセラは申し訳なさそうにしないまま続ける。
「何かあったらすぐ止められるようにセッティングしとくから」
「……マジかよ……」
唇を噛み、額に手をやる。
明らかに、心底乗り気じゃない。
「こんな……低級龍より、薊野セセラをブッ飛ばす方がよっぽど意義あると思う」
「はいはい、実際に飛ばされたくないからお前のケツは俺が見るって。さ、気合い入れてこーぜ、リルちゃん♡」
「今オレの名前、ちゃん付けしたな……バカにしやがって……」
そんなやり取りが交わされる頃。
午後は、すぐそこまで迫っていた。
◇
昼過ぎ。
輸送車が揺れる度に、リルは虚ろな目で窓の外を見ていた。
相変わらず眠そうで気怠げな表情だが、心の中はどこか落ち着かない。
(……ほんとにやんのかよ、アレ)
そう思いながら、車が停止する。
任務地に到着した。
──郊外の調査区域。
ゆるやかな草地。
薄い霧がかかる静かな森の縁。
その一角に、討伐対象の龍を発見──!!!
「…………」
真っ白なふわふわの体毛。
四つ足でポテポテと跳ね回り、耳にはちょこんと飾り毛と、くるんとした尻尾。
背には申し訳程度の小さな翼。
まるで、子犬。
ズラリと並んだ牙は禍々しさがあったが、それでも『可愛い』の方が勝っていた。
「…………」
リルは唖然とする。
「……逆に心痛くなるわ……こんなちっこいの」
するとそこへ。
『リル! 聞こえるか!!』
無線から、緊迫したセセラの声が飛んでくる。
その声はまるで、人類滅亡寸前の迎撃指令。
『そいつが今回の標的だ、心してかかれよ!!』
「うるっせえなそんな緊迫して無線飛ばす相手じゃねえだろ! つうかアイツ、小石いじってんだけど」
小さな子犬龍はペタンと座り込み、石ころをカリカリ。
リルもセセラも緊張感ゼロ。
龍も敵対心ゼロ。
『ふふっ、まあまあ。任務は任務だが、今回は訓練だと思ってくれ。……まずは、普通に両手を龍化。これはできるな?』
少し真面目なトーンになるセセラの声。
リルは舌打ちしながら、ぶっきらぼうに答える。
「……散々やってんだろ」
そう言って、両手に力を込めると──指先が音を立てて変異し始めた。
──バキッ、メキメキッ……
赤く鋭い爪、厚く変質した皮膚。
両手は、いつもの龍の手へと変わっていた。
「ほらよ。……ん?」
龍化したリルの、異様な空気を察知した子犬龍が突如──。
「ギャワッ!」
びょいんっ……と飛び上がり、そのまま牙を剥き出してリルに噛み付こうと跳躍!
「おいおい……」
リルは顔ひとつ動かさず、大きな龍の爪でデコピンのようにそれをピンッと弾いた。
「キャィィィン!!!」
跳ね飛ばされた子犬龍は草むらに転がり、ぷるぷると震え始める。
「いや、オレ泣きそう……。こんなん倒したら後味悪いって……」
そこへ再び無線。
『龍が怯んでいるうちに、もう一段階だ。肘下まで龍化させた時があっただろ、あれのイメージだ。できるか?』
「……それも余裕でできる。……ちょっと、痛えけど」
静かに息を吸い──。
腕に更に力を込める。
「…………ッ!」
──バキバキバキッ……メギッ………
──ゴキッ……ゴギ……ッ……
骨の軋むような音と共に、肘下まで皮膚が硬化し、鱗が浮かび上がった。
異様な迫力。
まるで、竜の前足。
「ッ、はぁ……、……ほらよ。……次は何だよ」
無線の向こう、セセラの口元が綻ぶ。
『上出来だ。さすがウチの被検体ナンバーワン』
「呼び方ふざけんなよ……!!」
その間にも、龍はまだぷるぷるしている。
──静かな草地。
風に揺れる葉音の中、リルの龍化した腕が小さく軋んでいた。
肘下までの龍化は、既に完了。
だが、それを保ったまま次の段階へ進むなど、これまでにない試みだ。
リルは大きく息を吐き、立ったままその変異した片手で器用に額を拭う。
「……ちょっと、ダルくなってきたな……」
変異した部分が発する熱と緊張。まだ暴走の兆候は無い。
だが、この先を考えると──心が揺れる。
その時、耳元の無線が柔らかく響いた。
『……リル。聞こえてるか?』
先程までのふざけた調子ではない。
抑えめで、どこか向き合う声音。
『今のお前、めちゃくちゃよくやってるよ。無理はさせたくねえけど……お前が一歩踏み出す度、ちゃんと記録に残ってる』
『逃げんな、とは言わねえ。……でも、後退もさせねえからな』
「…………」
一拍の沈黙。
『頼むわ、リル。お前はそのまま変われる』
無線の向こうでセセラが真顔になっているのが浮かぶようだった。
リルは俯きながら、口を開く。
「……何だよ、それ。……らしくねえ……」
──その声には少しだけ、笑みが滲んでいた。
「ったく、しょーがねえな……」
リルは両手の指を一度開き、ぐっと拳を握る。
指先から肘、そして肩口へと、皮膚の下で“何か”が動き始めた。
まだ完成ではない。
だが、確実にその兆しが滲み出る。
「…………ッ……」
瞳が、更に縦に細く。
牙が、更に長く鋭く。
「はぁ……、はぁ……っ、こんな丁寧に、段階踏んだの初めてだっつの……」
体力がじわじわと削られていく。
自我はある。
だが、脳の奥に声のようなノイズが僅かに鳴り始めていた。
「……まだ……、大丈夫だ……」
小さく震える足元。
しかし意志は折れていない。
そんな中──。
ふと視界の端で、小さな動き。
例の子犬龍がリルの気配に怯えつつも、心配そうにこちらを覗いているようだった。
「……なんでお前が不安そうな顔してんだよ……」
思わず笑ってしまう。
それは戦いの中で、確かに平常心を保っている証だった。
そして次の変異は、肩口から始まる。
リルの背に羽織られていた、いつも通りの赤黒くボロボロな──けれどどこか本人の一部のようなマント。
その繊維にはリルの龍因子が練り込まれており、リルの龍化に呼応するように突如としてうねり始める。
「……ん、な……なんだ……?」
リルの背後で、赤と黒の繊維が蠢く。
糸の1本1本が、まるで脈動しているかのように。
生き物のように、形を変え始めていた。
──バサッ……
風を切る音が、静寂を割る。
マントが重力に反するようにして大きく広がり、左右に黒紅の膜状の翼が発現しリルの背中と同化する。
血のような赤と、焦げたような黒。
