【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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36 リトの腕前は?

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「硝子のティーカップ」

「少し厚めに作ったのであんまりにも熱いものを入れななければ大丈夫だと思います」

 揃いで5脚ある。

「硝子のスプーン」

「リン……あ、妹なんですけど、お気に入りでした。すぐ壊すんですよね」

「いやでもやはりグラスだ。透明度といい、薄さと良い……素晴らしい」

 ほ、褒められた!しかもすごく!嬉しいな!こんなに褒められた事がないから照れてしまうよ!

「あ、ありがとうございます!」

「リト、流石に俺は聞かねばならない。どうしてお前はこんな物が作れるんだ?このグラス1つでいくらの価値があると思っているんだ?」

「え?」

 真面目な顔でそう言われて、俺は困ってしまう。

「良いか、リト。食器は木を削り出すか、金属製。パーティーや貴族なんかは焼き物……陶磁器を使う。そのどれでもない硝子は高価な食器の一つだ」

「それは、なんとなく分かります……」

 俺たちも山で木の食器を使っていた。俺が作るようになってからは硝子の食器がたくさんあったけど。

「何故、硝子が高いのか。材料の希少性と、扱いの難しさ。そして加工の難易度。そして作品の美しさ……リトは全て兼ね備えている。趣味の範囲を超えているぞ」

 ギアナ様、顔が怖いです……。

「えっと……」

 どこまで言って良いのか……俺が神様の家から落ちた事?その前に、俺が硝子作りの才能があったから、神様にスカウトされて仕事をしてた事?

「……言いにくい事なのか……?」

 心配そうにそう尋ねられ、俺はこくりと頷いた。

「悪い事は何もしていませんが……言いにくいです……ごめんなさい」

 本当に悪いことは何もしていない。でも、入れ替わったリトの事、落ちてきた俺の事、神様の事。受け入れて貰える内容なのか俺には判断が出来ない。

「そうか。話せる時に話してくれれば良い。しかしどうする?こんな立派な物……あいつらに自慢したくなるなぁ」

 気泡がなく、透明のグラスを目の前まで持ち上げて、ニマニマとしている。

「あいつらってパーティの時の人達ですか?自慢になりますかね?普通のコップですよ」

「なる!」

 だん!と机を叩いたので、俺はびっくりした。

「どこから手に入れたのか、囲まれるだろうな!ああ……売りてぇなぁ!市場がひっくりがえるだろうなー!」

「売れるんですか?」

「当たり前だろう!羽が生えたように飛んでくだろうよ!」

「まさかーでも本当に売れるなら売ってみたいなー」
 
 ふふ!俺を喜ばせようとお世辞かな?そんな売れる訳ないじゃない。

「隠しておきたい力じゃないのか?」

「え?そんな事ないですけど?」

「え?」

「ん?」

 俺とギアナ様はたまに話が噛み合わない。いや、しょっちゅうかも??
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