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番外編 ウィルヘルムの結婚
暗部は耳が早い
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また、セレスとヒューイ様が瞬間移動でやってきた。
別に構わないのだけれどセレスの身体が心配になる。いつもより強めに癒しの魔法をかけておいた。帰りにはまた私が作った強力ポーションを持って帰ってもらおう。
私は今、公爵夫人の仕事をしながら、癒しの力で身体や心が辛い人を魔法で治療したり、ポーションを作って渡している。
公爵夫人がそんなことをしているとわかると何が問題がでるかもしれないと、癒しの活動をするときは、魔法で姿を変え、聖女ティーユと名乗れとウィル様から言われた。
ティーユって私の名前のベルティーユから来てるから安易なんだけど、ジェフリー様も安全の為にそうした方がいいと賛同したのでそうしている。
それにもうひとつ、魔法で魔道具を生み出す力ももらってしまった。これはジェフリー様、セレス、ヒューイ様しか知らない。だってウィル様にバレたら悪用されそうでしょ?
神様のおかげで回帰後の私はなかなかデキル女になったのだ。
神様からもらったチートな力は民のために使う以外、いまだに私を馬鹿だと侮って、嫌なことを言ってくる夫人達やジェフリー様に粉をかけてくる令嬢達をピーピーにしたり、足の小指をドアの角にぶつけたり、鼻水やくしゃみが止まらなくなるみたいなちっちゃい魔法をかけ、報復している。
今は回帰前よりも何倍も楽しい人生だ。
ジェフリー様が戻ってきた。どうやらヒューイ様と待ち合わせをしているらしい。ソファーに座っていたヒューイ様が立ち上がった。
「待っていたぞ。例のリストは?」
「あぁ、ここに」
ジェフリー様がファイルを取り出す。
「さすが暗部。耳が早いな」
「まぁな。陛下の周りの影は皆、うちの者だからな。あいつの一挙手一投足全て報告がくる」
ウィル様は暗部に見張られているのね。何をするかわからない人だし、それで正解かもね。
ちなみにジェフリー様もウィル様の部屋や執務室、行動範囲にはインテリアに化けた監視報告バードという鳥型の魔道具を置いていて、いつも行動を魔道具に監視させ、変わったことがあると報告させている。
みんなウィル様を心の底から信用していないのか面白いけど、ちょっと可哀想な気もする。まぁ、自業自得だから仕方ないわね。
私も定期的にウィル様に癒しの魔法をかけているけど、かけたときはちょっとだけ良くなってまたすぐに戻るようにしている。完治なんてさせるつもりはない。
私が自分の世界に入っている間に三人は資料を見ながら話し込んでいる。私も資料を手に取り目を落としてみる。
「あれ? これ確か、この前に話していた国じゃないの?」
私の声に三人は「えっ?」と私の顔を見た。
「ほらほら、王太子の婚約者の令嬢が断罪されて国外に追放されて行方不明になっているっていう……私達が探したけど、全く見つからなかったあの……サイオトリス王国!」
「どれ、見せて」
私はジェフリー様に資料を渡した。
「確かにサイオトリスだな。陛下はサイオトリスを属国にするつもりか」
ヒューイ様も資料を見て頷いている。
「あの事件のあと、サイオトリス王国のことを調べてみたんだ。サイオトリスの王家はかなり腐っていたよ。税が高く、民は働いても働いても豊かにならない。豊かなのは王家と貴族だけだ」
それはひどいな。我が国は腹黒鬼畜陛下だけど、政治能力は素晴らしく、民達は高い税に苦しむことなどないし、王家と一部の貴族だけが豊かなんてこともない。
「なんとかそれを改革をして、民の生活を楽にしようとしていたのが、断罪された令嬢の父親の公爵らしい。娘が国外追放になった後、公爵家もお取り潰しになった。令嬢同様、公爵達も行方不明だ」
さすが暗部。ちゃんと調べはついているのね。
そうだ!
「ね、サイオトリスを属国にすればいいのではない? 王家を排除して、その公爵を探し出して、代官にすればいいと思う。そして令嬢にウィル様の妃になってもらうのはどう?」
私の言葉にセレスは呆れたような顔をし、苦笑ている。
「ベルは相変わらず安易ね。そんなに簡単に上手くはいかないわ」
ヒューイ様が手をあげ、セレスを制した。
「いや、意外とありかもな。公爵は人格者のようだし、令嬢も慕われていたらしい。ジェフリー、陛下にサイオトリスを推してくれないか?」
ジェフリー様が大きく頷く。
「わかった。明日にでも話をするよ。それより令嬢達を探さないとな。ベル、強力な探索の魔道具を作ってみてくれないか?」
「もちろん。既に作っているわ。後もう少しで完成よ」
私は自慢げな顔をして胸を張った。
令嬢は私の癒しのアンテナに引っ掛からなかったから、全く傷ついていないはず。案外、馬鹿王太子から離れられてせいせいしているのかもしれない。
なんだか面白くなってきたな。私は早くその令嬢に会ってみたいと思っていた。
別に構わないのだけれどセレスの身体が心配になる。いつもより強めに癒しの魔法をかけておいた。帰りにはまた私が作った強力ポーションを持って帰ってもらおう。
私は今、公爵夫人の仕事をしながら、癒しの力で身体や心が辛い人を魔法で治療したり、ポーションを作って渡している。
公爵夫人がそんなことをしているとわかると何が問題がでるかもしれないと、癒しの活動をするときは、魔法で姿を変え、聖女ティーユと名乗れとウィル様から言われた。
ティーユって私の名前のベルティーユから来てるから安易なんだけど、ジェフリー様も安全の為にそうした方がいいと賛同したのでそうしている。
それにもうひとつ、魔法で魔道具を生み出す力ももらってしまった。これはジェフリー様、セレス、ヒューイ様しか知らない。だってウィル様にバレたら悪用されそうでしょ?
神様のおかげで回帰後の私はなかなかデキル女になったのだ。
神様からもらったチートな力は民のために使う以外、いまだに私を馬鹿だと侮って、嫌なことを言ってくる夫人達やジェフリー様に粉をかけてくる令嬢達をピーピーにしたり、足の小指をドアの角にぶつけたり、鼻水やくしゃみが止まらなくなるみたいなちっちゃい魔法をかけ、報復している。
今は回帰前よりも何倍も楽しい人生だ。
ジェフリー様が戻ってきた。どうやらヒューイ様と待ち合わせをしているらしい。ソファーに座っていたヒューイ様が立ち上がった。
「待っていたぞ。例のリストは?」
「あぁ、ここに」
ジェフリー様がファイルを取り出す。
「さすが暗部。耳が早いな」
「まぁな。陛下の周りの影は皆、うちの者だからな。あいつの一挙手一投足全て報告がくる」
ウィル様は暗部に見張られているのね。何をするかわからない人だし、それで正解かもね。
ちなみにジェフリー様もウィル様の部屋や執務室、行動範囲にはインテリアに化けた監視報告バードという鳥型の魔道具を置いていて、いつも行動を魔道具に監視させ、変わったことがあると報告させている。
みんなウィル様を心の底から信用していないのか面白いけど、ちょっと可哀想な気もする。まぁ、自業自得だから仕方ないわね。
私も定期的にウィル様に癒しの魔法をかけているけど、かけたときはちょっとだけ良くなってまたすぐに戻るようにしている。完治なんてさせるつもりはない。
私が自分の世界に入っている間に三人は資料を見ながら話し込んでいる。私も資料を手に取り目を落としてみる。
「あれ? これ確か、この前に話していた国じゃないの?」
私の声に三人は「えっ?」と私の顔を見た。
「ほらほら、王太子の婚約者の令嬢が断罪されて国外に追放されて行方不明になっているっていう……私達が探したけど、全く見つからなかったあの……サイオトリス王国!」
「どれ、見せて」
私はジェフリー様に資料を渡した。
「確かにサイオトリスだな。陛下はサイオトリスを属国にするつもりか」
ヒューイ様も資料を見て頷いている。
「あの事件のあと、サイオトリス王国のことを調べてみたんだ。サイオトリスの王家はかなり腐っていたよ。税が高く、民は働いても働いても豊かにならない。豊かなのは王家と貴族だけだ」
それはひどいな。我が国は腹黒鬼畜陛下だけど、政治能力は素晴らしく、民達は高い税に苦しむことなどないし、王家と一部の貴族だけが豊かなんてこともない。
「なんとかそれを改革をして、民の生活を楽にしようとしていたのが、断罪された令嬢の父親の公爵らしい。娘が国外追放になった後、公爵家もお取り潰しになった。令嬢同様、公爵達も行方不明だ」
さすが暗部。ちゃんと調べはついているのね。
そうだ!
「ね、サイオトリスを属国にすればいいのではない? 王家を排除して、その公爵を探し出して、代官にすればいいと思う。そして令嬢にウィル様の妃になってもらうのはどう?」
私の言葉にセレスは呆れたような顔をし、苦笑ている。
「ベルは相変わらず安易ね。そんなに簡単に上手くはいかないわ」
ヒューイ様が手をあげ、セレスを制した。
「いや、意外とありかもな。公爵は人格者のようだし、令嬢も慕われていたらしい。ジェフリー、陛下にサイオトリスを推してくれないか?」
ジェフリー様が大きく頷く。
「わかった。明日にでも話をするよ。それより令嬢達を探さないとな。ベル、強力な探索の魔道具を作ってみてくれないか?」
「もちろん。既に作っているわ。後もう少しで完成よ」
私は自慢げな顔をして胸を張った。
令嬢は私の癒しのアンテナに引っ掛からなかったから、全く傷ついていないはず。案外、馬鹿王太子から離れられてせいせいしているのかもしれない。
なんだか面白くなってきたな。私は早くその令嬢に会ってみたいと思っていた。
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