【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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37 こうやって作ります

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「まず サラやんにお伺をたてます。今日の調子はどう?」

「悪ないで!やったろかいな!」

 ふん!俺の頭の上でサラやんが荒い鼻息を噴射した。

「そして、携帯熔鉱炉を出します」

「ほな、行って来まーす」

 ぴょん、とサラやんが飛び込む。ごっ!と火が吹いてすぐに赤くなる。

「リトーガラスくれー」

「はーい。今日は割れたガラスがないので、昔の使いかけを入れちゃいます。サラやんお願いー」

 熔鉱炉の中に硝子を入れると、サラやんがおもちゃで遊ぶように転がすとどんどん溶けてドロドロになる。

「それをこの棒の先にとってきて……くるくるっと丸めてー……うん、コップに出来そう」

 真っ赤になった硝子に棒を使って息を吹き込む。くるくると回しながら様子をみて……

「あっ!」

 カラン!棒を落としてしまった。作っていたガラスはぐちゃぐちゃでゴミだらけ。

「もっかいやな!」

 ほら、寄越しい!サラやんが短い前足をパタパタさせている。

「うん、お願い」

 サラやんは溶かし直してくれる。何度か失敗して、それでも俺は普通のコップを作った。ストンとなんの変哲もないただのコップ。さっきの硝子の塊はコップになりたいって言ってるように感じたんだ。
 冷めるまでしばらく待ってからギアナ様にお渡しする。

「こんな感じで作ります」

「……リトが作るのをみていると、なにも難しくないようにみえるのが不思議だな……」

 俺はギアナ様に作品作りを見せていた。

「同じ形の物を何個も作るのは難しいですよ。違う形の方が簡単です」

「色を変えるのは?」

「金属の粉か石の粉を入れます。何を入れるかは……ごめんなさい、よく分からないんです!みんなで山に行って探したり、川で集めたり……経験だけで作ってるので」

 アイテムボックスから瓶を取り出す。

「あつめた粉なので、とりあえずは色々作れます。この粉がなくなったら、また集めないといけませんね!」

「なるほど。リトと精霊達と出かければ良いんだな?」

 ギアナ様とのお出かけは街じゃなく山や川になりそうだ。なんだか楽しそうだなぁ。いつ行けるのかな!楽しみ。

「うん、やはりグラス類は群を抜いているな。普通に売り出す訳には行かなそうだ。出所を探られそうだ。あのミミーにやったペンダント……そういう装飾用の小さい物から売ってみようか」

「分かりました」

 小さめのカラフルな硝子がたくさん出来た。出来たものは全部預けてしまう。

「リトは……自分が作った物がどういう評価を受けるのか気にならないのか?」

「あんまりですね。誰かが使ったり喜んだりしてくれたら嬉しい、それくらいです」

 作るのが楽しいんだもん。楽しいことやって、上げた人が喜んでくれたらそれだけで十分ですよ。

「あ、でも……ギアナ様に褒められたの……嬉しかった、です」

 家族も褒めてくれたけど、サラやんも褒めてくれたけど、もっと……こう……。

「そら、好きなヤツに褒められたら嬉しいんは当たり前やな!」

 溶鉱炉からぴょっと顔だけ出してサラやんがにんまり笑う。

「さ、サラやんっ!!」

「赤なったわー!わいとお揃いやなー!」

 ガラスを溶かすサラやんほど熱くなってません!!

「ははっ!俺はサラやんに何か美味しい物でも奢らなきゃならないな!」

 嬉しそうにギアナ様が笑う。ももももうやめてよねーーー!そのうち俺の顔の熱でガラスを溶かせるようになるじゃないか?!ってくらい恥ずかしい!

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