それは飛翔のためのものというより、威圧の象徴のようにさえ見えた。
リルは咄嗟に振り向いて、背中の異変に驚く。
「……これ……オレの……?」
翼がピクリと反応する。
まるで、自分の意志を持つかのように。
「……ッ、でも……痛くねえ。……なんか、自然に……馴染んでる……?」
その瞬間、リルの足元からブワッとした気配。
──瘴気。
龍の血特有の黒紫の煙のような気が、リルの脚に纏わりつく。
靴や衣類も、脚諸共いつの間にか包み込まれていた。
瘴気が爪や甲殻、尾のような意匠を浮かび上がらせる。決して物理的な変形音は無い。
それは、外側に現れた変異だった。
人間の足ではなく、飛竜の下半身。
準完全龍化の、確かな構え。
「…………ッは…………」
息が荒くなるリル。
肩で呼吸を繰り返しながら、それでもまだ、自分でいられている。
(……苦しい、けど……まだ、自分だ。……オレ、壊れてない……)
拳を握る。
「……あれ……? オレ、意外と……このまま変化できてる……」
恐怖でも、怒りでもなく。
確かな手応えと驚きが、リルの声に宿っていた。
翼が広がり、瘴気を帯びた脚が踏みしめる地面。
まるで竜人の変身のような、そんな空気を漂わせながら──。
「……っつうか……! このまま戻れなくなったらシャレになんねえからな薊野さん!? 聞いてんのかコラ!!」
無線の音声は、ひと呼吸の後に鳴った。
『……おう、よくできました……。マジでちょっとビビってる』
一言だけの、セセラにしては随分素直な称賛だった。
◇
リルの変化を見守るモニター室。
先程までの緩い空気は消え失せ、セセラの目は真剣そのもの。
息を呑んで見守る職員たちの中、静かに無線のスイッチに指を添える。
(……そろそろ、運命の分かれ道だな)
『……リル、頭部だ。アレのとき……、“準完全龍化”と確認されたとき、お前は頭部にも変化が見られたという。……できるか? かなり、キツイだろうが……』
その声は、微かに震えていた。
……もし、暴走したら。
現地のリルが、背中の翼を僅かに揺らしながらわけがわからない顔で無線に返す。
「頭!? 頭って何だよ……! 頭に力入れんのか!? 意味わかんねぇッ……!!」
セセラも困惑を隠しきれず。
『俺だってわかんねえけど……そういうことなんだろ……龍化のイメージを、頭部へと集中させてみろ』
モニター室の一角では、職員たちが(頭って……? どういう……?)と視線を交わし、もはや無音のカオス。
「わかんねぇ……ッ、わかんねぇけど……ッ」
こめかみに浮き出る血管。
額から滴る汗。
龍の両手で頭を抱えながら、必死に念じる。
「……出ろ……! 頭……何か……出ろ……ッ!!」
──バキッ!!!
「いっっ……てェッッ!!!」
叫ぶと同時、両耳の上から角が出現した。
鋭く、黒く、根元がまだ未熟さを残した形。
だがそれは、明確な龍種の象徴だった。
「ハァッ……ハァッ……ッ……!!」
リルの呼吸が乱れる。
子犬龍は突然のリルの悲鳴に更にぷるぷると震えて、丸まってしまう。
『おい、リル!! 大丈夫か!? 返事しろ!』
無線越しのセセラの声。
その問いに──。
「……だいじょ……ぶだ……けど……ッ」
汗が、止まらない。
次の瞬間。
──ズズッ……
音も無く、顔の上半分に鱗の侵食が始まった。
鼻から下は生身のまま。
だが両目は既に爛々と赤く染まり、額から仮面のような甲殻が角と一体化しながら広がっていく。
「……が、ぁあ゙……ッ……!!」
悲鳴とも、咆哮ともつかない声が響く。
口元にある珠玉が埋め込まれた部分からは、一筋の血が流れた。
「…………!!」
体がふらつく。
膝が揺れ、翼がバランスを取るように小さく羽ばたく。
「……ゔゔ……グル゙ル゙ルルルッ……!!」
──あの姿だ。
しかし唸り声を上げながらも、暴れはしない。
セセラの目が見開かれる。
それでも躊躇わず、無線を通した。
『おい、わかるか!? 俺の声! わかるなら右手挙げろ!』
1秒、2秒──。
唸りながらも、ゆっくりと。
震えながら右腕が──挙がった。
「……グ……ル゙ル゙……ル゙……」
その反応を見た瞬間、モニター室がざわめきに包まれる。
「右手挙げた!?」
「挙げました!?」
「自我、生きてるぞ!!」
セセラはモニターを凝視したまま、ゆっくりと息を吐いた。
「……やりやがったな、リル……」
リルのその姿は、誰が見ても“完全に別モノ”。
角を生やし、顔半分を甲殻で覆い、背には黒紅の翼、足元には瘴気と甲殻の脚。
尾を垂らし逞しい龍の前脚。
準完全龍化・完成体、紅崎リル。
その圧倒的な威圧感に、目の前の子犬龍は。
「ピュ……!?」
リルがゆっくりと、一歩踏み出しただけでふるふる震えたその小さな龍は。
──ペチッ
龍化した剛腕が、あまりにも雑に軽く叩いただけで目をぐるぐるマークにして、へにゃんと倒れた。
完全討伐。
とても静かな、だが圧倒的なフィニッシュだった。
「グロさゼロ! 完璧!」
「おおお……」
「可愛いのに……一瞬だった……」
モニター室では拍手と微笑と驚愕と──セセラの声が割って入る。
『……すげえ! よく頑張ったな……もう解いていい……! 戻っていいぞ、リル!』
──が。
フィールドのリルは、ピクリとも反応しない。
翼を畳み、足元で風が渦巻いているだけ。
ただし、暴れる様子は無い。
……静かすぎる。
セセラが再び無線のマイクへ向かった。
『……リルちゃん? 大丈夫? 解ける?』
しばらくの間。
その“準龍”は、もぞもぞと身動ぎして──。
「……ゔう、ガルルッ……、ぅるるる……」
困惑。
戸惑い。
なんか、めっちゃ悩んでる。
『……まさか、戻れねえのか?』
その問いに、準龍リルはこくりと頷くように──。
「ぐる(うん)」
「「えぇーッ!!??」」
ついさっきまで「ワァーッ!」だった職員たちが全員、肩から力を抜いて椅子から崩れ落ちる。
セセラも流石に焦った。
「おい、ちょ、マジで!? やばいやばい、解き方教えてない!! っつうか知らねえ!!」
そこに、いつの間にかリルの様子を見に来たシエリが一言。
「随分と突拍子も無い訓練をしたな……。教えられるわけないだろう……誰も知らないんだから……」
「待って!? あの姿で帰らせるの!? 無理だろ!? え、どうすんの!?」
「……セセラ、キミの責任もあるぞコレは」
「へにゃん……」
午前の白い廊下に、忙しない足音と書類のやり取り。
いつもと変わらぬ日常のようでいて、どこか張りつめた空気もある施設内。
その片隅、休憩ラウンジ。
機関の騒がしさとは裏腹に、怠そうにソファに寝転がっていたのは──リル。
片手にジュース、片足はソファから投げ出し、瞼は半分。
明らかに『午前中は完全に仕事スイッチ切ってます』な態度。
「……ふぁあ……」
(ねむ……。午後から任務っつっても、アレだろ。なんか、小動物みてぇな奴……)
先程任務ブリーフィングで確認した対象は、リルにとっては完全に物足りないくらいの低危険度龍個体。
「……なんでオレが……」
小さくぼやいた瞬間、ラウンジの扉が開く。
「よお、午後からよろしくな」
煙草を咥えながら入ってきたのは、すっかり常連となったセセラだった。
白衣のポケットからライターを取り出しつつ、いつも通りの気怠げな動きで窓際に腰掛ける。
リルは胡散臭そうに細目を向けた。
「……随分ラクそうな任務組まれたんだけど、何か裏があったりしねえよな?」
一瞬、煙草に火をつける手が止まる。
セセラは視線だけリルに向けて、「……んー、まあ……」と軽く唸った。
「機関として“試したいこと”があってな」
「……あー、オレを使って実験したいことがあるってことね」
長年この施設にいるだけあって変に勘が鋭い。
天井を仰いで、リルはため息を吐く。
「はぁ……またかよ」
セセラはくゆらせた煙を遠くに吹きながら、ふっと口元だけで笑った。
そして、軽い調子で言い放つ。
「お前、この前の。あれ。『準完全龍化』ってやつ。あれ今日やってくれ」
「…………」
──沈黙。
リルの体が、固まった。
「はあ!?」
思わず立ち上がると同時、不意に声が張り上がる。
目を見開いて、まるで今、虫でも踏んだかのような顔。
「おい待て、普通に言ったけどな!! オレあれで死にかけたんだけど!?」
セセラは一切動じない。
「だから弱い個体を選んだ。気持ちに余裕があれば、少し違うかもしれねえだろ?」
「簡単に言うけどなァ……!」
リルは座り直し、眉をしかめた。
「……まず、自発的にできるかどうかも怪しいぞ。前は……あれだ。あの制御装置。外れた瞬間、何かがブワッて……。よくわかんねえけど……勝手に暴走しただけだっての……」
「まあまあ、ゴネんなよ。俺だって言われてんだよ。『自我を保った龍化の確立例が欲しい』……ってな」
セセラは申し訳なさそうにしないまま続ける。
「何かあったらすぐ止められるようにセッティングしとくから」
「……マジかよ……」
唇を噛み、額に手をやる。
明らかに、心底乗り気じゃない。
「こんな……低級龍より、薊野セセラをブッ飛ばす方がよっぽど意義あると思う」
「はいはい、実際に飛ばされたくないからお前のケツは俺が見るって。さ、気合い入れてこーぜ、リルちゃん♡」
「今オレの名前、ちゃん付けしたな……バカにしやがって……」
そんなやり取りが交わされる頃。
午後は、すぐそこまで迫っていた。
◇
昼過ぎ。
輸送車が揺れる度に、リルは虚ろな目で窓の外を見ていた。
相変わらず眠そうで気怠げな表情だが、心の中はどこか落ち着かない。
(……ほんとにやんのかよ、アレ)
そう思いながら、車が停止する。
任務地に到着した。
──郊外の調査区域。
ゆるやかな草地。
薄い霧がかかる静かな森の縁。
その一角に、討伐対象の龍を発見──!!!
「…………」
真っ白なふわふわの体毛。
四つ足でポテポテと跳ね回り、耳にはちょこんと飾り毛と、くるんとした尻尾。
背には申し訳程度の小さな翼。
まるで、子犬。
ズラリと並んだ牙は禍々しさがあったが、それでも『可愛い』の方が勝っていた。
「…………」
リルは唖然とする。
「……逆に心痛くなるわ……こんなちっこいの」
するとそこへ。
『リル! 聞こえるか!!』
無線から、緊迫したセセラの声が飛んでくる。
その声はまるで、人類滅亡寸前の迎撃指令。
『そいつが今回の標的だ、心してかかれよ!!』
「うるっせえなそんな緊迫して無線飛ばす相手じゃねえだろ! つうかアイツ、小石いじってんだけど」
小さな子犬龍はペタンと座り込み、石ころをカリカリ。
リルもセセラも緊張感ゼロ。
龍も敵対心ゼロ。
『ふふっ、まあまあ。任務は任務だが、今回は訓練だと思ってくれ。……まずは、普通に両手を龍化。これはできるな?』
少し真面目なトーンになるセセラの声。
リルは舌打ちしながら、ぶっきらぼうに答える。
「……散々やってんだろ」
そう言って、両手に力を込めると──指先が音を立てて変異し始めた。
──バキッ、メキメキッ……
赤く鋭い爪、厚く変質した皮膚。
両手は、いつもの龍の手へと変わっていた。
「ほらよ。……ん?」
龍化したリルの、異様な空気を察知した子犬龍が突如──。
「ギャワッ!」
びょいんっ……と飛び上がり、そのまま牙を剥き出してリルに噛み付こうと跳躍!
「おいおい……」
リルは顔ひとつ動かさず、大きな龍の爪でデコピンのようにそれをピンッと弾いた。
「キャィィィン!!!」
跳ね飛ばされた子犬龍は草むらに転がり、ぷるぷると震え始める。
「いや、オレ泣きそう……。こんなん倒したら後味悪いって……」
そこへ再び無線。
『龍が怯んでいるうちに、もう一段階だ。肘下まで龍化させた時があっただろ、あれのイメージだ。できるか?』
「……それも余裕でできる。……ちょっと、痛えけど」
静かに息を吸い──。
腕に更に力を込める。
「…………ッ!」
──バキバキバキッ……メギッ………
──ゴキッ……ゴギ……ッ……
骨の軋むような音と共に、肘下まで皮膚が硬化し、鱗が浮かび上がった。
異様な迫力。
まるで、竜の前足。
「ッ、はぁ……、……ほらよ。……次は何だよ」
無線の向こう、セセラの口元が綻ぶ。
『上出来だ。さすがウチの被検体ナンバーワン』
「呼び方ふざけんなよ……!!」
その間にも、龍はまだぷるぷるしている。
──静かな草地。
風に揺れる葉音の中、リルの龍化した腕が小さく軋んでいた。
肘下までの龍化は、既に完了。
だが、それを保ったまま次の段階へ進むなど、これまでにない試みだ。
リルは大きく息を吐き、立ったままその変異した片手で器用に額を拭う。
「……ちょっと、ダルくなってきたな……」
変異した部分が発する熱と緊張。まだ暴走の兆候は無い。
だが、この先を考えると──心が揺れる。
その時、耳元の無線が柔らかく響いた。
『……リル。聞こえてるか?』
先程までのふざけた調子ではない。
抑えめで、どこか向き合う声音。
『今のお前、めちゃくちゃよくやってるよ。無理はさせたくねえけど……お前が一歩踏み出す度、ちゃんと記録に残ってる』
『逃げんな、とは言わねえ。……でも、後退もさせねえからな』
「…………」
一拍の沈黙。
『頼むわ、リル。お前はそのまま変われる』
無線の向こうでセセラが真顔になっているのが浮かぶようだった。
リルは俯きながら、口を開く。
「……何だよ、それ。……らしくねえ……」
──その声には少しだけ、笑みが滲んでいた。
「ったく、しょーがねえな……」
リルは両手の指を一度開き、ぐっと拳を握る。
指先から肘、そして肩口へと、皮膚の下で“何か”が動き始めた。
まだ完成ではない。
だが、確実にその兆しが滲み出る。
「…………ッ……」
瞳が、更に縦に細く。
牙が、更に長く鋭く。
「はぁ……、はぁ……っ、こんな丁寧に、段階踏んだの初めてだっつの……」
体力がじわじわと削られていく。
自我はある。
だが、脳の奥に声のようなノイズが僅かに鳴り始めていた。
「……まだ……、大丈夫だ……」
小さく震える足元。
しかし意志は折れていない。
そんな中──。
ふと視界の端で、小さな動き。
例の子犬龍がリルの気配に怯えつつも、心配そうにこちらを覗いているようだった。
「……なんでお前が不安そうな顔してんだよ……」
思わず笑ってしまう。
それは戦いの中で、確かに平常心を保っている証だった。
そして次の変異は、肩口から始まる。
リルの背に羽織られていた、いつも通りの赤黒くボロボロな──けれどどこか本人の一部のようなマント。
その繊維にはリルの龍因子が練り込まれており、リルの龍化に呼応するように突如としてうねり始める。
「……ん、な……なんだ……?」
リルの背後で、赤と黒の繊維が蠢く。
糸の1本1本が、まるで脈動しているかのように。
生き物のように、形を変え始めていた。
──バサッ……
風を切る音が、静寂を割る。
マントが重力に反するようにして大きく広がり、左右に黒紅の膜状の翼が発現しリルの背中と同化する。
血のような赤と、焦げたような黒。
それは飛翔のためのものというより、威圧の象徴のようにさえ見えた。
リルは咄嗟に振り向いて、背中の異変に驚く。
「……これ……オレの……?」
翼がピクリと反応する。
まるで、自分の意志を持つかのように。
「……ッ、でも……痛くねえ。……なんか、自然に……馴染んでる……?」
その瞬間、リルの足元からブワッとした気配。
──瘴気。
龍の血特有の黒紫の煙のような気が、リルの脚に纏わりつく。
靴や衣類も、脚諸共いつの間にか包み込まれていた。
瘴気が爪や甲殻、尾のような意匠を浮かび上がらせる。決して物理的な変形音は無い。
それは、外側に現れた変異だった。
人間の足ではなく、飛竜の下半身。
準完全龍化の、確かな構え。
「…………ッは…………」
息が荒くなるリル。
肩で呼吸を繰り返しながら、それでもまだ、自分でいられている。
(……苦しい、けど……まだ、自分だ。……オレ、壊れてない……)
拳を握る。
「……あれ……? オレ、意外と……このまま変化できてる……」
恐怖でも、怒りでもなく。
確かな手応えと驚きが、リルの声に宿っていた。
翼が広がり、瘴気を帯びた脚が踏みしめる地面。
まるで竜人の変身のような、そんな空気を漂わせながら──。
「……っつうか……! このまま戻れなくなったらシャレになんねえからな薊野さん!? 聞いてんのかコラ!!」
無線の音声は、ひと呼吸の後に鳴った。
『……おう、よくできました……。マジでちょっとビビってる』
一言だけの、セセラにしては随分素直な称賛だった。
◇
リルの変化を見守るモニター室。
先程までの緩い空気は消え失せ、セセラの目は真剣そのもの。
息を呑んで見守る職員たちの中、静かに無線のスイッチに指を添える。
(……そろそろ、運命の分かれ道だな)
『……リル、頭部だ。アレのとき……、“準完全龍化”と確認されたとき、お前は頭部にも変化が見られたという。……できるか? かなり、キツイだろうが……』
その声は、微かに震えていた。
……もし、暴走したら。
現地のリルが、背中の翼を僅かに揺らしながらわけがわからない顔で無線に返す。
「頭!? 頭って何だよ……! 頭に力入れんのか!? 意味わかんねぇッ……!!」
セセラも困惑を隠しきれず。
『俺だってわかんねえけど……そういうことなんだろ……龍化のイメージを、頭部へと集中させてみろ』
モニター室の一角では、職員たちが(頭って……? どういう……?)と視線を交わし、もはや無音のカオス。
「わかんねぇ……ッ、わかんねぇけど……ッ」
こめかみに浮き出る血管。
額から滴る汗。
龍の両手で頭を抱えながら、必死に念じる。
「……出ろ……! 頭……何か……出ろ……ッ!!」
──バキッ!!!
「いっっ……てェッッ!!!」
叫ぶと同時、両耳の上から角が出現した。
鋭く、黒く、根元がまだ未熟さを残した形。
だがそれは、明確な龍種の象徴だった。
「ハァッ……ハァッ……ッ……!!」
リルの呼吸が乱れる。
子犬龍は突然のリルの悲鳴に更にぷるぷると震えて、丸まってしまう。
『おい、リル!! 大丈夫か!? 返事しろ!』
無線越しのセセラの声。
その問いに──。
「……だいじょ……ぶだ……けど……ッ」
汗が、止まらない。
次の瞬間。
──ズズッ……
音も無く、顔の上半分に鱗の侵食が始まった。
鼻から下は生身のまま。
だが両目は既に爛々と赤く染まり、額から仮面のような甲殻が角と一体化しながら広がっていく。
「……が、ぁあ゙……ッ……!!」
悲鳴とも、咆哮ともつかない声が響く。
口元にある珠玉が埋め込まれた部分からは、一筋の血が流れた。
「…………!!」
体がふらつく。
膝が揺れ、翼がバランスを取るように小さく羽ばたく。
「……ゔゔ……グル゙ル゙ルルルッ……!!」
──あの姿だ。
しかし唸り声を上げながらも、暴れはしない。
セセラの目が見開かれる。
それでも躊躇わず、無線を通した。
『おい、わかるか!? 俺の声! わかるなら右手挙げろ!』
1秒、2秒──。
唸りながらも、ゆっくりと。
震えながら右腕が──挙がった。
「……グ……ル゙ル゙……ル゙……」
その反応を見た瞬間、モニター室がざわめきに包まれる。
「右手挙げた!?」
「挙げました!?」
「自我、生きてるぞ!!」
セセラはモニターを凝視したまま、ゆっくりと息を吐いた。
「……やりやがったな、リル……」
リルのその姿は、誰が見ても“完全に別モノ”。
角を生やし、顔半分を甲殻で覆い、背には黒紅の翼、足元には瘴気と甲殻の脚。
尾を垂らし逞しい龍の前脚。
準完全龍化・完成体、紅崎リル。
その圧倒的な威圧感に、目の前の子犬龍は。
「ピュ……!?」
リルがゆっくりと、一歩踏み出しただけでふるふる震えたその小さな龍は。
──ペチッ
龍化した剛腕が、あまりにも雑に軽く叩いただけで目をぐるぐるマークにして、へにゃんと倒れた。
完全討伐。
とても静かな、だが圧倒的なフィニッシュだった。
「グロさゼロ! 完璧!」
「おおお……」
「可愛いのに……一瞬だった……」
モニター室では拍手と微笑と驚愕と──セセラの声が割って入る。
『……すげえ! よく頑張ったな……もう解いていい……! 戻っていいぞ、リル!』
──が。
フィールドのリルは、ピクリとも反応しない。
翼を畳み、足元で風が渦巻いているだけ。
ただし、暴れる様子は無い。
……静かすぎる。
セセラが再び無線のマイクへ向かった。
『……リルちゃん? 大丈夫? 解ける?』
しばらくの間。
その“準龍”は、もぞもぞと身動ぎして──。
「……ゔう、ガルルッ……、ぅるるる……」
困惑。
戸惑い。
なんか、めっちゃ悩んでる。
『……まさか、戻れねえのか?』
その問いに、準龍リルはこくりと頷くように──。
「ぐる(うん)」
「「えぇーッ!!??」」
ついさっきまで「ワァーッ!」だった職員たちが全員、肩から力を抜いて椅子から崩れ落ちる。
セセラも流石に焦った。
「おい、ちょ、マジで!? やばいやばい、解き方教えてない!! っつうか知らねえ!!」
そこに、いつの間にかリルの様子を見に来たシエリが一言。
「随分と突拍子も無い訓練をしたな……。教えられるわけないだろう……誰も知らないんだから……」
「待って!? あの姿で帰らせるの!? 無理だろ!? え、どうすんの!?」
「……セセラ、キミの責任もあるぞコレは」
「へにゃん……」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
花鳥見聞録
木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
空色のサイエンスウィッチ
コーヒー微糖派
SF
『科学の魔女は、空色の髪をなびかせて宙を舞う』
高校を卒業後、亡くなった両親の後を継いで工場長となったニ十歳の女性――空鳥 隼《そらとり じゅん》
彼女は両親との思い出が詰まった工場を守るため、単身で経営を続けてはいたものの、その運営状況は火の車。残された借金さえも返せない。
それでも持ち前の知識で独自の商品開発を進め、なんとかこの状況からの脱出を図っていた。
そんなある日、隼は自身の開発物の影響で、スーパーパワーに目覚めてしまう。
その力は、隼にさらなる可能性を見出させ、その運命さえも大きく変えていく。
持ち前の科学知識を応用することで、世に魔法を再現することをも可能とした力。
その力をもってして、隼は日々空を駆け巡り、世のため人のためのヒーロー活動を始めることにした。
そしていつしか、彼女はこう呼ばれるようになる。
魔法の杖に腰かけて、大空を鳥のように舞う【空色の魔女】と。
※この作品の科学知識云々はフィクションです。参考にしないでください。
※ノベルアッププラス様での連載分を後追いで公開いたします。
※2022/10/25 完結まで投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる