【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。

金峯蓮華

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カミル

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 弟のカミルはすぐに転移魔法で姿を現した。

「ただいま。早速だけど鑑定魔法やっちゃう?」

 久しぶりに会うカミルは随分背が伸びて身体も大きくなっていた。

 カミルは丸薬に右手を近づける。手からは透明の光が出て、丸薬を包む。すると光の中に文字が浮かび出した。
 そして左指をパチンと鳴らすと持っていた紙に浮かび上がった文字が転写されていく。

「はい。これが付与されている魔法。魔法というより呪いだな」

 紙に書かれていた付与されていた魔法は魅了ではないが、精神拘束魔法だった。しかも何種類も。

「これはオーダーじゃないかな。元々の幻覚や幻影が見える丸薬に自分のいいなりになるような魔法を付け加えさせたんだろう。これはガランタミン国?」

 我が弟よ、いつからそんなにしっかりしたんだ。姉はうれしいよ。

「そう、ガランタミンよ。それにしてもすごいわね。いつから鑑定魔法使えるようになっていたの?」

 母はカミルの頭をポンポンしながら聞く。

「師匠が鑑定魔法の使い手だったから伝授してもらっていたんだ。それで3ヶ月前に国の資格試験に受かって鑑定魔法が使える魔導士として認定してもらったんだよ」

 カミルはドヤ顔で胸を張る。

「姉上も師匠から伝授してもらえば鑑定魔法が使えるようになるよ。姉上は分析魔法がつかえるし、魔力も私よりあるからね。アルプラゾラム王国は女の人も夫人としてだけじゃなくバリバリ仕事してる。姉上もこの国にいて普通に貴族の夫人になるなんて勿体無いよ」

 そうなのか。急にそんなこと言われてもなぁ。

「姉上、リーンハルト様と結婚するのか?」

 は? 

「リーンハルト様? なぜ?」

「ライアンから聞いた。リーンハルト様は姉上のことが好きらしい」

「ライアン? ライアンって小さい頃がよく一緒に遊んでいたライアン?」

「そうそう。ライアンはリーンハルト様の弟だよ」

 そうだったのね。知らなかったわ。

「リーンハルト様は100年前は姉上の義兄で片思いだったらしいじゃないか。今世は他人だしなんとか結婚したいって思っているみたいだよ」

 私はため息をついた。

「100年前と今は別人なのよ。リーンハルト様が好きだったのは100年前の義妹であって私じゃないの。私は私を好きになってくれる人がいい」

 ほんとにそうなのよね。

 もう、早く100年前の想いに蹴りをつけて今の私にもどりたいわ。

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