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大学生 編
アニメ研究会
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「おっ、宇佐木氏と狼谷氏ではないですか。今日はお早いですな~」
中にいたのは、アニ研の部長の有馬だった。
ウマ獣人なので背が高いのだが、いつもその背を丸めて猫背でいるので、そこまで大きいと思った事がない。
分厚い眼鏡をかけ、チェックのシャツを着ている、少し前のスタンダードオタクの恰好をしているが、実際は割とイケメンなのを知っている。狼谷程ではないが。
「部長、他のメンバーは?」
荷物を降ろしながら、部室を見まわす。マンガや雑誌がその辺に転がっているが、人の姿は、部長以外ない。
「嘆かわしいかな、今日はミス大学コンテストが行われているというので、みんなしてそちらに行ってしまいましたぞ。全く、三次元の女子の何がいいのやら」
部長は少し憤ったように、眼鏡の位置を上げた。
部長は、生粋の二次元美少女オタクなので残っていたようだ。他に3人ほどメンバーが居るのだが、まだまだ三次元を諦められていないらしい。
いつものように自分の椅子に座り、その横に狼谷が座った。
「ははあ、いつも可愛いって言ってる女の子がでてるんじゃないですか」
少し呆れたように言いながら、自分はバトル系の少年マンガを手に取る。
当たり前すぎてもはや何も思わないが、さすがに最初は驚いた。
だって、肉食獣人がこんなに近くにいる事ってあんまりなかったから。肉食獣人は草食獣人より人口が少ないうえに、さらに希少なアルファだから、最初は本当に変に気を使っていたが、今は、こいつの傍はわりと居心地が良いと思っている。気が合った、というやつだろうか。
気恥ずかしいから言わないが。
部長は、肩をすくめて、なぜか狼谷を見た。
見られた狼谷は、なんだという風に首を傾げた。
「今回は、オメガも参加して良いらしいですぞ。で、ウワサでしかないですが、優勝した者は、肉食アルファとの一日デート券が贈られるそうで。……大学内の肉食アルファは数える程しかいないので、今日は、狼谷氏は来ないものかと思っておりました。さすがアニ研期待の新星、小生は信じておりましたぞ。三次元なんかには靡かないと!」
ぐっと、こぶしを握り締めて感動したように言う部長。
はじめて聞いたその噂。
本当だろうかと狼谷を見ると、何かを考えているかのように斜め上を見つめていた。
やがて、ああ、と何か思い出したようだった。
「そういえば、いつか一日予定を空けてくれないか、可愛い子とデートできるからって、顔も知らない奴に言われて、普通に断ったんだ。あれの事か?」
「ずばり、それでしょう。我々アニ研は、二次元に青春を捧げると決めております! 君は本当に、期待の新星ですぞ~」
感動した部長は、狼谷の手を取りぶんぶんと上下に振った。部長の奇行はいつもの事なので、狼谷は苦笑してなされるがままだった。
「また、宇佐木氏。あなたも立派ですぞ。狼谷氏を使ってモテる事もできたでしょうに、ちゃんとアニ研の精神に準じて、今日も来ておられる! 小生は嬉しさでいっぱいですぞ!」
そして、部長がオレの手も取ろうとしたが、それは狼谷にペンっと叩き落とされた。
中にいたのは、アニ研の部長の有馬だった。
ウマ獣人なので背が高いのだが、いつもその背を丸めて猫背でいるので、そこまで大きいと思った事がない。
分厚い眼鏡をかけ、チェックのシャツを着ている、少し前のスタンダードオタクの恰好をしているが、実際は割とイケメンなのを知っている。狼谷程ではないが。
「部長、他のメンバーは?」
荷物を降ろしながら、部室を見まわす。マンガや雑誌がその辺に転がっているが、人の姿は、部長以外ない。
「嘆かわしいかな、今日はミス大学コンテストが行われているというので、みんなしてそちらに行ってしまいましたぞ。全く、三次元の女子の何がいいのやら」
部長は少し憤ったように、眼鏡の位置を上げた。
部長は、生粋の二次元美少女オタクなので残っていたようだ。他に3人ほどメンバーが居るのだが、まだまだ三次元を諦められていないらしい。
いつものように自分の椅子に座り、その横に狼谷が座った。
「ははあ、いつも可愛いって言ってる女の子がでてるんじゃないですか」
少し呆れたように言いながら、自分はバトル系の少年マンガを手に取る。
当たり前すぎてもはや何も思わないが、さすがに最初は驚いた。
だって、肉食獣人がこんなに近くにいる事ってあんまりなかったから。肉食獣人は草食獣人より人口が少ないうえに、さらに希少なアルファだから、最初は本当に変に気を使っていたが、今は、こいつの傍はわりと居心地が良いと思っている。気が合った、というやつだろうか。
気恥ずかしいから言わないが。
部長は、肩をすくめて、なぜか狼谷を見た。
見られた狼谷は、なんだという風に首を傾げた。
「今回は、オメガも参加して良いらしいですぞ。で、ウワサでしかないですが、優勝した者は、肉食アルファとの一日デート券が贈られるそうで。……大学内の肉食アルファは数える程しかいないので、今日は、狼谷氏は来ないものかと思っておりました。さすがアニ研期待の新星、小生は信じておりましたぞ。三次元なんかには靡かないと!」
ぐっと、こぶしを握り締めて感動したように言う部長。
はじめて聞いたその噂。
本当だろうかと狼谷を見ると、何かを考えているかのように斜め上を見つめていた。
やがて、ああ、と何か思い出したようだった。
「そういえば、いつか一日予定を空けてくれないか、可愛い子とデートできるからって、顔も知らない奴に言われて、普通に断ったんだ。あれの事か?」
「ずばり、それでしょう。我々アニ研は、二次元に青春を捧げると決めております! 君は本当に、期待の新星ですぞ~」
感動した部長は、狼谷の手を取りぶんぶんと上下に振った。部長の奇行はいつもの事なので、狼谷は苦笑してなされるがままだった。
「また、宇佐木氏。あなたも立派ですぞ。狼谷氏を使ってモテる事もできたでしょうに、ちゃんとアニ研の精神に準じて、今日も来ておられる! 小生は嬉しさでいっぱいですぞ!」
そして、部長がオレの手も取ろうとしたが、それは狼谷にペンっと叩き落とされた。
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