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打倒!元実家!
99 全部、ありがとう
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「終わったぞ」
みんなの前にギアナ様は書類を一枚差し出した。そこにはディライト公爵家の相続人がギアナ様になっていて、既に相続済みと書かれていた。
「今日から俺がディライト公爵だ。前ディライト公爵は妻だったミレイ殿の兄の領地ドフレ領で暮らす。今後一切こちらに現れないと約束済みだ」
「……そう」
お母様はぽつり、呟いた。憎いとは言え、血を分けた兄妹なのだ。複雑な思いもある。
「これで俺たちの復讐はおしまいだ。失って戻らなかった物もある。今回の事で新たに失ったこともある。でも、これでおしまいにしよう。復讐なんて暗いことは子供には似合わないからな」
「よく分かんないけど。分かった!」
リンの返事に笑みがもれる。暗い空気が少し晴れたら気がする。
「かと言って、俺たちの生活がそう大きく変わる訳じゃないから。俺が貴族になってもリリー商会はあるし、商売も続く。勉強もしないといけない」
うえーっとリンとジュールは舌を出す。2人は机にじっとしているのは苦手な方だ。
「お母様には、より一層貴族らしく振る舞って貰わねばなりませんし、リトやカレンもそれなりの場所に出なくてはいけない」
リリーお母様は頷くが、ザザは声を上げた。
「でも公爵家をやっつけるまでだったでしょう?もうやっつけたら、好きな事をしていいのでは?」
疑問を口にするザザにしっかり向き合ってギアナ様は説明した。
「それがな、予想以上に領地がめちゃくちゃになってしまったんだ。それを建て直してやらなきゃならん。奪いとった地位でも、責任はある。そこで暮らしていた人達がもう一度暮らせるようにしてやりたいんだ」
「なるほど。それもそうですね」
「ザザは飲み込みが早くて助かるよ」
大きな手でザザの頭を撫でながら、優しく微笑んだ。
「ギアナ様……」
「リト?入っておいで」
その夜、ギアナ様の仕事部屋の扉をそっと開けると、やはりまだ仕事中だったようだ。
机にランプをつけ、書いていた書類の手を止めて、俺を手招きする。
ぱたん、と扉を閉めゆっくり側まで歩いていくと、優しい顔で迎えてくれた。
「どうした?もう寝る時間だろう?明日も学園があるのだから、きちんと寝ないと」
「ごめんなさい……でも、言わないとと思って……」
「何を?」
俺は握り拳に力を入れる。
「ごめんなさい、俺のせいでギアナ様に悪いことをさせてしまった……」
俺がこんな怪我なんかしなければ……いいや、俺がギアナ様の所に行かなければ、こんなことには。
「リトは何か勘違いをしている」
固く握った手をもっと大きな手が包んでくれた。
「俺がやりたくて、やった。リト達は静かに暮らせたのに、俺が巻き込んだ。リトは何一つ悪くない、それが真実だ」
「でも!俺が居なければ!」
「リトが居なかったら今頃俺はバチュールで、兎の呪いを受けたまま死んでいたかもな」
「っ!」
言葉に詰まってしまった。確かにギアナ様は運命のつがいに振り回されていた。
「俺はこう見えて心が狭いんだ。俺の可愛いリトをいじめた奴に仕返しをしなきゃ気が済まなかったんだ。ディライト家の奴らも嫌いだし、王子も大っ嫌いだ。リトに結婚を申し込んだ?許せない」
青い目に月の光が映っている。この人はどうしていつもこうなんだろう。俺にとことんまでに甘くて優しい。
「でも……俺なんかにそんな価値はありません」
「あるさ!モノは売る人と買う人で価値が決まるんだ。俺がどれだけ高値を付けてると思ってるんだい?」
「俺に、価値なんて。サラやん達だって上にいるリトの力だ。俺はただちょっとガラスを扱うのが上手いだけ」
「上にいるリト?リトは一人じゃないのか?」
俺はとうとうギアナ様にすべてを話してしまった。
俺は才能はあったけど生かせず死んだ人間だったこと。神様の家でガラスを作っていたこと、間違って落ちたこと……。
「そうなのか……なかなか信じがたい話だが、どこか納得した自分もいるが……リトは、アホだな」
突然馬鹿にされた!?なんでっ!
「そんな大事な話を俺にして……もし、俺から離れたくなっても脅されて離れられないぞ?」
「えっ……」
「こいつは実はリトじゃないんです、中身が違うんですってみんなにバラされたらどうするんだ?」
「……俺はギアナ様と離れ離れになるんですか?」
今度はギアナ様が目を真ん丸にした。
「例えば、の、話だけど……離れ離れに……ならない、多分」
「じゃあ何も問題もないし、俺はアホじゃないです……」
「そうだな、アホじゃなかった」
ぎゅっと抱きしめられた。暖かい、とても。色々謝りたいこととかあった気がしたんだけれど、忘れてしまいそうだ。
「もう、一つも内緒はないです」
「そうか、神様にお礼言わなきゃな。リトを地上に下ろしてくれてありがとう。そして会わせてくれてありがとうってな」
俺はその一言で嫌なことを全部忘れてしまった。
「ありがとうだったんだ……。全部、全部」
「そう、全部ありがとう」
全部全部、ありがとう!
