29 / 34
番外編 ウィルヘルムの結婚
到着
しおりを挟む
結界も張ったし、魔法もかけた。もともと地形のせいで存在自体がわかりにくいので魔法でよりわからなくなったようだ。
ジェフリー様が心配そうな顔をしている。
「ベル、そんなに魔法を使って身体は辛くないか?」
優しいなぁ。心配してもらえると嬉しくなる。
「大丈夫ですわ。私は筒のようなもので、神様の力を私の身体を通して出している感じなので、ダメージはないのです」
「そうなのか? それならいいが、あいつの言うことを全て聞く必要はないよ。嫌なことは断ればいい」
「はい。最近はあんまり無茶振りはしてこないですよ。今回は私も楽しそうだから首を突っ込んでみたくなったのです」
そう、サイオトリス王国の素敵な令嬢に会ってみたかったのだ。
ヒューイ様の声が聞こえてきた。
「そろそろ、陛下達が到着するぞ! 皆持ち場につけ!」
どんな感じで瞬間移動してくるのだろう? 団体の移動は見たことがないので楽しみだ。
「ホールに到着すると連絡があった。皆、ホールに集まれ!」
ヒューイ様の声に皆がホールへと移動する。
離宮のホールにもくもくとした白い霧に包まれた。
どどっ。どん。
大きな音が響き、建物が縦に揺れた。私は隣にいたジェフリー様にしがみついた。
「ベル、大丈夫か?」
「はい。瞬間移動も大勢だとこんなに凄いことになるのですね」
霧が晴れると、そこに50名くらいの人間が姿を現した。1番前にいたウィル様が手をあげた。
「よぉ、待たせたな」
「陛下、お戻りをお待ちしておりました」
ジェフリー様が声をかけるとウィル様はジェフリー様の肩を叩きながら、私の顔を見た。
「いつもながら良い仕事だな、ベル。エルフリーデ嬢はかなり疲れている。癒してやってくれ」
「かしこまりました。陛下はこんなに沢山の方々を一度に移動させて、お疲れではありませんか?」
ウィル様はニヤリと笑った。
「俺はなんともないさ。神のやろうはヘロヘロかもしれんがな」
あ~、ウィル様の魔法も私と同じか。神の魔法を身体に通しているだけ。それなら全く疲れはしない。
ウィル様はジェフリー様やヒューイ様をエルフリーデ嬢や公爵家の方々に紹介している。
「困ったことがあればこいつらに言えばいい。それと、聖女! ここに」
また呼ばれた。鬱陶しいが行くしかないか。
「これは我が国の聖女、ティーユだ。疲れを癒してもらうといい。これは宰相の女だから、冷凍人間になりたくなければ、間違っても不埒な気持ちは持たないように」
宰相の女って、まるでジェフリー様の愛人みたいじゃない。ジェフリー様のイメージダウンを狙っているのかしら?
エルフリーデ嬢は目を見開いている。
「愛人なの?」
「愛人ではないよ」
ウィル様はふふんと笑うが、ジェフリー様はこめかみをピキピキさせながらウィル様を睨みつけている。
「妻のベルティーユです」
「初めてお目にかかります。ノバック公爵が妻のベルティーユと申します」
カーテシーをすると令嬢は目をぱちくりさせた。
「公爵夫人に愛人などと申し訳ございません。エルフリーデ・ロンメルです。以前はサイオトリス王国のロンメル公爵家の長女でございましたが、今は訳あって国外追放になっております。今までは地下に潜んでおりましたので、久しぶりの地上で生き返ったような気分です」
痩せてはいるが元気そうだ。良かった。
ジェフリー様は皆に見せつけるかのように私を抱き寄せる。独占欲が強いのがたまにきずだ。
「この離宮全体に回復と癒しの魔法をかけております。中にいると体調も良くなると思います。外からはこの離宮は認識されません。結界も張っているのでしばらくは敵のことは気にせず、しっかり食べて、身体を休めて下さい」
ジェフリー様の言葉に一同、ホッとしたような顔になった。
「エルフリーデ嬢もゆっくりして下さいませ。湯浴みの準備もしております」
そういうと、エルフリーデ嬢は嬉しそうな顔で微笑んだ。
「うれし~い。湯浴みなんてもう長いことしてないわ。いつも浄化魔法をかけるだけでしたもの。聖女様、ありがとうございます。湯浴みしたいです」
猫みたいな目を見開いてキャッキャ喜ぶ令嬢はとても可愛い。ウィル様も満更でもないような顔をしている。
妃候補かな? 自ら迎えに行ったんだもの気に入ったのかしらね。
ジェフリー様が心配そうな顔をしている。
「ベル、そんなに魔法を使って身体は辛くないか?」
優しいなぁ。心配してもらえると嬉しくなる。
「大丈夫ですわ。私は筒のようなもので、神様の力を私の身体を通して出している感じなので、ダメージはないのです」
「そうなのか? それならいいが、あいつの言うことを全て聞く必要はないよ。嫌なことは断ればいい」
「はい。最近はあんまり無茶振りはしてこないですよ。今回は私も楽しそうだから首を突っ込んでみたくなったのです」
そう、サイオトリス王国の素敵な令嬢に会ってみたかったのだ。
ヒューイ様の声が聞こえてきた。
「そろそろ、陛下達が到着するぞ! 皆持ち場につけ!」
どんな感じで瞬間移動してくるのだろう? 団体の移動は見たことがないので楽しみだ。
「ホールに到着すると連絡があった。皆、ホールに集まれ!」
ヒューイ様の声に皆がホールへと移動する。
離宮のホールにもくもくとした白い霧に包まれた。
どどっ。どん。
大きな音が響き、建物が縦に揺れた。私は隣にいたジェフリー様にしがみついた。
「ベル、大丈夫か?」
「はい。瞬間移動も大勢だとこんなに凄いことになるのですね」
霧が晴れると、そこに50名くらいの人間が姿を現した。1番前にいたウィル様が手をあげた。
「よぉ、待たせたな」
「陛下、お戻りをお待ちしておりました」
ジェフリー様が声をかけるとウィル様はジェフリー様の肩を叩きながら、私の顔を見た。
「いつもながら良い仕事だな、ベル。エルフリーデ嬢はかなり疲れている。癒してやってくれ」
「かしこまりました。陛下はこんなに沢山の方々を一度に移動させて、お疲れではありませんか?」
ウィル様はニヤリと笑った。
「俺はなんともないさ。神のやろうはヘロヘロかもしれんがな」
あ~、ウィル様の魔法も私と同じか。神の魔法を身体に通しているだけ。それなら全く疲れはしない。
ウィル様はジェフリー様やヒューイ様をエルフリーデ嬢や公爵家の方々に紹介している。
