この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

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107. 「アス、成長と覚悟のはざまで(この恋は、ボクの誇り)」(アス視点)

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朝。
未来種子の畑に、ひときわ早く影を落としたのは、ひとりの少年だった。

アスは鍬を握り、息を整える。

「よし……今日もやるぞ」

額の汗をぬぐいながら、土を耕すその背には、確かな“覚悟”が宿っていた。

数日前、告白して──振られた。
でも、アスは泣かなかった。

それよりも、ルカにこう言われたことが忘れられなかった。

「アスくんの気持ち、ちゃんと届いたよ。
ずっと覚えてるって、約束する」

それだけで、十分だった。

(選ばれない。
でも、想いは否定されなかった)

(だったらボクは、この気持ちを“誇り”に変える)

アスは鍬を振る。
汗を流し、泥にまみれて、それでも心は澄んでいた。

***

「アスくん、すごいなぁ。全部ひとりで……」

背後から声がした。

振り返ると、ルカが立っていた。
いつものようにミミルを抱え、陽の光に透けるような微笑みを浮かべている。

「あっ……お、おはようございます! あの、ボク、ただ……!」

「……ありがとう」

ルカの言葉に、アスは言葉を失った。

「アスくんが頑張ってくれるから、未来種子たち、みんな元気なんだよ」

「ボク、見てるからね。ずっと」

それだけで、胸がいっぱいになった。

「……ボクね、強くなりたいんです。
この畑を、未来の希望にするって決めたから。
ボクの“好き”は、ルカ様を縛らないかわりに、支えになるんだって……そう思いたくて……!」

ルカは、目を見開いたあと、ふわっと笑った。

「うん。……それ、すごく強い“好き”だね」

「うんっ……!」

アスの頬が赤く染まる。

「アスくん」

「はい……!」

「ボクが誰かを選ばないことで、誰かが傷ついたりしないように……
“選ばなくても幸せになれる未来”を、ボクと一緒に作ってくれる?」

その言葉に、アスは息を呑んだ。

それは──“神子としてのルカ”ではなく、
“いちばん弱くて、でも誰よりも優しい”ルカの声だった。

「……はい」

「ボク、何があっても……ルカ様のそばにいます。
この恋は、報われなくても、ずっとボクの誇りです」

ルカの瞳が、きらりと揺れる。

そのとき──畑の奥で、ひとつの芽が光った。

それは、未来種子のなかでも特別に澄んだ黄金色。

アスが耕した土のなかから、“共に歩む覚悟”を宿した芽が、生まれたのだった。
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