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コヨタ

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第3話 仲直りの報告

第3話・2 もう仲直りしたけど

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 ──後日。

 廊下の奥、ガラス張りの会議室。
 その中で、数人の職員たちがモニターを囲みながら静かに話していた。

「……で、紫苑の子。あのレイラだが」

 スーツ姿の中年男性が、資料を手元に置きながら言う。

「適性B以上の安定を半年以上継続。任務帰還率も高い。単独行動の方が良いという判断だったが、先日の精神評価で調の兆しあり」

「……つまり、次からは誰かと組ませても問題ないってこと?」

「というより──」

 別の職員が小さく笑った。

「今のうちに誰かと組ませておくべき、じゃないかって話になってる。このタイミングなら、彼との組み合わせが一番自然だろう、ってね」

「彼……?」

「リルだよ。紅崎リル。こっちも、精神安定には多少の課題ありだけど」

「……はあ~~~、あのふたり、同じ任務に?」

「仲直りしたらしいよ。薊野さんのカウンセリング記録にも書いてある。葉室さんも、慎重ながら推奨してる」

「……こっちとしては、ふたりとも“危険寄り”の個体だからさ。外に出すならむしろ組ませたほうが、制御しやすいって意見も出てるみたい」

「やれやれ……でも、どっちにしろ本人たちには通達するんでしょ?」

「正式には、明日以降だってさ」

 そのときだった。

 会議室の外──廊下の角。
 その影に、ひとりの小柄な姿が立ち止まっている。

「…………」

 レイラだ。

 飲み物でも買いに行こうと廊下を歩いていた際に、たまたま開いていた扉から思わず会話が耳に入ってしまった。

(……え?)

 胸の奥が、一瞬で冷える。

(私が……リルと、一緒に任務に……?)

 ずっと、ひとりでやってきた。
 それが当然だったし、誰かと組むなんて、考えたこともなかった。

(なんで今……?)

(仲直りしたからって……そう簡単に……)

 胸の奥がざわつく。
 あのとき、確かに仲直りしたとは言ったけど、これは──。

「……どうしよう」

 ぽつりと、独り言が漏れる。

 その小さな声は誰にも届かず、ただ、白く磨かれた廊下に吸い込まれていった。

 心の中でぐるぐると渦を巻く不安と、現実感の無さ。
 仲直りした──たったそれだけで、いきなり組まされるなんて。

(リルだって、今は……西城家に戻ってるはずなのに)

 あの日から会ってもいない。言葉も交わしていない。

 ほんの数日ですれ違ったままの距離感なのに。

(それなのに、いきなり一緒の任務って……)

「何してんだ、お前」

「……!」

 その低い声に、ハッと肩を跳ねさせるレイラ。

 振り向くと、手に書類を抱えたセセラが、やや眠そうな目で立っていた。

「……っ、薊野さん……」

「顔強ばってんぞ。廊下のゴキブリかなんかと目ぇ合った?」

「……そんなんじゃない……」

 レイラは視線を逸らしながら、珍しく語気を強める。

「……ちょっと、話が聞こえただけ。偶然」

「はぁ?」

「……私とリルが、次の任務で一緒になるって……。そんなの、誰からも聞いてないのに……勝手に……」

 言葉が先に溢れた。
 レイラ自身、止められなかった。

「いくら仲直りしたとは言っても……頻繁に一緒にいるようになったわけじゃないし……むしろ、あの日以来……会ってもない。話してもないのに……」

 拳をぎゅっと握りしめる。

「……どうして、勝手に……」

 焦りと、困惑と、ほんの少しの怒りが滲んでいた。

 セセラはそれを黙って聞いていた。
 書類を片手でひょいと持ち直しながら、いつも通りの無愛想な口調で、ふと呟く。

「まあ、上はそういうとこだ」

「……っ」

「『ちょっと落ち着いた』って情報があれば、『じゃあ任せてみるか』ってなる。ガラスの心でも鋼のメンタルでも、扱いは一緒」

「……だからって……」

「でも」

 セセラがそこで、レイラの肩をぽんと軽く叩いた。

「気にくわねーなら、直接言えばいい。俺にでも、上にでも、リルにでも」

「……っ」

「ただ、それで後悔しねえならな」

 そう言い残して、セセラは書類を片手に再び歩き出す。

 その背中はあくまで気怠げで、何も強制しない。
 だが、確かにレイラの焦りを受け止めた上で、選択肢を渡していた。

「…………」

 小さく唇を噛み、黙ったまま背中を見送るレイラ。その足音が廊下の奥に消えていく。

 レイラはその場を動けずにいた。

(直接言えばいい、か……)

 確かに、セセラの言うことは間違っていない。
 だが、言えたなら、こんなに悩んでいない。

 レイラはそっと窓辺に歩き、ガラス越しの空を見上げた。

 高く、どこまでも透き通った青。
 しかし、心の中は曇ったままだ。

(あの日、仲直りしたって、確かに私は言った。でも、それって……一緒に任務に出られるって意味じゃない)

 あの日レイラの心に灯ったのは、少しわかり合えたという、小さな安心と、微かな希望だけだった。

(まだ……怖い)

 それが本音だった。

 リルが嫌なわけじゃない。
 でも、“龍に憑かれている”という共通点があるだけで、それだけでチームにされるのは、どうしても──。

(……それに、あの人だって……どう思ってるかなんて、わかんない)

 あの時、泣いていた姿。
 そして「……リルでいい」と言った小さな声。

 ちゃんと覚えている。優しいと思ったし、少し嬉しかった。

 でも、それと、任務で一緒に行動することは──違う。

(……それでも)

 強く、目を閉じる。

(もし、今逃げたら。私はきっとまた、……独りに戻る……)

 それが一番、怖かった。

 ──だから。

(せめて、ちゃんと考えよう。ちゃんと、自分で決めよう……)

 手のひらを見つめる。小さく、震えていた。

「……私、どうしたいんだろ」

 小声で呟いた言葉は、誰にも届かないまま、静かな空間に吸い込まれていった。

 そのときだった。

「レイラちゃん?」

 反射的に振り向いた先にいたのは──ラショウ。

 手に書類を持ったまま小さく首を傾げている。

「……ラショウ……!?」

「ふふ、びっくりさせちゃった?」

「う、ううん……。あの、ごめん、変な顔してたら……」

「ううん、変じゃなかったけど……ちょっとだけ、元気なさそうだったから」

 そう言って、ラショウはそっとレイラの隣に立った。

「廊下、涼しいね。風が気持ちいい」

 レイラは隣に並んだその存在に、ふと肩の力が抜けていくのを感じる。

「……ラショウは、いつも誰かに優しいね」

「え?」

「……いや、ごめん。なんでもない……」

「ふふ、でも嬉しい。ありがとう、レイラちゃん」

 ラショウは、ほんの少し照れたように笑った。

 その笑顔は、今のレイラには少しだけ沁みるようにあたたかかった。

「ねえ、よかったら……お茶でも、どう?」

「……えっ?」

「ここでぼんやりしてるより、気分転換になるかなって思って。さっきもらったお菓子、まだ少し残ってるの」

 ラショウの誘いは、押しつけがましくもなく、ただそこにあるだけ。

「…………」

(……ひとりで考えるより、もしかしたら)

 レイラはほんの一瞬だけ迷ったあと、小さく頷いた。

「……うん。ちょっとだけ、なら」

「うんっ、じゃあ休憩室に行こっか」

 そう言って、ラショウはレイラの前をふわりと歩き出す。その背中を見つめながら、レイラは自分の足で歩き出した。

 何かを“決める”前に、誰かと少しだけ“過ごす”こと。

 それが、今の自分に必要なことなのかもしれないと思った。


 ◇


 休憩室に着くと、ラショウは慣れた手つきでケトルをセットし、お菓子の缶をそっとテーブルに置いた。

「この前いただいた和三盆のクッキー、ちょっと甘くて優しい味なの。レイラちゃん、甘いの平気?」

「……うん。ありがとう、ラショウ」

 名前を呼んだ瞬間、ラショウの笑顔がふわっと明るくなる。

「うふふ、嬉しい。ちゃんとって呼んでくれるの、なんだか改めて照れちゃうね」

「……いや、正直、呼び捨て……慣れてない……」

 レイラは湯気の立ち始めたカップを手に取りながら、視線を伏せた。

「でも……うん。なんか、落ち着くかも。ラショ……といると」

 その言葉に、ラショウは少し目を見張ったあと──にこっと優しく微笑む。

「レイラちゃん、ね、ちょっと悩んでる?」

「……え」

「ううん、言わなくていいよ。なんとなく、そう思っただけだから」

 ラショウはクッキーを1枚差し出して、カップの湯気をふうっと吹いた。

「私ね、昔から優しい人って言われるけど、たぶん……本当の意味で人に寄り添うのって、すごく難しいことだなって思ってるの」

「……どういう意味?」

「えっとね……誰かのそばにいるだけじゃ足りないの。相手が“見てほしい部分”と、“見られたくない部分”、そのどっちにも目を向けないと、優しいって言えないのかなって……」

「…………」

「だから、もし……レイラちゃんが、誰かと何かを一緒にやるって時に不安になるのは、きっとそれだけ本気で考えてるってことだと思うんだ」

 ラショウの声は、まるで午後の光のように静かで優しい。

 レイラは黙ってそれを聞いていたが、心の中で何かが静かに落ち着いていくのを感じていた。

「……ラショウはさ、誰かと組むっていう場面があるとして、怖いと思う?」

「え、うーん……私は、そういうの実際に怖かったこと、あるよ。でも、それでも関わりたいなって思ったの」

「…………!」

「きっとね、怖くなるってことは、真面目だからだよ」

 クッキーを口にしながら微笑むラショウは、やっぱりどこか強かった。

 そして、優しかった。

 レイラは紅茶のカップを両手で包み込むようにしながら、小さく息を吐く。

「……ありがと、ラショウ。なんか、ちょっと楽になった気がする」

「ふふ、よかった。じゃあ、そのまま甘いの食べて、もうちょっとだけ肩の力抜こ?」

「……うん」

 ぽつぽつとしたおしゃべりと、あたたかい湯気。
 その小さな時間が、レイラの背中をそっと押してくれるようだった。


 ◇


 数日後、龍調査機関──午前8時30分。

 廊下に機械的な足音が響く。
 届けられた書類が次々に各班へ配布され、壁の掲示板には新しい任務予定が貼り出されていった。

 レイラはいつものように任務表の前で足を止めた。
 職員たちがざわめきながら掲示板に目を通す中、目が自然と自分の名前に引き寄せられる。

(……紫苑レイラ。戦闘班、第二調査班、……現地調査任務)

 そのすぐ右隣に、同じく赤い文字で──。

(『紅崎リル』……)

「……ッ」

 その瞬間、心臓が跳ねた。

(……本当に、私と……)

 まるで夢だった出来事が、現実として文字になってそこにある。

「おおっ……あのふたりが組むのか……」

「マジで? 初コンビだよな」

「大丈夫なのか?」

 そんな周囲のヒソヒソとした声が、微かに耳に届く。

(……私、どうすればいいんだ)

 その場を離れようとした時だった。

「……いた」

 低く、短い声。

「……!」

 背後からかけられたその言葉に、レイラの全身がぴたりと止まった。

 ──ゆっくりと振り返る。

 そこにいたのは、リル。

 黒色の私服に鋭い赤い瞳。変わらない姿──けれど、どこか前より話しかけやすくなったような、不思議な印象もある。

「……よぉ」

「……リルさん……いや、……リ、ル……」

 少しだけ、が空く。

 お互いに、何から話していいかわからない。
 それでも、あの“西城家の午後”があったから、視線を逸らさずにいられた。

「……あー……お前、任務表、……見た?」

「……うん。見た」

「……組まされるのなんて、初めてだな。……ま、今更か……」

 リルの声は、少しだけ硬かった。
 だが、それはレイラも同じ。

「……まさか本当に組まされるとは、思ってなかった」

「オレもだよ……」

 ほんの一瞬だけ、ふたりの間に苦笑いが交差した。

 空気はまだぎこちない。
 だけど確かに、“向き合うこと”を避けない姿勢がそこにあった。

「……とりあえず、やるしかねえだろ」

「……うん。……そうだね」

 それが、ふたりの初めての“任務前会話”だった。


 ◇


 ──数時間後。
 龍調査機関・簡易ブリーフィングルーム。

 壁面に資料が投影される中、レイラとリルは並んで椅子に座っている。
 お互い、視線を合わせるでもなく、でも明らかに意識はしていた。

「今回の任務は、ここ。北部第六地区──龍発生渓谷帯りゅうはっせいけいこくたいの定期調査だ」

 そう口を開いたのは、ふたりの目の前に立つセセラ。

「現地には古い龍の痕跡が多く残ってるが、ここ最近になって“反応値”が微増してる」

 スクリーンには、切り立った断崖と霧が渦巻く谷の衛星写真が映し出されている。

「今のところ敵性個体の出現は確認されてねえが、再活性の兆候って見方もある」

「……じゃあ、調査って言っても“何かがいるかもしれない”って感じ?」

 レイラが尋ねると、セセラは頷いた。

「そ。何も無い可能性も高い。だが何かあるとしたら、対応できる人間を最小数で送る必要がある」

「最小数……私と、リル?」

「お前らはの抑止力になると見込まれてる。それに、お互いに龍の影響下にあるなら、未知の龍因子りゅういんしにも反応しやすい」

「……もしもの時、か」

 そう呟くのはリル。
 椅子に浅く座りながら、腕を組んでモニターを見ているその横顔には、僅かに緊張の色があった。

 レイラも、無意識に袖口を握りしめる。

(……もしもの時に……って、そう簡単に言われても)

 しかし、リルの隣で任務を受けるのは、もう避けられない事実。

「出発は明朝。詳細は端末に送っておく。動きやすいよう、今のうちに装備の確認と調整をしておけ」

 そう言って、セセラはブリーフィングを締めた。

 照明が落ちる。ふたりきりになる前に、レイラはそっと声を漏らす。

「……やっぱり、本当に一緒に行くんだね」

 リルは言葉を返さなかった。
 ただ、ほんの一瞬だけレイラの方を見て、すぐに目を逸らす。

 その視線は──否定では無かった。


 ◇


 翌朝。
 午前5時20分──龍調査機関・出発デッキ。

 空はまだ夜の名残を引きずっていた。
 うっすらと明るみ始めた空に、ひんやりとした風が流れている。

 出発デッキの片隅に、レイラの姿があった。

 黒いフード付きの上着を羽織り、水色の髪を風に揺らしながら、静かに空を見上げている。
 その赤い瞳──強さの中にどこか切なさを宿していた。

 背中には調査用パック。
 腰に固定された軽装のホルダーと、足元には馴染んだブーツ。

 全てが“準備完了”の形をしていたが、胸の奥には、まだ僅かな緊張が残っていた。

「……よう」

 重い足音と共に、黒と赤の影が現れる。

 ──リルだ。

 華奢な背中を覆うようなボロボロの紅色と黒色の大きなマントが、まるで龍の翼のように揺れている。それに付属する高い襟が口元まで覆い、鋭い赤の瞳だけが覗いていた。

「……おはよう。私も、今来たところ」

 レイラが答えると、リルは無言で視線を前へ向ける。
 その横顔は相変わらず強張っているようで──だが、どこか覚悟を決めたようにも見えた。

「行くか」

「……うん」

 互いに多くを語らず、それでも足並みは自然と揃っている。

 ふたりが乗り込んだ小型調査機は無音に近い駆動音と共に滑走し、静かに、薄明の空へと浮かび上がった。


 ◇


 現地──龍発生峡谷帯・上空。

 調査機のハッチが開き、冷たい風が内部に吹き込んでくる。

 外には切り立った崖と、うねるような断層。
 その全てを覆う霧が、まるでを隠すかのように、どこまでも続いていた。

『現地、到着。通信リンク、問題無し』

 レイラとリルの片耳に装着されたインカム越しに、無線を繋ぐセセラの声が入る。

 ふたりは無言で頷き、立ち上がった。

 フードが風に揺れ、翼のようなマントがはためく。

 そして、静かにナビゲーターから着地のカウントが始まった。

『──着地まで、あと10秒。お気をつけて』

「……リル」

「ん?」

「改めてだけど……よろしく」

「……ああ」

 目を合わせずに返したその言葉は、それでも確かに“信頼”の種が芽吹いているのを感じさせた。

『5、4、3、2、1──』

 ──Deploy

「!!」

 調査機の底部が開き、ふたりの影が霧の中へと吸い込まれていく。

 重力に逆らわず落ちるふたり。
 風を裂く音。両者の黒い衣装が翻る。

 空のような高所ではない。しかし地表までの数秒が、永遠のように長く感じられた。

 そして──。

 降り立ったふたりの足が、大地を静かに踏みしめる。

「…………!」

 その場所は、数十年前に龍が眠り、そして再び“目を覚ましかけている”とされる地──龍発生峡谷帯。

 静寂の中、最初の一歩が刻まれた。



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