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第143話 鎖に縛られた手
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月明かりの路地に、アスとボクが向かい合った。
その距離はわずか数歩。
けれど、その間にあるのは見えない深い溝だった。
「ルカを渡すわけにはいかない」
背後でユリウスが剣を抜き、ラウルが構える。
アスは微笑みを崩さず、ゆっくりと手を上げた。
その手の甲に、黒い鎖模様の刻印が浮かび上がる。
──見覚えがある。国境で見た契約魔方陣と同じだ。
「やっぱり……契約されてるんだ」
「……ああ。命令は絶対だ。抗えば、魂ごと焼き切られる」
淡々と告げる声が、逆に痛かった。
次の瞬間、アスの指先から光の鎖が放たれた。
ユリウスが障壁で受け止め、ラウルが横から斬り込む。
けれど鎖はまるで生き物のようにうねり、二人の攻撃をすり抜けてくる。
「ルカ、下がって!」
カインが飛び込み、拳で鎖を叩き落とすが、その一部がボクの足首に巻きついた。
ひやりとした感触が、心臓まで届くようだった。
アスが一歩近づく。
「……怖がらなくていい。連れていくだけだ」
その声は優しくて、命令の響きを持っている。
「……アス、本当にこれが望みなの?」
「……望みは、お前を守ること。でも、今は……それしかできない」
瞳の奥で、何かが必死にもがいているのがわかった。
契約魔方陣の光が一瞬だけ揺らぎ、その隙にボクは詠唱を紡ぐ。
「《解け、束縛の鎖》」
光が走り、足首の鎖が弾けた。
アスの顔が驚きにわずかに歪む。
「やっぱり、解ける方法はある」
「……ルカ、やめろ。それ以上は……」
言葉が途切れ、刻印の光が再び強まった。
次の瞬間、アスの動きが鋭く変わる。
──契約の支配が、完全に彼を呑み込もうとしていた。
その距離はわずか数歩。
けれど、その間にあるのは見えない深い溝だった。
「ルカを渡すわけにはいかない」
背後でユリウスが剣を抜き、ラウルが構える。
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その手の甲に、黒い鎖模様の刻印が浮かび上がる。
──見覚えがある。国境で見た契約魔方陣と同じだ。
「やっぱり……契約されてるんだ」
「……ああ。命令は絶対だ。抗えば、魂ごと焼き切られる」
淡々と告げる声が、逆に痛かった。
次の瞬間、アスの指先から光の鎖が放たれた。
ユリウスが障壁で受け止め、ラウルが横から斬り込む。
けれど鎖はまるで生き物のようにうねり、二人の攻撃をすり抜けてくる。
「ルカ、下がって!」
カインが飛び込み、拳で鎖を叩き落とすが、その一部がボクの足首に巻きついた。
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「……ルカ、やめろ。それ以上は……」
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次の瞬間、アスの動きが鋭く変わる。
──契約の支配が、完全に彼を呑み込もうとしていた。
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