【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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12 お勉強するんだって?

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「そうだ!爺ちゃま。何か俺さ、美人になったねって言われたんだ。変じゃない?俺、男だよ?」

「ん?むむむむ……?リトはワシの可愛い孫じゃが……?リリーさんよりシュリに似ておるから……そう言われてみると、おや?去年とは雰囲気が違うか?違うのう……。そう言われてみると……ふむ?」

 美人じゃ!カレンも、リリーも去年とは別人なほど美人になったが、リトよ、お前何があった??爺ちゃまにほっぺたをくりくりされる。

 爺ちゃま、俺何もしてない。これは完全に愛と美の神様が加減を間違えたやつかな……!?

「むむ……リトを学園に通わせるには一波乱も二波乱もありそうじゃな?」

 それでも爺ちゃまは笑ってくれたので、俺達はほっとした。

「ルシリア伯爵、この子達をあなたの元から学園へ通わせて頂けませんか?」

「良いのかね?リリーさん。あなたのご実家の方が……」

 母さんは緩く首を振った。

「私たちが困っていた時に助けてくださったのは、ルシリア伯爵でした。私の元両親は何の援助もなかった。私の言われなき罪をまともに取り合おうとせず、追い出されました……私達はもう親子ではないのです」

 昔の事だが、思い出して母さんは辛そうな顔をする。お嬢様だった母さんにはつらい生活だったんだろうな。
 まあ、今度はオレが支えてやるよ!

 結局俺たちは爺ちゃまの家にお世話になることにした。学園は秋入学なので、間に合えば次の秋に俺が、その次の秋にカレンが入ることになる……。

「試験が通ればねー!」

 おれとカレンの勉強が始まった!何せ俺達、山奥の平民だぜ!文字を覚える所からなんだぜーー!!うわー……い!

 爺ちゃまは俺が作ったガラス細工を何点か持ち帰った。

「リト?!お前は本当にビックリ箱のような孫だね!?」

 爺ちゃま曰く、どうも売れそうなので、販売経路を探ってみるとの事。いくら爺ちゃまの家にお世話になるとしても、俺たち家族は6人だ。何か金を稼がないとと思っていたから、かなり嬉しい。

 そして俺たちは家族の冬ごもりを始める。カレンは読み書きの練習。俺は……前世の知識もあるから、さらっと覚えちゃった!

「兄ちゃんだけ!なんで!!」

 カレンに八つ当たりされた!ははっ!ごめんね!チートだよ!


 家族で魔性のコタツに入りながら、カレンの勉強を見る。下の弟達、ザザやシュルだって、学園に通う予定なんだから、笑ってないで勉強しなさい!

「にーちゃ、リンもおべんきょー!」

「ははっ!リンが最初に覚えちゃうかもな!」

 ぶすっと膨れるカレン、火の粉が飛んできた!と逃げ回るザザとシュル。あーいーうー!と文字を読み出すリン。

「あらあら!うちの子たちはみんな元気ね!」

 とふかふかのパンを持ってきてくれた。何度か失敗しつつも、りんごからりんご酵母をつくる事に成功して、りんごパンを焼けるようになったのだ!
 これが凄く美味しい!そしてりんご酵母ジュースも美味しくて、作ってくれた母さんも天才だし、酵母用の瓶を作った俺は天才だし、パン焼き窯をみんなで作ったのでうちの家族のはみんな大天才だ!

「うわーい!」

 両手にパンを持って頬張る下の子達、カレンもペンをおいて一休み。サラやんもパンを口に入れてみるがすぐ燃えてしまったようだ。

「でもりんごの良い匂いがしたぞ」

 と、舌をペロペロさせて夜中に教えてくれたので、満足したようだった。

 厳しくも、楽しい冬は過ぎて行き、春になる。雪は溶けて、早春の花が咲く。あちらこちらから野草の芽が出て、新鮮な山菜が食べられるようになる。

 ……俺たちは住み慣れたこの山を降りて、学園に通うために貴族の家に引っ越す。

 
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