7 / 57
ディアナに打ち明けました
しおりを挟む
その日の帰り、ディアナの屋敷に寄ることになった。
我が家は遅くなると御者に言伝を頼んだ。帰りはディアナの家の馬車で送ってもらうので先に戻ってもらったのだ。
ディアナの屋敷に到着すると、あらかじめ私が来ると連絡が行っていたからか、伯父様と伯母様が迎えでてくれた。
「ミオリア、久しぶりだな。一昨日は大変だったそうだが、もう大丈夫なのか?」
「はい。もう大丈夫です。ありがとうございます」
「これ以上何がしてくるなら消すから心配しなくていい」
伯父様、それはちょっと……。
「あら、あなた、過激よ。ミオリアちゃんがびっくりしちゃうわ。ミオリアちゃん、ごめんなさいね。そうそう晩御飯一緒に食べましょう。帰りはうちの馬車で送るからゆっくりしていってね」
伯母様はいつも優しい。女神様みたいだ。
私達はインタール家のパティシエが作ってくれたスイーツを食べながらお茶を楽しんでいる。
うちのパティシエのスイーツも美味しいけど、インタール家は公爵家だけあってうちより美味しい。
「ねぇ、話したいことって何?」
ディアナは興味津々な表情だ。
「うん、嘘みたいな話なんだけど驚かないでね」
私は前世の話をした。
ディアナは頷きながら聞いてくれている。
「なるほどね。だからグランダキシン王国を調べてみたくなったわけね」
「そうなの。私が死んだ後どうなったのかなと思ってね」
「まぁ、でも、リーマス王国に侵略されてるんだから、ミオリアの願いは叶ったんじゃない?」
確かに叶ったといえば叶ってるなぁ。
「ただ、私が死んでから何年くらいしてからなんだろう? 侵略されたのは王子とあの女が亡くなって子供の代になってからかもしれないし」
私の中にいる前世の私は不幸になるのはあのふたりじゃないと意味がないと言っているようだ。
「そうね。確かにそうかもね」
「それで、エマの曽祖母様が元グランダキシン王国の出身で両親や祖父からグランダキシン王国時代の話を聞いているようなの。何か私が亡くなった後の事を知っているかもしれないから、次の休みに会いに行く約束をしたのよ」
ディアナはうんうん頷いている。
「ディアナ、この話信じてくれるの?」
「当たり前じゃない。それにそこまで名前なんかもはっきりしているなら疑いようがないわ。きっと私も思い出していないだけでそこに生きていたような気がするわ」
ディアナは紅茶をひと口飲んだ。
「私ね、時々夢を見るのよ、その夢の中ではいつも後悔しているの。大事な人を守れなかった後悔。インタールの娘に生まれたのはきっと意味があるんだと思って幼い頃から鍛えてきたわ。その夢の中で私はラーレと呼ばれていたの」
「ラーレ……」
ラーレ? ラーレって?
ラーレって私の護衛騎士だ!
「ディアナ、ラーレって前世の私の護衛騎士の名前だわ。あの時、ラーレのお母様が亡くなって故郷に戻っていたのよ。ラーレは戻っている間に私に何かあったらと帰るのを渋っていたのだけど、うちには私営騎士団もあって騎士も沢山いるから大丈夫だと言って、私が無理矢理戻したのだったわ」
まさかディアナがラーレだったとは。
ディアナは黙り込んでいる。
「もし、ラーレが故郷に戻らず私のそばにいたとしても、私は同じ目に遭っていたわ。だからラーレは後悔なんてしないでいいの。ラーレのせいじゃなく、私が死んだのは王太子とあの女のせいなんだから」
そう言ってディアナの肩に手を置くとディアナの目から涙が溢れ出した。
「ミオリア、不思議だわ。私はラーレの記憶が何もないんだけど、涙が止まらないの。間違いなく私は護衛騎士のラーレだったみたいね。今のミオリアの言葉で心が溶けていくのがわかるわ。ラーレは苦しんでいたのね」
号泣しながら冷静に話すディアナはなんだか不思議な感じだ。
ディアナは私の肩をぐっと両手で掴んだ。
「私も一緒に行くわ。私はミオリアを守らなくちゃならないしね」
守るとかそんなたいそうな事はないと思うのだけど、ディアナか一緒なら心強い。
エマの曽祖母様のところにはディアナも一緒に行くことになった。