「困ったことがあればこいつらに言えばいい。それと、聖女! ここに」
また呼ばれた。鬱陶しいが行くしかないか。
「これは我が国の聖女、ティーユだ。疲れを癒してもらうといい。これは宰相の女だから、冷凍人間になりたくなければ、間違っても不埒な気持ちは持たないように」
宰相の女って、まるでジェフリー様の愛人みたいじゃない。ジェフリー様のイメージダウンを狙っているのかしら?
エルフリーデ嬢は目を見開いている。
「愛人なの?」
「愛人ではないよ」
ウィル様はふふんと笑うが、ジェフリー様はこめかみをピキピキさせながらウィル様を睨みつけている。
「妻のベルティーユです」
「初めてお目にかかります。ノバック公爵が妻のベルティーユと申します」
カーテシーをすると令嬢は目をぱちくりさせた。
「公爵夫人に愛人などと申し訳ございません。エルフリーデ・ロンメルです。以前はサイオトリス王国のロンメル公爵家の長女でございましたが、今は訳あって国外追放になっております。今までは地下に潜んでおりましたので、久しぶりの地上で生き返ったような気分です」
痩せてはいるが元気そうだ。良かった。
ジェフリー様は皆に見せつけるかのように私を抱き寄せる。独占欲が強いのがたまにきずだ。
「この離宮全体に回復と癒しの魔法をかけております。中にいると体調も良くなると思います。外からはこの離宮は認識されません。結界も張っているのでしばらくは敵のことは気にせず、しっかり食べて、身体を休めて下さい」
ジェフリー様の言葉に一同、ホッとしたような顔になった。
「エルフリーデ嬢もゆっくりして下さいませ。湯浴みの準備もしております」
そういうと、エルフリーデ嬢は嬉しそうな顔で微笑んだ。
「うれし~い。湯浴みなんてもう長いことしてないわ。いつも浄化魔法をかけるだけでしたもの。聖女様、ありがとうございます。湯浴みしたいです」
猫みたいな目を見開いてキャッキャ喜ぶ令嬢はとても可愛い。ウィル様も満更でもないような顔をしている。
妃候補かな? 自ら迎えに行ったんだもの気に入ったのかしらね。
311
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし
さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。
だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。
魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。
変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。
二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。
【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する
ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。
夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。
社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。
ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。
「私たち、離婚しましょう」
アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。
どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。
彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。
アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。
こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました
音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。
____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。
だから私は決めている。
この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。
彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。
……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
王子様への置き手紙
あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯
小説家になろうにも掲載しています。
【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした
ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。
彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。
そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。
しかし、公爵にもディアにも秘密があった。
その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。
※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています
※表紙画像はAIで作成したものです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる