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番外編 ウィルヘルムの結婚
バタバタですわ
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予期していなかったウィル様の行動に王宮の中枢部はすったもんだしているようだ。
あのあとすぐに、ジェフリー様とヒューイ様はあの魔道具を手に王宮に瞬間移動魔法で飛んだ。
しばらくして、ジェフリー様からすぐに来て欲しいと連絡がきたので、子供達を義母と侍女達に頼み、聖女ティーユに化け、王宮に向かう。どうやら聖女としての仕事があるようだ。ティーユで来てくれとジェフリー様に頼まれた。
まぁ、魔法で変身するだけなので特に大変なことはない。ウィル様は、聖女に何をやらせるつもりなのだろうか?
「お義母様、行って参ります。子供達をお願いしますね」
義母は心配そうだが、気丈に振る舞ってくれている。
「任せて。ベル、気をつけてね。できるだけジェフリーや信用できる強い人を傍に置いてね。陛下は信用ならないから、騙されちゃダメよ」
「わかっていますわ。もう殺されるのは懲り懲りですわ」
義母と不敬極まりない会話をし、瞬間移動魔法で王宮のジェフリー様の執務室に移動した。
王宮のジェフリー様の元に到着すると、ジェフリー様が難しい顔で使用人達を指示していた。
「ベル、来てくれたか」
「はい。ウィル様は?」
「まただ。陛下は南の離宮に令嬢達を移動させるつもりらしい。あそこは隠れ家にはピッタリだからね。ベルに南の離宮の周りに結界を張らせろとこの魔道具から命令が来た」
あらま、こちらから見るつもりの魔道具なのに、あちらから見られちゃって、命令されているのね。
南の離宮はかなりわかりにくい場所にある。昔、王家が荒れていた頃に敵から逃げ、隠れるために作られたと聞いたことがある。
我が国の王家って時々荒れるのね。
「ベル! 来たか!」
魔道具の水晶板からウィル様の声がする。
「はい。来ておりますよ」
水晶板を見ると、あのいかに陛下らしい、キラキラした見目麗しい姿が見える。中身は真っ黒なのにね。
あの腹黒鬼畜たぬきに令嬢達も騙されちゃったかしら? 人たらしだものね。
「すぐに南の離宮に飛び、結界を張れ。防音魔法もかけて……そうだな、幻影魔法で南の離宮が認識できないようにしておけ。できたら、こちらに連絡をくれ、すぐに皆で移動する」
「はい」
全く、人使いが荒いわ。王宮魔導士にやらせればいいじゃない。
「秘密裏にだ! 王宮魔導士は信用できないだろう」
心の声が聞こえたのか? 怖い怖い。
「私も一緒に行くよ。向こうで指示しなきゃならないしな」
ジェフリー様の言葉に安心する。
「ありがとうございます。お義母様からジェフリー様か、誰か信用できる強い人と一緒にいるようにと言われております」
「あぁ、必ず守る。あいつの腹はよくわからんから、またベルが殺されるようなことになったら、私は怒りでこの国を消滅させてしまうかもしれない」
何気に怖いのですが……。
ウィル様も、ジェフリー様は私が絡むと魔王より怖いから気をつけねばと常々言っているので、なまじ嘘でもないのだろう。
私達は信用のできる使用人を何人か連れ、一緒に瞬間移動魔法で南の離宮に飛んだ。
南の離宮には既にたくさんの人がいて、忙しそうに動いている。
南の離宮長が近づいて来た。
「聖女様、お越しいただきありがとうございます」
聖女様? そっか、聖女様だったわ。
「離宮長、陛下から連絡をいただいたの。準備はどう?」
「お迎えする準備は整っております。あとは聖女様に結界を張っていただき、幻影魔法と防音魔法をかけていただくだけです」
離宮長の顔にかなり疲れが見える。
「離宮長、ひどい顔ね。疲れが限界じゃない? まずはみんなをエリアヒールで身体と心を癒すわ。陛下が戻ったらもっと働かされそうだものね」
「ありがとうございます。助かります」
私は南の離宮全体に癒しの魔法をかけた。皆の顔に生気が戻る。
さぁ、結界を張りましょうかね。
あのあとすぐに、ジェフリー様とヒューイ様はあの魔道具を手に王宮に瞬間移動魔法で飛んだ。
しばらくして、ジェフリー様からすぐに来て欲しいと連絡がきたので、子供達を義母と侍女達に頼み、聖女ティーユに化け、王宮に向かう。どうやら聖女としての仕事があるようだ。ティーユで来てくれとジェフリー様に頼まれた。
まぁ、魔法で変身するだけなので特に大変なことはない。ウィル様は、聖女に何をやらせるつもりなのだろうか?
「お義母様、行って参ります。子供達をお願いしますね」
義母は心配そうだが、気丈に振る舞ってくれている。
「任せて。ベル、気をつけてね。できるだけジェフリーや信用できる強い人を傍に置いてね。陛下は信用ならないから、騙されちゃダメよ」
「わかっていますわ。もう殺されるのは懲り懲りですわ」
義母と不敬極まりない会話をし、瞬間移動魔法で王宮のジェフリー様の執務室に移動した。
王宮のジェフリー様の元に到着すると、ジェフリー様が難しい顔で使用人達を指示していた。
「ベル、来てくれたか」
「はい。ウィル様は?」
「まただ。陛下は南の離宮に令嬢達を移動させるつもりらしい。あそこは隠れ家にはピッタリだからね。ベルに南の離宮の周りに結界を張らせろとこの魔道具から命令が来た」
あらま、こちらから見るつもりの魔道具なのに、あちらから見られちゃって、命令されているのね。
南の離宮はかなりわかりにくい場所にある。昔、王家が荒れていた頃に敵から逃げ、隠れるために作られたと聞いたことがある。
我が国の王家って時々荒れるのね。
「ベル! 来たか!」
魔道具の水晶板からウィル様の声がする。
「はい。来ておりますよ」
水晶板を見ると、あのいかに陛下らしい、キラキラした見目麗しい姿が見える。中身は真っ黒なのにね。
あの腹黒鬼畜たぬきに令嬢達も騙されちゃったかしら? 人たらしだものね。
「すぐに南の離宮に飛び、結界を張れ。防音魔法もかけて……そうだな、幻影魔法で南の離宮が認識できないようにしておけ。できたら、こちらに連絡をくれ、すぐに皆で移動する」
「はい」
全く、人使いが荒いわ。王宮魔導士にやらせればいいじゃない。
「秘密裏にだ! 王宮魔導士は信用できないだろう」
心の声が聞こえたのか? 怖い怖い。
「私も一緒に行くよ。向こうで指示しなきゃならないしな」
ジェフリー様の言葉に安心する。
「ありがとうございます。お義母様からジェフリー様か、誰か信用できる強い人と一緒にいるようにと言われております」
「あぁ、必ず守る。あいつの腹はよくわからんから、またベルが殺されるようなことになったら、私は怒りでこの国を消滅させてしまうかもしれない」
何気に怖いのですが……。
ウィル様も、ジェフリー様は私が絡むと魔王より怖いから気をつけねばと常々言っているので、なまじ嘘でもないのだろう。
私達は信用のできる使用人を何人か連れ、一緒に瞬間移動魔法で南の離宮に飛んだ。
南の離宮には既にたくさんの人がいて、忙しそうに動いている。
南の離宮長が近づいて来た。
「聖女様、お越しいただきありがとうございます」
聖女様? そっか、聖女様だったわ。
「離宮長、陛下から連絡をいただいたの。準備はどう?」
「お迎えする準備は整っております。あとは聖女様に結界を張っていただき、幻影魔法と防音魔法をかけていただくだけです」
離宮長の顔にかなり疲れが見える。
「離宮長、ひどい顔ね。疲れが限界じゃない? まずはみんなをエリアヒールで身体と心を癒すわ。陛下が戻ったらもっと働かされそうだものね」
「ありがとうございます。助かります」
私は南の離宮全体に癒しの魔法をかけた。皆の顔に生気が戻る。
さぁ、結界を張りましょうかね。
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