我が家は遅くなると御者に言伝を頼んだ。帰りはディアナの家の馬車で送ってもらうので先に戻ってもらったのだ。
ディアナの屋敷に到着すると、あらかじめ私が来ると連絡が行っていたからか、伯父様と伯母様が迎えでてくれた。
「ミオリア、久しぶりだな。一昨日は大変だったそうだが、もう大丈夫なのか?」
「はい。もう大丈夫です。ありがとうございます」
「これ以上何がしてくるなら消すから心配しなくていい」
伯父様、それはちょっと……。
「あら、あなた、過激よ。ミオリアちゃんがびっくりしちゃうわ。ミオリアちゃん、ごめんなさいね。そうそう晩御飯一緒に食べましょう。帰りはうちの馬車で送るからゆっくりしていってね」
伯母様はいつも優しい。女神様みたいだ。
私達はインタール家のパティシエが作ってくれたスイーツを食べながらお茶を楽しんでいる。
うちのパティシエのスイーツも美味しいけど、インタール家は公爵家だけあってうちより美味しい。
「ねぇ、話したいことって何?」
ディアナは興味津々な表情だ。
「うん、嘘みたいな話なんだけど驚かないでね」
私は前世の話をした。
ディアナは頷きながら聞いてくれている。
「なるほどね。だからグランダキシン王国を調べてみたくなったわけね」
「そうなの。私が死んだ後どうなったのかなと思ってね」
「まぁ、でも、リーマス王国に侵略されてるんだから、ミオリアの願いは叶ったんじゃない?」
確かに叶ったといえば叶ってるなぁ。
「ただ、私が死んでから何年くらいしてからなんだろう? 侵略されたのは王子とあの女が亡くなって子供の代になってからかもしれないし」
私の中にいる前世の私は不幸になるのはあのふたりじゃないと意味がないと言っているようだ。
「そうね。確かにそうかもね」
「それで、エマの曽祖母様が元グランダキシン王国の出身で両親や祖父からグランダキシン王国時代の話を聞いているようなの。何か私が亡くなった後の事を知っているかもしれないから、次の休みに会いに行く約束をしたのよ」
ディアナはうんうん頷いている。
「ディアナ、この話信じてくれるの?」
「当たり前じゃない。それにそこまで名前なんかもはっきりしているなら疑いようがないわ。きっと私も思い出していないだけでそこに生きていたような気がするわ」
ディアナは紅茶をひと口飲んだ。
「私ね、時々夢を見るのよ、その夢の中ではいつも後悔しているの。大事な人を守れなかった後悔。インタールの娘に生まれたのはきっと意味があるんだと思って幼い頃から鍛えてきたわ。その夢の中で私はラーレと呼ばれていたの」
「ラーレ……」
ラーレ? ラーレって?
ラーレって私の護衛騎士だ!
「ディアナ、ラーレって前世の私の護衛騎士の名前だわ。あの時、ラーレのお母様が亡くなって故郷に戻っていたのよ。ラーレは戻っている間に私に何かあったらと帰るのを渋っていたのだけど、うちには私営騎士団もあって騎士も沢山いるから大丈夫だと言って、私が無理矢理戻したのだったわ」
まさかディアナがラーレだったとは。
ディアナは黙り込んでいる。
「もし、ラーレが故郷に戻らず私のそばにいたとしても、私は同じ目に遭っていたわ。だからラーレは後悔なんてしないでいいの。ラーレのせいじゃなく、私が死んだのは王太子とあの女のせいなんだから」
そう言ってディアナの肩に手を置くとディアナの目から涙が溢れ出した。
「ミオリア、不思議だわ。私はラーレの記憶が何もないんだけど、涙が止まらないの。間違いなく私は護衛騎士のラーレだったみたいね。今のミオリアの言葉で心が溶けていくのがわかるわ。ラーレは苦しんでいたのね」
号泣しながら冷静に話すディアナはなんだか不思議な感じだ。
ディアナは私の肩をぐっと両手で掴んだ。
「私も一緒に行くわ。私はミオリアを守らなくちゃならないしね」
守るとかそんなたいそうな事はないと思うのだけど、ディアナか一緒なら心強い。
エマの曽祖母様のところにはディアナも一緒に行くことになった。
342
あなたにおすすめの小説
殿下に寵愛されてませんが別にかまいません!!!!!
さくら
恋愛
王太子アルベルト殿下の婚約者であった令嬢リリアナ。けれど、ある日突然「裏切り者」の汚名を着せられ、殿下の寵愛を失い、婚約を破棄されてしまう。
――でも、リリアナは泣き崩れなかった。
「殿下に愛されなくても、私には花と薬草がある。健気? 別に演じてないですけど?」
庶民の村で暮らし始めた彼女は、花畑を育て、子どもたちに薬草茶を振る舞い、村人から慕われていく。だが、そんな彼女を放っておけないのが、執着心に囚われた殿下。噂を流し、畑を焼き払い、ついには刺客を放ち……。
「どこまで私を追い詰めたいのですか、殿下」
絶望の淵に立たされたリリアナを守ろうとするのは、騎士団長セドリック。冷徹で寡黙な男は、彼女の誠実さに心を動かされ、やがて命を懸けて庇う。
「俺は、君を守るために剣を振るう」
寵愛などなくても構わない。けれど、守ってくれる人がいる――。
灰の大地に芽吹く新しい絆が、彼女を強く、美しく咲かせていく。
【完結】地味令嬢の願いが叶う刻
白雨 音
恋愛
男爵令嬢クラリスは、地味で平凡な娘だ。
幼い頃より、両親から溺愛される、美しい姉ディオールと後継ぎである弟フィリップを羨ましく思っていた。
家族から愛されたい、認められたいと努めるも、都合良く使われるだけで、
いつしか、「家を出て愛する人と家庭を持ちたい」と願うようになっていた。
ある夜、伯爵家のパーティに出席する事が認められたが、意地悪な姉に笑い者にされてしまう。
庭でパーティが終わるのを待つクラリスに、思い掛けず、素敵な出会いがあった。
レオナール=ヴェルレーヌ伯爵子息___一目で恋に落ちるも、分不相応と諦めるしか無かった。
だが、一月後、驚く事に彼の方からクラリスに縁談の打診が来た。
喜ぶクラリスだったが、姉は「自分の方が相応しい」と言い出して…
異世界恋愛:短編(全16話) ※魔法要素無し。
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。
木山楽斗
恋愛
「君とは一年後に離婚するつもりだ」
結婚して早々、私は夫であるマグナスからそんなことを告げられた。
彼曰く、これは親に言われて仕方なくした結婚であり、義理を果たした後は自由な独り身に戻りたいらしい。
身勝手な要求ではあったが、その気持ちが理解できない訳ではなかった。私もまた、親に言われて結婚したからだ。
こうして私は、一年間の期限付きで夫婦生活を送ることになった。
マグナスは紳士的な人物であり、最初に言ってきた要求以外は良き夫であった。故に私は、それなりに楽しい生活を送ることができた。
「もう少し様子を見たいと思っている。流石に一年では両親も納得しそうにない」
一年が経った後、マグナスはそんなことを言ってきた。
それに関しては、私も納得した。彼の言う通り、流石に離婚までが早すぎると思ったからだ。
それから一年後も、マグナスは離婚の話をしなかった。まだ様子を見たいということなのだろう。
夫がいつ離婚を切り出してくるのか、そんなことを思いながら私は日々を過ごしている。今の所、その気配はまったくないのだが。
【完結】身代わりに病弱だった令嬢が隣国の冷酷王子と政略結婚したら、薬師の知識が役に立ちました。
朝日みらい
恋愛
リリスは内気な性格の貴族令嬢。幼い頃に患った大病の影響で、薬師顔負けの知識を持ち、自ら薬を調合する日々を送っている。家族の愛情を一身に受ける妹セシリアとは対照的に、彼女は控えめで存在感が薄い。
ある日、リリスは両親から突然「妹の代わりに隣国の王子と政略結婚をするように」と命じられる。結婚相手であるエドアルド王子は、かつて幼馴染でありながら、今では冷たく距離を置かれる存在。リリスは幼い頃から密かにエドアルドに憧れていたが、病弱だった過去もあって自分に自信が持てず、彼の真意がわからないまま結婚の日を迎えてしまい――
7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた
小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。
7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。
ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。
※よくある話で設定はゆるいです。
誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。
水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います
黒木 楓
恋愛
伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。
異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。
そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。
「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」
そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。
「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」
飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。
これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
プリン食べたい!婚約者が王女殿下に夢中でまったく相手にされない伯爵令嬢ベアトリス!前世を思いだした。え?乙女ゲームの世界、わたしは悪役令嬢!
山田 バルス
恋愛
王都の中央にそびえる黄金の魔塔――その頂には、選ばれし者のみが入ることを許された「王都学院」が存在する。魔法と剣の才を持つ貴族の子弟たちが集い、王国の未来を担う人材が育つこの学院に、一人の少女が通っていた。
名はベアトリス=ローデリア。金糸を編んだような髪と、透き通るような青い瞳を持つ、美しき伯爵令嬢。気品と誇りを備えた彼女は、その立ち居振る舞いひとつで周囲の目を奪う、まさに「王都の金の薔薇」と謳われる存在であった。
だが、彼女には胸に秘めた切ない想いがあった。
――婚約者、シャルル=フォンティーヌ。
同じ伯爵家の息子であり、王都学院でも才気あふれる青年として知られる彼は、ベアトリスの幼馴染であり、未来を誓い合った相手でもある。だが、学院に入ってからというもの、シャルルは王女殿下と共に生徒会での活動に没頭するようになり、ベアトリスの前に姿を見せることすら稀になっていった。
そんなある日、ベアトリスは前世を思い出した。この世界はかつて病院に入院していた時の乙女ゲームの世界だと。
そして、自分は悪役令嬢だと。ゲームのシナリオをぶち壊すために、ベアトリスは立ち上がった。
レベルを上げに励み、頂点を極めた。これでゲームシナリオはぶち壊せる。
そう思ったベアトリスに真の目的が見つかった。前世では病院食ばかりだった。好きなものを食べられずに死んでしまった。だから、この世界では美味しいものを食べたい。ベアトリスの食への欲求を満たす旅が始まろうとしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる