神子の余分

朝山みどり

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30 ミツルギの治療

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どうしてもルークがヘタレで話が進みませんでした。やっとルークが歩き出してくれました。


◇◇◇◇◇◇
フェルナンドへ差し入れのことを相談して、厨房に頼むことにした。

お腹が減ってる若いのに差し入れると言うと
「要は騎士に食わせるようなやつですね。肉をたくさん用意しますよ」と引き受けてくれた。

それから彼らが嫌じゃなかったら、連れて帰りたいと言うと、フェルナンドは少し考えたが

「それくらいなら、どこでも仕事はあるし、勉強したいなら援助するし、剣を使えるようになりたいなら教える。ルークの恩人は俺の恩人だからな、出来るだけのことをしたい」と頼もしく答えてくれた。

そこに隊長からの使いが来て、僕たちは会いに行った。

「この国の瘴気なんだが、最初に聞いたよりの酷い状態になっているようだ。ルークの安全」

「行きますよ。国民には罪がないですよ」と被せて答えた。油断しているとフェルナンドが危ない所には行かせないなんて言い出すから先に言い切った。
あれ?二人とも・・・呆れちゃった?

「国民というのか?」「国民!」と二人がお互いに顔を見合わせている。なんだ?変なことを言った?

「そうだな。国の民だ。国民だ。平民と言うより優しい。慈悲に溢れている。やはり神子様なんだな」
「そうだな、フェルナンド。神子様だ」

「それで神子様、危ない所は」と隊長が言いかけたのを
「頼もしい、皆様と一緒だと」と笑うと、もう一度二人は顔を見合わせて

「そうだな、守ればいいんだ」と隊長は言うと
「訓練しておくか」と立ち上がった。

「ミツルギの腕の治療をやりに行きます」と僕はフェルナンドに言った。

ミツルギの部屋にはハロルド王子が来ていたが、二人の間の空気はなぜか冷たい。何故だ?

「オオヤナギ。お前が神子だと言うのは本当か?」

いきなり、そう話しかけられた。なんかムカつく。

「はい、アガペーナ王国ではそうですね」とはっきり答えた。
「何故、逃げ出したのか?」
「殺されそうになったからですよ」
「あれはお前が・・・」
「うるさいですよ。この国の神子を治療しにきたんですけど、邪魔するならやめますが・・・大体、その程度自分で治療すればいいんですよ。どうしますか?」
「く・・・オオヤナギ!生意気な」とミツルギが言いかけたが、ハッと気づいて黙った。

そこをフェルナンドが、後ろに周り、両腕を押さえた。
「これでいいか?」
「はい、大丈夫です」と言いながら治療を始めた。
切れた腱が固く縮んでいた。伸ばして繋いだ。痛がっているが無視して続けた。今回はこのために押さえつけて貰ったのだ。

痛くて暴れられたら面倒だから・・・

「はい、終わり」と言ってフェルナンドを見たら、ニッと笑いが返って来て、ミツルギを離した。

「では、これで」とハロルド王子に言って部屋を出ようとしたらミツルギが言い出した。

「おい、顔を返せ。全部、俺のものじゃないか。その顔も体も。かっこいいだろう。どうだ?抱いたのか?よかっただろう?俺だ」
「何を言ってるんだ」とハロルド王子がミツルギの顔を覗き込む。

「全部、聞かせてやるよ。たっぷりとな」とミツルギがソファにどっかりと座った。

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