【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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打倒!元実家!

85 愛と美のハニーレモンジュース

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 まず、ちっちゃな教会が建てられた。飲みすぎて体を壊していた髭の神父様は髭を剃ったら男前で、すっかり良い神父様になってしまった。

 そして、リリー一味の出番である。俺とギアナ様と、お母様と、ジュールも含めた一家で暇を見つけてはお参りに行くのだ。
 カレンが

「合格しますように!合格しますように!」

 と、毎日必死にお願いしている。時にはルシリア様達を誘ったり、レナさんやハイジさんにもお願いしている。

「どうしてですか?」

 ギアナ様に聞いても

「そりゃ商売繁盛と必勝祈願と無事合格だろ?」

 と言うがなんだか狙いは違う気がする。そして最後にギアナ様はみんなにハニーレモンジュースを買ってくれる。
 これ、教会の前のちっちゃい屋台に出してるリリー商会の移動販売なんだよね。荷車に積んでどこでも売れちゃうんだけど、今冬だからホットがあるんだ。どうやってあったかくしてるかって言うと、ギアナ様がサラやんのご機嫌取り?に作った炭が活躍してる。
 薪と違って黒煙が出ないし温度が高いしなかなか上手に使っている。

「あったまるわー」

「おいちい!」

「僕は冷たい方が好きだなぁ」

「僕もー」

 湿度が低いから、喉が渇くもんね。

「どうしてハニーレモンジュースなんですか?」

 グビグビと冷たいジュースを飲んでいるギアナ様に尋ねると、驚く顔をされてしまった。

「リトが、美容にははちみつとレモンの酸っぱさが良いって言ったんじゃないか!」

「え?」

 そういえば、レモンパックとか、はちみつパックとかそんな話もしたような?

「え?!」

 お母様が振り返った。

「え?!?!」

 ロザリー様とレナさん、ハイジさんも振り返った。

「あ、あの!わたくし、おかわりを買ってきますわ!」

「わ、私!あの大きい瓶入りを買ってきます!」

 お、女の人はそう言うの好きだもんね!

「ふふふ、奢ってやるから、お土産用のボトルを買うと良いぞ」

 女性陣はぴょんぴょん跳ねてはしゃいでいる。ふふ!流石はギアナ様だなぁ!




「行きました?!あの話題の教会!」

「ええ!行った日から、なんだかお肌の調子が良いのですよね」

 下町の、しかも貧民街にできた教会が話題になっていた。

「至高神様も素晴らしいのですが、お隣の愛らしい双子神様が……」

 話題にしているのは大体女性。妙齢から、様々だがみんな大好きなこの話題。

「きれいになった!」

 その教会にやけに煌びやかな一団が毎日お参りに来ると言うのだ。女性陣も男性陣もみな、美しいと言う。
 多分貴族であろうが、この前まで歌劇場で有名な歌い手であった子も一緒にいるんだそうだ。

 その一団はお参りをして、屋台でハニーレモンジュースを楽しんで帰って行く。みな笑い合って仲が良いのだそうだ。

「なんでもねーはちみつとレモンにはお肌を元気にする力があるんだって?って言ってたぞ」

 ジュース屋台のお兄さんはお参りついでに喉を潤しによった若いお嬢さんに言う。

「リリー商会一押しだからね!」


 噂は噂を呼んでくる。

貧民街にできた教会には愛と美の双子神が祀られていて、お参り後にハニーレモンジュールを飲むとお肌がツルツルになる!
 恋人と飲むとずっと仲良くいられる!

 もちろん至高神様も凄くて、家内安全、無病息災、商売繁盛、絶対合格!

「最後の一つは本人の努力が大事だと思うけどー?」

 ここまで噂が広がれば、あとはどんどん……

「儲かるぜ!!!」

 そう言う事ですか。俺は高笑いするギアナ様を見てため息をついた。ほんと、なんでも儲けちゃうんだなぁー!

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