みんなの前にギアナ様は書類を一枚差し出した。そこにはディライト公爵家の相続人がギアナ様になっていて、既に相続済みと書かれていた。
「今日から俺がディライト公爵だ。前ディライト公爵は妻だったミレイ殿の兄の領地ドフレ領で暮らす。今後一切こちらに現れないと約束済みだ」
「……そう」
お母様はぽつり、呟いた。憎いとは言え、血を分けた兄妹なのだ。複雑な思いもある。
「これで俺たちの復讐はおしまいだ。失って戻らなかった物もある。今回の事で新たに失ったこともある。でも、これでおしまいにしよう。復讐なんて暗いことは子供には似合わないからな」
「よく分かんないけど。分かった!」
リンの返事に笑みがもれる。暗い空気が少し晴れたら気がする。
「かと言って、俺たちの生活がそう大きく変わる訳じゃないから。俺が貴族になってもリリー商会はあるし、商売も続く。勉強もしないといけない」
うえーっとリンとジュールは舌を出す。2人は机にじっとしているのは苦手な方だ。
「お母様には、より一層貴族らしく振る舞って貰わねばなりませんし、リトやカレンもそれなりの場所に出なくてはいけない」
リリーお母様は頷くが、ザザは声を上げた。
「でも公爵家をやっつけるまでだったでしょう?もうやっつけたら、好きな事をしていいのでは?」
疑問を口にするザザにしっかり向き合ってギアナ様は説明した。
「それがな、予想以上に領地がめちゃくちゃになってしまったんだ。それを建て直してやらなきゃならん。奪いとった地位でも、責任はある。そこで暮らしていた人達がもう一度暮らせるようにしてやりたいんだ」
「なるほど。それもそうですね」
「ザザは飲み込みが早くて助かるよ」
大きな手でザザの頭を撫でながら、優しく微笑んだ。
「ギアナ様……」
「リト?入っておいで」
その夜、ギアナ様の仕事部屋の扉をそっと開けると、やはりまだ仕事中だったようだ。
机にランプをつけ、書いていた書類の手を止めて、俺を手招きする。
ぱたん、と扉を閉めゆっくり側まで歩いていくと、優しい顔で迎えてくれた。
「どうした?もう寝る時間だろう?明日も学園があるのだから、きちんと寝ないと」
「ごめんなさい……でも、言わないとと思って……」
「何を?」
俺は握り拳に力を入れる。
「ごめんなさい、俺のせいでギアナ様に悪いことをさせてしまった……」
俺がこんな怪我なんかしなければ……いいや、俺がギアナ様の所に行かなければ、こんなことには。
「リトは何か勘違いをしている」
固く握った手をもっと大きな手が包んでくれた。
「俺がやりたくて、やった。リト達は静かに暮らせたのに、俺が巻き込んだ。リトは何一つ悪くない、それが真実だ」
「でも!俺が居なければ!」
「リトが居なかったら今頃俺はバチュールで、兎の呪いを受けたまま死んでいたかもな」
「っ!」
言葉に詰まってしまった。確かにギアナ様は運命のつがいに振り回されていた。
「俺はこう見えて心が狭いんだ。俺の可愛いリトをいじめた奴に仕返しをしなきゃ気が済まなかったんだ。ディライト家の奴らも嫌いだし、王子も大っ嫌いだ。リトに結婚を申し込んだ?許せない」
青い目に月の光が映っている。この人はどうしていつもこうなんだろう。俺にとことんまでに甘くて優しい。
「でも……俺なんかにそんな価値はありません」
「あるさ!モノは売る人と買う人で価値が決まるんだ。俺がどれだけ高値を付けてると思ってるんだい?」
「俺に、価値なんて。サラやん達だって上にいるリトの力だ。俺はただちょっとガラスを扱うのが上手いだけ」
「上にいるリト?リトは一人じゃないのか?」
俺はとうとうギアナ様にすべてを話してしまった。
俺は才能はあったけど生かせず死んだ人間だったこと。神様の家でガラスを作っていたこと、間違って落ちたこと……。
「そうなのか……なかなか信じがたい話だが、どこか納得した自分もいるが……リトは、アホだな」
突然馬鹿にされた!?なんでっ!
「そんな大事な話を俺にして……もし、俺から離れたくなっても脅されて離れられないぞ?」
「えっ……」
「こいつは実はリトじゃないんです、中身が違うんですってみんなにバラされたらどうするんだ?」
「……俺はギアナ様と離れ離れになるんですか?」
今度はギアナ様が目を真ん丸にした。
「例えば、の、話だけど……離れ離れに……ならない、多分」
「じゃあ何も問題もないし、俺はアホじゃないです……」
「そうだな、アホじゃなかった」
ぎゅっと抱きしめられた。暖かい、とても。色々謝りたいこととかあった気がしたんだけれど、忘れてしまいそうだ。
「もう、一つも内緒はないです」
「そうか、神様にお礼言わなきゃな。リトを地上に下ろしてくれてありがとう。そして会わせてくれてありがとうってな」
俺はその一言で嫌なことを全部忘れてしまった。
「ありがとうだったんだ……。全部、全部」
「そう、全部ありがとう」
全部全部、ありがとう!
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