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第144話 敵の刃と、守る手
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アスの刻印が赤黒く輝き、空気が震えた。
その瞬間、彼の動きが一変する。
──もう、さっきまでの迷いは感じられない。
鋭い鎖の刃が一直線にボクを狙ってくる。
ユリウスが前に飛び出し障壁を展開するが、鎖はそれを砕くようにねじ込み、さらに迫る。
カインが横から殴りつけても、鎖は形を変えてすり抜けた。
「ルカ、離れろ!」
レオンが叫ぶが、アスはもう目の前まで来ていた。
鎖が伸び、頸元へ迫る──はずだった。
……けれど、刃先はほんの数センチ手前で止まった。
代わりに、アスの手がボクの肩を強く引き寄せる。
「……怪我は、させない」
低く押し殺した声。その一瞬だけ、瞳が以前のアスに戻っていた。
だが次の瞬間、刻印の光がさらに強く輝き、アスは顔を歪めた。
「ルカ……逃げろ……っ!」
その言葉と同時に、自ら鎖を振り払って距離を取る。
「……今の、見たか?」
ノアが低く呟く。
ボクは頷いた。
「うん……やっぱり、あの契約、完全じゃない」
アスは数歩先で息を荒げ、額を押さえていた。
鎖が暴れるように地面を裂き、石畳が粉々になる。
「……これ以上、俺に近づくな……次は、本当に殺す」
その声が震えているのは、恐怖か、苦しみか。
──でも、ボクにはわかった。
本気で殺すつもりなんて、アスにはない。
だから、逃げない。
この鎖を断ち切る方法を、必ず見つける。
その瞬間、彼の動きが一変する。
──もう、さっきまでの迷いは感じられない。
鋭い鎖の刃が一直線にボクを狙ってくる。
ユリウスが前に飛び出し障壁を展開するが、鎖はそれを砕くようにねじ込み、さらに迫る。
カインが横から殴りつけても、鎖は形を変えてすり抜けた。
「ルカ、離れろ!」
レオンが叫ぶが、アスはもう目の前まで来ていた。
鎖が伸び、頸元へ迫る──はずだった。
……けれど、刃先はほんの数センチ手前で止まった。
代わりに、アスの手がボクの肩を強く引き寄せる。
「……怪我は、させない」
低く押し殺した声。その一瞬だけ、瞳が以前のアスに戻っていた。
だが次の瞬間、刻印の光がさらに強く輝き、アスは顔を歪めた。
「ルカ……逃げろ……っ!」
その言葉と同時に、自ら鎖を振り払って距離を取る。
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だから、逃げない。
この鎖を断ち切る方法を、必ず見つける。
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