RAID CORE

コヨタ

文字の大きさ
95 / 133
第21話 邂逅

第21話・3 また会えたね、レイラちゃん

しおりを挟む
 休憩ラウンジの空気は、ゆるやかに落ち着いていた。

 煙草の煙がゆらりと揺れる中、レイラはセセラの隣で、少し背を丸めるように座っていた。
 セセラは相変わらず脚を組んだ脱力姿勢で、煙草を咥えたまま。

 その沈黙を破るように、レイラがぽつりと問いかけた。

「薊野さんは、……会ったことある?」

 問いの意図はすぐに伝わったらしい。
 セセラは煙草を少し咥え直し、視線を天井に向けながら答えた。

「……あるよ、全然。つうか、元々ここの職員だし」

 唇をツンと尖らせるように言いながら、軽く肩をすくめる。

「あ……そっか……」

 レイラは頷き、小さく納得したように息を吐いた。
 だが、それだけでは終わらなかった。

「……怖い人だった?」

 ほんの少し、を置いてそう尋ねる。
 するとセセラは、ソファの背にぐいっと伸びながら記憶を辿った。

「……ん~~、どうだったかなぁ~~~……」

 煙草の先を持ち上げ、トントンと灰を皿に落とす。

「ひとりでいる方が好きなタイプって感じだったかな。今はあんなキャピキャピしてるけど……あれ、たぶん演技じゃねえかなって思う」

「……そっか……」

 レイラは再び頷いたが、心の中にはまだ消化しきれない違和感が残っていた。

 ──そして、ふと別の疑問が胸に浮かぶ。

「そういえば……ねえ、薊野さん……聞いていい?」

 セセラは口からふわりと煙を吐きながら、指先で煙草をくるくると回しつつ、「ん」と視線だけ向けてくる。

「……薊野さんって、いつから機関ここにいるの?」

 素朴な、けれどどこか核心に触れるような問い。

 セセラは一瞬目を瞬かせ、それから肩をすくめるように笑った。

「すんげ~ガキの頃から」

「……ガキの頃から?」

 レイラが少し目を丸くして聞き返すと、セセラは面倒くさそうに片手で髪をかき上げながら続ける。

「最初は先生……シエリ先生の手伝いみたいなことしかしてなかったけどな。掃除とか、本の整理とかさ。……でも、なんか年々勝手に知識がついてきて……気が付いたら『お前も職員扱いでいいだろ』ってなって」

「……へえ……!?」

「もう20年くらいここにいるわ。ありえねーよなマジで」

「そうだったんだ……!」

 レイラは驚きと尊敬が入り混じったような顔で声を上げた。

「でも私、薊野さんがここにいてくれて良かった……。龍に憑かれたのは、不幸かもしれないけど……、薊野さんたちに何度も助けてもらったから……」

 少し俯きながらも、レイラはぽつぽつと本音を零す。その頬はほんのり赤く染まり、どこか照れているようにも見えた。

 セセラはしばらく無言のまま煙草の火を見つめていたが、やがてフッと笑う。

「言うじゃねえかよ。どいつもこいつも俺のこと好きすぎだろ~! やっぱモテるわァ俺!」

「え、あっ、でも最初は薊野さん怖くて嫌だった!」

 慌てて手を振るレイラ。顔は赤いままだ。

「はいはい。後出しすんなって」

 セセラは笑いながら、吸い終えた煙草を灰皿に落とすと、白衣を持って立ち上がった。

 そのまま、ふわりとレイラの頭をポンと撫でる。

「じゃ、俺は家で寝直してくるわ。今日は真面目な話、しすぎた」

「え……うん。お疲れさま」

 レイラは一瞬驚いたような顔をしながらも、素直に見送った。

「何かあったら、ちゃんと呼べよ。……あいつにまた会ったら、絶対教えろ」

 背を向けたままセセラはそれだけ言い残して、片手をひらひらと振って休憩ラウンジを後にした。

 その背中を見つめながら、レイラは少しだけ笑みを浮かべる。

(……やっぱり、薊野さんがいてくれてよかった)

 静かなラウンジに、煙草の残り香が微かに残っていた。


 ◇


 翌日。

 休日の夕暮れ。
 陽が落ちかけ、街は金色の光に包まれていた。

 レイラは今日も完全なプライベート。
 買い物の帰り道、小さなカフェで少しだけ時間を潰して──そろそろ帰ろうか、と歩き始めたところだった。

(今日も機関はそんなに忙しくないし……薊野さん、また休憩室でゴロゴロしてるんだろうな……)

 ふと思い出して、くすっと笑った。

 だが──。

(……あれ、ここ……)

 曲がった先の道が、思ったよりも暗く、静かだった。

 どうやら考え事をしていたらひとつ角を間違えたらしい。表通りよりも人気ひとけが無く、細い裏道に入ってしまっていた。

 通信端末の地図を見ようかと鞄に手を伸ばしたとき──。

 不意に、肩が誰かとぶつかった。

「お、おいおい、どこ見て歩いてんだよ」

「あ……すみません」

 反射的に謝ったレイラだったが、その相手が睨みつけるようにこちらを見ていたことで、少し警戒心が走る。

 ──そして、あっという間だった。

「おい、今の見た?」

「謝ってんじゃねーか。……けど、こんなとこひとりで歩いてるってことは、ヒマなんじゃね?」

 いつの間にか、周囲に数人のガラの悪い男たちが集まっていた。

 細い路地に、じりじりと詰め寄るような気配。
 周囲に人影はほとんど無く、逃げ道も見えない。

(……うそ……道ひとつ間違えただけで……)

「……どいてよ」

「へぇ、そんなツンケンしてさ。ちょっと話そうよ? ね? 可愛いね?」

「……興味ない」

 レイラの声は冷たく短く、手は既にバッグのポケットに忍ばせた小さな護身用ナイフへと伸びていた。
 ──だが、街中で武器を出せば、今度はこちらが問題になる。

(……まずい。どうすれば……)

 そのときだった。

「──あれ~? レイラちゃん!? 何やってるのかなあ~」

 のんびりとした、けれど間違いなく聞き覚えのある声が路地に響いた。

「……ジキル、……!?」

 思わず、名前が口をついて出た。

 振り返る男たちの視線の先。
 そこには、赤い長髪をうなじでまとめ、キャスケットを被った細身の男が立っている。

 その存在感はやけに目立っていて、どこか場違いな程。

「は? なんだテメェ、どけよ」

「関係ねぇだろブッ殺すぞ?」

「うーん、関係ないかもしれないけど……女の子をよってたかっていじめるなんて──」

 ジキルの笑顔は変わらない。
 だが、サングラスの奥の目だけが凍りつくように冷たく歪んでいた──気がした。

「……ダサい人たちですねえ」

 その一言で、ぞわりと空気が変わる。

「な、なんだよコイツ……!」

 男たちの誰かが掴みかかろうとした、ほんの一瞬。

 ──ドガッ!!

 乾いた音と共に、ひとりが宙を舞い、壁に叩きつけられる。
 そして別のひとりが、間髪入れず顔面に拳を叩き込まれていた。折れた歯が口から飛び出し、鼻血が噴出する。

「…………!!」

 ジキルの腕は細く、華奢にすら見える。
 なのにその一撃は、まるで鋼のようだった。

「……ガキ共、オレを殺せるものならやってみろよ……なァ……!!」

 明るい口調とは程遠い、低く冷えきった声。

 残った男たちは、顔を青くして一斉に逃げていった。

 ──そして。

「…………龍でも、憑いてるの……?」

 ぽつりと、レイラが呟く。

「…………」

 ジキルは笑いながら、肩をすくめて見せた。

「さあ~? どうでしょうねえ?」

 まとめた髪を揺らしながら、何事もなかったかのように歩み寄ってくる。

「大丈夫? レイラちゃん、ケガしてない?」

「……え、うん……。……助かった……」

 自分でも驚くほど声が遅れて出た。
 状況が飲み込めていなかった。

「じゃ、またね。気をつけてね!」

 そう言って手を振ると、ジキルはそのまま表通りの方へ歩いていく。

 レイラはしばらく、その場から動けなかった。

(何者なんだ、あの人……)

 ふわりと現れて、ふわりと去って、まるで幻のようだった。
 護身用ナイフに触れることすら忘れていた。

 ──けれど確かに、助けてくれた。

(……薊野さんには……助けてくれたこと、言っておくか)

 胸の中に、先程より少しだけ強くなった警戒心と同時に。

 ほんの僅かな安心が交錯していく。


 ◇


 夕刻の機関。
 資料室の片隅で、セセラはコーヒー片手に端末とにらめっこしていた。

「……薊野さん」

 声をかけたのは、やや緊張した面持ちのレイラ。
 セセラは画面から目を離さずに「んー?」と気の無い返事をしたが──。

「また、会った」

 その一言に、椅子の軋む音が鳴るほど勢いよくセセラが振り向いた。

「またぁ!? マジで!?!?」

 そのまま立ち上がって近寄りながら、目を見開く。

「おい、ほんとに何もされてねえよな!? 変な所に連れ込まれたりしてねえよな!?」

「な、何もされてないよ!」

 レイラは目を丸くして慌てて手を振った。

「むしろ……助けてくれた……」

 一瞬、場の空気が止まる。

「……『助けてくれた』?」

 セセラの眉がじわりと寄ると、レイラは包み隠さず口にした。

「私……チンピラに絡まれちゃって、逃げられなくて……。そこを、通りがかったジキルが……そいつらを追っ払ってくれたの」

 視線を伏せながら、言葉を継ぐ。

「……また偶然……なのかな」

「…………」

 腕を組み、難しい顔になるセセラ。

「……お前、つけられてるんじゃねえか?」

「……そうだとしても」

 レイラはハッキリと答えた。

「敵意は、一切感じなかった。今日は……ただ、助けてくれた。だから……それを素直に感謝したいって、思った」

 セセラの目が細くなる。
 しばらく無言のままだったが、やがて低く呟いた。

「……まあ、それは……ある意味、俺らも感謝しなきゃいけねえところだがよ」

 その言葉にはどこか、しがらみのような苦味が混じっている。

「……っ」

 するとレイラが、僅かに声を荒げた。

「ねえ、薊野さん。なんでそんなに悪いように言うの? 私、確かに最初は怪しいし怖いなって思ったよ? でも……ほんとに、何もされてないんだってば」

「あ゙……?」

 セセラはその言葉に、目を細めたまま内心で思う。

(……うわ、レイラもこういうこと言うのか)

 そしてひとつ、「……チッ」と舌打ちをして──。

「……色々あったんだよ、昔。あの人、知識量は本物だけど、変わりモンだから。俺は……あんまいい印象、持ってねえの。そんだけだよ」

 感情を交えず、突っぱねるように吐き捨てた。

「……!」

 レイラはその反応に、少し俯いたまま──納得していないような顔でぼそりと呟く。

「……わかった」

 そして、レイラはそれ以上何も言わずに背を向け、部屋を出て行った。

 セセラはその背中を見送るように立ち尽くし、静かに息を吐く。

(……ジキルも、レイラも……何考えてんのか、ほんっとわかんねー……)

 コーヒーをひとくち。
 舌の上に残った苦味だけが、やけに重たく感じられた。


 ◇


 廊下の窓から、橙色の陽が差し込んでいた。

 人影もまばらな機関の中。
 レイラはゆっくりと足を進め、小さな休憩スペースの椅子に腰を下ろす。

 誰もいない。
 誰も気にしない時間。

 ──だから、心の中の声が、静かに浮かび上がってくる。

(……私、何か間違ってるのかな)

 手元には何もないはずなのに、レイラはふと自分の膝の上で指先を絡めた。

(助けてくれた。それだけのことなのに……)

 目を閉じれば、あの時の光景がよみがえる。
 ジキルの顔。笑顔。あの力。まるで異常なまでの強さ。

 けれど、それよりも──。

(……ちゃんと、私を心配してくれた)

 怖さもあった。でもそれ以上に、心に残ったのはだった。

(薊野さんがあんなふうに言うなんて、ちょっと……意外だったな)

 薊野セセラ──長く機関にいて、何もかもわかっているような人。
 でも、ジキルに関してはまるでようだった。

 レイラはゆっくりと目を開け、夕焼けに染まる雲を見つめる。

(……また、会うのかな)

『じゃ、またね』

 そう言って微笑んだ彼の声が、脳裏にふとよぎった。

 信じていいのか、警戒すべきなのか。
 心のどこかで、判断を保留している自分がいた。

(……もう一度、会ってみたい)

 ほんの少しだけ、そう思ってしまったことに。

「…………?!」

 レイラ自身が、一番驚いていた。


 ◇


 それから、3日後。

「おっ、レイラちゃんじゃん! ちょうどよかった~」

 街の中心にあるファーストフード店の前で、またもやジキルが笑顔で手を振ってきた。

「……また偶然?」

「ほんとに偶然! オレお昼休憩中なんだ。よかったら一緒にどう?」

 そう提案して自然に店の扉を開けるジキル。レイラは少し戸惑いながらも、つい足を踏み入れてしまっていた。

「好きなもの頼んでいいよ~。オレ、ポテトのLはマストなの。いっぱい食べるからレイラちゃんもじゃんじゃん食べて?」

「べっ別に、奢ってもらうつもりは……!」

「ええ~? いいじゃんいいじゃん、遠慮しないで。今日は龍の研究資金じゃなくてレイラちゃんごはん資金だから」

「……なにそれ……」

 ジキルはメニュー表の前で目を輝かせながら注文を選んでいる。

「ダブルチーズバーガーのセットとナゲットと……あ、ポテトはLで……。あとシェイクも頼んじゃおうかな~」

 レイラはそんなジキルの無邪気な様子を見て、つい呆気にとられていた。

(この人、本当に……薊野さんの言うような人なの?)

 そしてふたりで席に着くと、ジキルはトレーの上を嬉しそうに眺めながら──。

「ここの塩加減がね、たまらんのよ」

 ポテトを1本つまんで、にっこり。

「……あなた、思ってたよりずっと……普通なんだね」

「でしょ~? よく言われるよ。『ただの散歩好きなポテトおじさん』って」

「……何そのあだ名……ふっ……」

 思わずレイラが吹き出しかけると、ジキルも「やっと笑ったね」と小さく囁いた。

 その言葉に、レイラの頬が僅かに赤く染まる。

 ──そして、思った。

(……じつは、悪い人じゃないのかも……)

(でも、それなら……“あのとき”の怖さは、何だったの?)

 揺れる想いの中、フライドポテトの匂いと、ジキルの飄々とした端麗な笑顔が、心の奥に小さな火を灯していた。


 ◇


 数十分後、食事を終えファーストフード店を出たふたり。

 満足気なジキルは再び、レイラに声をかけた。

「ねえ、ちょっとだけ話せる?」

「……え……?」

 レイラは少し驚いた表情のまま、頷く。

 ふたりが向かったのは、静かな公園。
 ベンチに並んで腰かけ、ジキルは空を見上げたまま──ぽつりと呟いた。

「……君を初めて見た時、びっくりしたんだ」

「……なんで?」

「“リア”にそっくりでさ」

 レイラは一瞬、息を呑む。

「リア……?」

「リルの母親。……オレの、奥さんだった人だよ」

「……!!」

 その言葉に、思わず声が詰まった。

 ──リル、の……。

 やっぱり、そうだったんだ──。

 頭のどこかでは何度も予感していたこと。
 でも、こうして本人の口から聞かされると、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。

 レイラは言葉を失ったまま、ジキルの横顔をじっと見つめる。
 ジキルのその表情からは、いつもの軽さが消えていた。

「彼女は、もういない。何年も前に……、ね。どうにもならなかった」

「……そう、なんだ」

「それから、ずっと考えてた。“命”って何だろうって。人は、どうして簡単に死んじゃうんだろうって」

 レイラは黙って、その声に耳を傾けている。
 言葉を挟む余地が無かった。

「オレは……が、欲しかった」

「……それが、龍?」

 ジキルはゆっくり頷く。

「龍の生命力は異常だ。憑依の仕組みも、まだまだ解明されてないけど……君みたいに“生きていられる存在”は、ほんとに奇跡だよ」

「それって……私は研究対象?」

 レイラの問いに、ジキルはしばらく黙ってから──柔らかく答えた。

「……最初は、そうだった。でも今は……君自身に、興味がある」

「……どういう意味……?」

「言葉通りだよ。君が、君として生きてること。怒ったり笑ったり、強くなろうとしてること。それが……なんか、嬉しいなって思うようになったんだ」

 その声には、誤魔化しの無い静かな感情があった。

 レイラは少し目を伏せて、小さく呟く。

「……変な人」

「よく言われる」

 ふたりの間に、風が吹き抜けた。

「でも……ありがと。私、今ならちょっとだけ、あなたの研究に協力してもいいって思える」

「……!」

 ジキルは驚いたように目を見開いたあと、すぐに優しく微笑む。

「……ありがとう、レイラちゃん」

 それは、亡き妻への想いと、今を生きる少女への敬意が混ざった、深い感謝だった。

 しばらくして、「明日もできれば会いたいな」というジキルの言葉を承諾し、それぞれの帰路につくふたり。

(今日のことは……薊野さんに……言わなくていいか……)

 レイラの切ない感情が、黄昏に溶けていった。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

花鳥見聞録

木野もくば
ファンタジー
花の妖精のルイは、メジロのモクの背中に乗って旅をしています。ルイは記憶喪失でした。自分が花の妖精だったことしか思い出せません。失くした記憶を探すため、さまざまな世界を冒険します。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

処理中です...