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コヨタ

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第11話 ただいま、おかえり

第11話・1 お疲れさま!ヒーローたち

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 翌朝の龍調査機関・医療棟。

 あたたかい陽が射していた。
 白くて無機質な天井も、今日に限ってはどこか優しく見えた。

「……ふぁ……」

 リルがベッドの上であくびをひとつ。
 体はまだ怠いが、問題無く動ける。

 その隣では、レイラが窓の方に顔を向けて座っていた。

「あ、起きた? ……いい天気だよ」

「ん……、こんな晴れてんの、何日ぶりだ……」

 思わずふたりで笑い合う。
 笑うだけで、こんなにあたたかいなんて、少し前まで思いもしなかった。

 ──コン、コン……

 部屋の扉が軽く叩かれる音。

「……失礼します」

「……! ラショウ……!」

「レイラちゃんっ……!」

 入室するやいなやラショウが駆け寄ってきて、レイラの手を両手でそっと包み込むように握った。

「……よかった、ほんとに……っ……」

 その目には涙が滲んでいる。

「ごめん、また心配かけたね」

 レイラが少し照れくさそうに微笑むと、その体にぎゅうっと抱きつくラショウ。

「わ……!」

「無事でよかったよ……っ……!」

「……え、へへ…………」

 そして、一歩遅れて入ってきたのは──アシュラ。

「……レイラ、リル。……おかえり」

 その声に、リルが返答する。

「……ただいま。なんか……オレらも派手にやっちまったな」

「ふふ、らしくていいじゃないか」

 アシュラの笑みに、リルは思わず鼻を鳴らした。

「へっ……」

「安心したよ。本当に、よく帰ってきてくれた」

 アシュラがそう言ったとき──。

「おーい、仲良しさんたちの再会はその辺で打ち切ってくださあい」

 扉の外から、ふざけた声が聞こえてくる。

「はいはいはい、ここが本日限定のね。入るよ」

 そのまま入ってきたのはセセラだった。
 その後ろからは、シエリがついてくる。

「さて。改めて……レイラ、リル」

 シエリは静かに、でもはっきりと。

「おかえり。そして、ありがとう」

「シエリ先生……」

「……オレたちは、任務に出てただけだぞ」

 リルが肩をすくめて言うと──。

「そうか。じゃあその任務、満点合格だね」

 シエリのその声はあたたかく穏やかだった。
 その隣で、セセラがニヤッと笑う。

「だからご褒美にさ……今日は、あの職員たち皆が、お前らに『飯おごる』ってさ」

「えっ?」

 ポカンとするレイラ。

「ほんと? ……それ」

「マジ。ほんと。あの仕事至上主義のデータ班が焼き菓子焼いてさ、『上手く焼けた~!』って震えながら持ってきたよ。あれは笑った」

 ラショウがクスッと笑い、レイラがホッとしたように表情を緩める。

「……じゃあ、行こっか」

「うん。皆さんに、ただいまって言いに行かなきゃね」

「……しょうがねえな……」

 レイラとリルは並んで立ち上がった。

 今日は、戦わなくていい日。
 ただ、笑っていても許される日。


 ◇


 龍調査機関・社員食堂。

 扉が開いた瞬間、ぱあっと空気が明るくなる。

「──おかえりなさい!!」

「レイラちゃん! リルくん!!」

 拍手が、どっと湧き起こった。

 戦闘班、医療班、解析班、補給班、清掃員などなど。普段は部署が違ってなかなか話す機会の無い職員たち。

 全員とはいかなかったが、この日ばかりは大勢の人たちがひとつの空間に集まっていた。

「……うわ……マジで来てる……」

 やや面食らったような表情を見せるリル。

「私たち……こんなに……?」

 レイラの呟きに、後ろからシエリがぽつりと声をかけた。

「これが、キミたちが救った場所だよ」

「…………!」

 食堂の中央にはテーブルがいくつも並べられ、そこには──おにぎり、サンドイッチ、デザート、焼き菓子、ジュース……職員たちが持ち寄った手作りの食べ物や沢山の飲み物が所狭しと並んでいる。

「……おい、誰だケーキに『がんばったね』って書いてんの……」

「ん? 僕だよ。リルくんはパフェよりケーキ派だと聞いて……ふふ……」

「データ班そんなん記録してんじゃねえよ……!」

 言いつつ、リルの口元はしっかり緩んでいた。

「これ、よかったら……レイラちゃんに……! ……昔、誕生日のときに喜んでくれたから……」

 そう言って小さなクッキー缶を差し出す女性職員。
 レイラは驚いたような顔をして、そして少し潤んだ目でクッキー缶を受け取る。

「覚えててくれたんだ……ありがとう……!」

「はいっ、写真撮りますよお~!」

 明るい性格の男性職員がカメラを手にすると、他の職員たちがわらわらとふたりの周りを囲み始める。

「ちょっと、押さないで~!」

「レイラちゃんが笑った! 今撮って!」

「リルくん、笑って! 無理矢理でもいいから!」

「無理矢理はやめろや……!」

「でも笑ってるじゃん!」

「うるせえ!」

 ドタバタと賑やかな時間。
 しかしその中に、“生きてる”という感じが確かにあった。

 ──遠くの壁際で、シエリがふうっと息を吐くように微笑み、セセラがその隣でぼそっと呟く。

「……賑やかだな、先生」

「フフ、よかった……。やっと、“皆で笑っている絵”になっているね」

「ああ。こんなに眩しいなんて、思わなかった」

 そして、ふたりは遠くからそっと手を振った。

 それに気づいたレイラもリルも、楽しそうに手を振り返す。

「……はっ、浮かれちまって。……可愛いなマジで」

 もうただの研究対象じゃない。
 ここに、仲間として帰ってきたのだ。

 ──そして。

 ふと、アシュラとラショウがレイラの隣に寄ってきて、ラショウがぽつりと小声で話す。

「ねぇ、レイラちゃん……。リルくん、すごく楽しそうで嬉しいね」

「……うん」

 レイラは静かに頷いた。

「私……この場所を守れてよかったって、思ってる。今ならそう言えるよ」

 その言葉にアシュラが答える。

「うん。俺も……レイラたちを誇りに思うよ」

 やわらかな笑顔が、3人の間に広がった。


 ◇


 ──社員食堂、宴もたけなわ。

 レイラとリルが皆に囲まれて、プリンをひとくち食べては「あっ、これ美味しい……」と笑顔を零し、職員たちは「やったー!!」「記録取って記録!!」と大騒ぎしていた。

 その少し離れた壁際で、ひとり──。

 もたれるようにしてジュース片手に立っていたのが、セセラだった。

「……ふ~……やっと一息」

 その顔にはほんの少しの疲れと、誇らしさ。
 だが、それもほんの一瞬。

「薊野さん!!!」

「わ゙ッ!?」

 弾けるような声と共に、職員たちが駆け寄ってきた。
 その背後には明らかに挙動不審な解析班の男性職員や、笑顔を作りきれず目を泳がせている医療班の若い女性職員たちの姿。

「きゅ、急に何だよ……!?」

「ちょっとだけ、いいですかっ!」

「この場を代表して……! 薊野さん、本当にお疲れさまでした!!」

 頭を下げられるセセラ。

「へぇ!? いや、俺は別に……あのふたりが戦ってただけだし……」

「いえっ! 薊野さんが霧の発生源を見つけたり敵を足止めしたりしてなければ、私たち誰も生きてなかったかもしれません!!」

「むしろ、あなたの無線の声が一番落ち着くって言ってた人、多いですから!! ええ声だから!!」

「……え……そ、そうなの?」

「あとあと、これ、ささやかなプレゼントです!!」

 そう言って差し出されたのは──『薊野さんありがとううちわ』。

「…………あ、あら…………」

 表面には「よくがんばりました!」「最高でした!」「No.1!」の文字。
 裏面には、なぜか微妙にデフォルメされたセセラがおにぎりを片手に笑っている姿が描かれていた。

「……えぇ……マジで……???」

 一瞬固まるセセラ。
 その周囲に「あっ、本人に渡すのってこんなに恥ずかしいものだったの!?」「やばい心臓飛び出そう!」と騒ぐ職員たち。

「……ったく……マジかよお前ら……」

 しかしセセラはそのうちわをきちんと受け取った。
 ほんの少しだけ、目元が緩んでいる。

「ちゃんと研究員してんじゃねぇか、全員よ……」

 その言葉に、周囲の職員たちは一斉に笑顔になった。

「つうか、これ描いたの誰?」

「わ、私です……! 気付いたら描いてました……! ずっとファンで……!」

「ふぁ?! いや俺、ファンつくほどの人間じゃねえだろ……!?」

「でもカッコよかったんです……!!!」

「うっ……、ま、俺モテるしな~!」

 セセラ、さすがに照れる。
 そのドヤ顔でキャーキャーとなる今まで隠れていた薊野ファンたち。

 その様子を少し離れたテーブルで見ていたレイラとリル、そしてアシュラとラショウ。

「……薊野さん、モテるね」

「アイドルみてえになってんな……」

「ふふふっ……『おにぎり持ってる姿』が選ばれたのが地味に好きかも、私……」

「なんであんな照れ方してるのに、顔がいいままなんだ……」

「アシュも『顔がいい』とか言うんだ!?」

「……? え? うん、言うけど……?」

 笑い声がテーブルに広がる。

 シエリがセセラの隣に歩み寄ると、小さく声をかけた。

「よかったな、セセラ……。キミは支える側に徹していたけど、ちゃんと見ていた人がたくさんいたな」

「…………」

 セセラはジュースを一気に飲み干し、目を逸らしながら呟く。

「……見てなくていいのに、マジで……」

 そう言いながらもその手にはしっかり、手作りのうちわが握られていた。


 ◇


 ──やがて、夜の帳が降りる頃。

 陽が落ちかけた廊下に、オレンジ色の光が射し込む。

 盛り上がっていた『ありがとうパーティ』もゆっくりと落ち着き始め、テーブルに残されたお菓子や空になった紙コップたちが、温かな余韻を物語っていた。

「ふぅ……食った……」

 リルが椅子にもたれかかりながら呟く。食ったという割にはその腹は薄い。
 大食いをしたわけではないが、それでも「よく食べた」と言える量だった。

「……満足?」

 レイラが隣で小さく笑って問う。

「ま、まぁ……」

「もっと食べてもいいんだよ」

「うるせぇ……誰かが見てると無理なんだよ……」

 そう言って顔を背けながら、唇をツンと尖らせる。

 アシュラとラショウも近くのテーブルで静かに座っていた。

「兄様も楽しそうだね」

「ん? ……そう見える?」

「うん。なんだか、ホッとした顔」

「……あいつらが帰ってきたんだ。当たり前だよ」

 そっとコップを傾けるアシュラ。

 ──その頃。

 少し離れた角で、セセラはうちわを胸ポケットに無造作に差し込んだまま、データ端末を眺めていた。

「……ようやく、片付いたか……」

「まだ全部は終わっていないけどな」

 声をかけてきたのはシエリ。
 足音は小さく、だが存在感はしっかりあった。

「ふぅ~ん……人気者だったみたいじゃないか、『薊野さん』」

「勘弁してくれよ……俺はずっと裏方が良かったのに……」

「でも、誰かの後ろにいても、キミはいつも真ん中だったんだよ。皆がそれに気付いただけ。……キミが、一番自分に気付いていなかっただけだ」

「…………」

 セセラはほんの一瞬だけ視線を落として、ポケットのうちわに触れる。

「……このくらいの距離がいいんだよ。皆が無事で、笑ってる。それを見て、俺がホッとする。……それで十分だ」

「ホントに、素敵な研究者だな」

「なんだよ先生……。褒めても何も出ねえぞ?」

「フフッ、知ってる」

「なんだっつうの。なんかしてほしいのか? 抱っこでもする?」

「それはキミのファンたちから嫉妬を買いそうだな……」

 微笑むシエリ。
 その表情は、誰よりも誇らしげだった。

 ──食堂の中央。

 アシュラとラショウが片付けを手伝っている中、レイラとリルは隣同士で座っていた。

「……なぁ」

「うん?」

「……オレ、ちゃんと帰ってきてよかった」

「……うん。私も、そう思ってる」

 その言葉に、少し遅れて夜風が窓を揺らす。

 どこか遠くで誰かが「もうお開きだぞー!」と叫び、それに「もうちょっとだけいいじゃん~!」という笑い声が重なった。

 機関は、今日も生きている。

 生きて、守られて、笑っている。

 日常という名の、一番あたたかな景色の中で。


 ◇


 夜風が涼しい中庭。
 一日を通して盛り上がった空気もようやく落ち着き、あの大騒ぎだった食堂も静かになっていた。

 レイラは、ひとり外に出て中庭のベンチに座っていた。

 ぼんやりと空を見上げる。

 夜の星は、心が洗われるほど綺麗だった。

「……なんか、夢みたいだな」

 ぽつりと呟いたその声に──。

「現実だよ」

「わ!?」

 隣にいつのまにか、リルが座っていた。

「ビックリした……もう寝たかと思った」

「眠れなくて。少し歩いてた」

 ふたりの会話は短い。
 けれど、間に流れる空気が優しい。

「……昔さ」

 レイラがぽつりと話し始めた。

「ここに来たばかりの頃……もう二度と、普通の夜なんて来ないんだって思ってた」

「…………」

「でも今は……こうして、あの頃より少し、夜があったかく見えるんだよ。それって……たぶん、きっと」

「……誰かと、生きてるからだろ」

 リルが目を伏せたまま、静かに答える。

「……オレも、昔は……どうせまたすぐ死にかけるしって思ってた。なのに……今は、もうちょい生きてみてもいいかなって思うこと、ある」

「……そっか」

 小さく微笑むレイラ。その笑顔にリルは視線を逸らした。

「……な、なに。そういう顔で見んじゃねーよ。恥ずかしいだろ」

「ふふっ、じゃあ、見ない。そっぽ向いとく」

「……逆に気になるだろ……」

 ふたりの小さな笑い声が、小さく夜に溶けた。

 その静かな時間の中、互いに少しずつ、胸の中の傷が癒えていく。

 もう、ひとりじゃない。
 ちゃんと、おかえりを言ってくれる場所がある。

 そんな夜だった。

「…………」

 しばらくの沈黙。
 だが、それは決して気まずさではなかった。

 静かな風の音が、ふたりの間に優しく流れていく。

 リルは足元の小石を足先でいじりながら──。

「……なあ、レイラ」

 ぽつりと。

「ん?」

「……オレさ、あんとき、クラヴィスの中にあった記憶とか……アイツらが見せてきた過去とか、けっこう本物だった気がする」

「…………」

 ゆっくりと頷くレイラ。

「うん。私もそう思った。あれは私たちがずっと隠してきた、痛みだった」

「……ん……」

 リルは静かに、空を見上げる。

「……オレたち、誰かに見せたくなかった過去を、あいつに全部、引きずり出されちまったわけだけど……」

「でも、あれに勝ったのは、今の私たちだったんだよ」

 レイラの声は、どこか誇らしげだった。

「ん……そうだな」

 そう返したリルの横顔は、ほんの少し、晴れやかで。

「オレ、やっぱここ、好きかも」

「えっ?」

「うるせえヤツら多いし、飯は薄味だし、課題は多いけどよ。でも、西城家の他にできた帰る場所だって思えるようになった」

 レイラは、その言葉に目を見開き──。

「……そっか。うん、私もそう思うよ」

 ふたりはまた黙る。
 それでもその空気は、優しさに包まれていた。

 やがて、リルがふわっとあくびを漏らしながら立ち上がる。

「……戻るか」

「うん」

「……明日もなんか検査だろ」

「だろうね」

「くそ……休ませろよマジで……」

「ふふ、行こっか」

 ふたりは並んで歩き出す。

 夜が、明けていく。
 少しずつ、確かに、明るい方へ。



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