【完結】家庭菜園士の強野菜無双!俺の野菜は激強い、魔王も勇者もチート野菜で一捻り!

鏑木 うりこ

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「嫌だーーーー俺は愛するタトから離れたくないー!タト!愛してるーーー!」

 勿論俺の名前の後に(の野菜)って言葉が入るのは村の誰もが気づいている。ただ、王都から来た騎士達は知らないので

 こいつ、双子の弟の事を?!いくら勇者でも駄目だろ!

 と、言う穢れた者を見る顔で見ているから、その誤解はコーディ自身が早目に解いて欲しい物だと思う。

「あ、これドライトマンなんですけど、これを与えておけばとりあえず静かになりますから」
「あ、ああ……君も苦労しているんだね」

 人の良さそうな隊長さんに労わりの眼差しを向けられたから、ほんと早めに誤解は解いてもらいたい。

「トマンうめぇ!」

 そう言いながら勇者コーディはこの小さな村を出て、輝かしい旅に一歩踏み出した。騎士達に縄をかけられて連行される形だけれどね。
 口の中にもっちゃもっちゃトマンを頬張りながらコーディは荷馬車で売られて?行った。頑張れよ、その為の勇者だろう……。ドナドナ~~。

 勿論、俺は村に残りスローライフだ。父さんの畑を手伝って野菜を作り、売る。そして庭で家庭菜園をして美味い野菜を食ってピロンピロンする。

「なんだっけねぇ?この音。母さんも昔聞いた事があるような?」
「俺も昔聞いた様な……」

 でも家族の総意は「ま、いっか」だった。ま、いっか。

「所でタト、弟と妹どっちが良いかしら?」
「あ、母さん赤ちゃん出来たの?」

 母さんが頬を染めながらええ、なんて言ってる。

「最近体の調子が良いし、軽いし……つい、ね。ほほほほ」
「ははは!それに母さん何だかきれいになったよな!出会った頃に戻ったみたいだ!」
「やだぁーそんな事ないわよ!あなたったらぁ!……少し前まではきれいじゃなかったって事かしら?」
「ひえ?!そ、そんなことは」
「ちょっとこっちへ来てくれるかしら?あなた。お話ししたい事があります」
「ひ?!ひぃーーーー!」

 母さんがやっぱり一番強い。ま、家族が元気なのは良い事だよな。裏の家のポンばあちゃんも 

「最近は膝の調子が良いんじゃよう。タトちゃんの野菜のおかげかのう?」
「そうかもね!なんてったって美味しいもんね」

 美味しい物を食べて、そこそこ働く。それこそがスローライフだよな、やっぱりこうじゃないとなぁ~。

「いやぁ~タトの庭の野菜は美味いなぁ」

 近所で話題になったと思うと、次の日の朝起きると庭が荒らされていた。

「ああ!今日食べようと思ってたナスーンがない?!葉っぱもむしられてる!トマンもない……か、家庭菜園泥棒だ!!」

 俺達が朝ごはんのおかずを失ってがっくり肩を落としていると、村長んちの馬鹿息子が怒りながらやって来てナスーンとトマンを押しつけて来た。

「お前の家の庭の野菜が美味いって聞いたから俺様が食ってやろうと思ったのに普通の野菜じゃねーか!早起きしておまえんちの庭に忍び込んで損した!責任取れ!俺はナスーンは嫌いなんだよ!」

 お巡りさん、こいつです。村の衛兵に引っ捕えて貰ったよ。あの馬鹿息子、ほんと馬鹿だよ。後から穏便にと村長が少しの金を持って来た。父さんは受け取ったみたいだが、この村で村長に楯突くのは得とは言えないし、家庭菜園の野菜だしね。

「しかし、家庭菜園でしかも俺が収穫しなきゃ美味くないってことか」

 流石女神様の力だ。次の日取れたナスーンは炭火で焼きナスーンにして女神様に捧げた。

《あー!香ばしいー!蕩けるぅー》

 ご満足いただけたようだ。

 



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