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大学生 編
小さな嘘
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でも、その事実をこいつに言えずに、ネズミだってずっと騙していた。
どうも、肉食獣人というのは、草食か肉食かはわかるが、種族まではわからないのが殆どだそうだ。
肉食は草食を気にする必要が無いからだろうか。
草食獣人は、まず間違いなく肉食獣人の種族がわかる。見た瞬間、トラやオオカミ、ライオンやクマなどは本能でわかる。そして恐怖も。
これは、魂に刻まれたものでしょうがないらしい。
さすがに現代社会では肉食獣人も無法はできないので、理性では恐れる事は無いとわかっている。
昔は肉食獣人の好き放題が凄かったらしいので、本当に現代に生まれてよかったと、草食獣人の中でも、そこそこ弱いウサギであるオレは感謝した。
そして、オメガであるという事実も。
現代社会では、発情期の抑制剤という素晴らしい薬がある。
発情期には強制的に発情させられ、アルファの子を孕みたくなる衝動にかられ何も手につかなくなる。この薬があるから、男であるが産む性であったオメガも、一般的な社会生活を送れるようになったのだ
オメガ男性は、主に草食獣人からしか生まれない。
だから立場が結構弱かったのだが、抑制剤のおかげで、いろんな職に就くこともできるし、アルファの子供を産まないという選択肢もとれるようになった。
……まあ、そのせいで少子化になっているという批判も出てはいるが、草食のオメガになった事が無い奴らの言葉なので、無視でいい。
とにかく、おかげで一番多い草食のベータに擬態できて、こうやって普通の生活を送れる。感謝しかない。保険も効くし。
だから、発情期もうまく隠せているし、大きな悩みなくこうやって自由に学生生活をおう歌しているってわけだ。可愛い後輩も、気づいていないし。
オレは、鼻より耳が良いので、他の草食獣人の事はあまりわからないが、先ほどのようなどうでもいい会話は結構聞こえてきてしまうのが、悩みっちゃ悩みだった。
それぐらいだったのに。
こいつと話すのが、楽しくて。オレがこいつが毛嫌いしているウサギ獣人で、あろうことかオメガなんだって、その事実を言えずにズルズルときてしまった。
いつか言おう、いつか言わなければと思っていたのだが、どんどん、話が合って、気が合って。
もう、ウサギ獣人だと言い出せないところまで、きてしまった。
今さら、こいつに嫌われたくない。
オメガだって言って、侮蔑の目で見られたくない。
少なくとも草食獣人はオメガだからと言って差別しないが、肉食獣人は、どうしてもオメガを下に見てくる。そういう経験を、してきた。
だから。
学生生活が終わるまでは。
何とか、騙しておきたかった。
卒業したら、どうせ名家のこいつとは人生は交わらないだろうから、大学時代に良い先輩がいた、と思って欲しかったのだ。オレの小さな欲。
「どうしたの、センパイ。もう部室着くよ」
ふと、考え事をしてしまっていた。
狼谷の言葉で、ハッと我に返る。
「ああ、いや。そういえば、お前が欲しがってたマンガの限定版、いつもの書店に入る予定があるって聞いたなって思って」
「マジ?! あのマンガの作者、限定版に頭おかしいほどの書き下ろし小冊子つけてくれるから。絶対欲しかったんだよ! 今日予約しに行こ、センパイも行くよな」
すごく嬉しそうに笑う後輩に、オレは弱い。別に書店に行くつもりはなかったが、いいよ、と頷いていたのだった。
オオカミ獣人という勝ち組リアルモテ男のこいつが、なんでオレやアニ研のようにオタク、しも結構重度になってしまったのか、聞きたいような聞きたくないような思いをしながら、オレたちは部室に入った。
どうも、肉食獣人というのは、草食か肉食かはわかるが、種族まではわからないのが殆どだそうだ。
肉食は草食を気にする必要が無いからだろうか。
草食獣人は、まず間違いなく肉食獣人の種族がわかる。見た瞬間、トラやオオカミ、ライオンやクマなどは本能でわかる。そして恐怖も。
これは、魂に刻まれたものでしょうがないらしい。
さすがに現代社会では肉食獣人も無法はできないので、理性では恐れる事は無いとわかっている。
昔は肉食獣人の好き放題が凄かったらしいので、本当に現代に生まれてよかったと、草食獣人の中でも、そこそこ弱いウサギであるオレは感謝した。
そして、オメガであるという事実も。
現代社会では、発情期の抑制剤という素晴らしい薬がある。
発情期には強制的に発情させられ、アルファの子を孕みたくなる衝動にかられ何も手につかなくなる。この薬があるから、男であるが産む性であったオメガも、一般的な社会生活を送れるようになったのだ
オメガ男性は、主に草食獣人からしか生まれない。
だから立場が結構弱かったのだが、抑制剤のおかげで、いろんな職に就くこともできるし、アルファの子供を産まないという選択肢もとれるようになった。
……まあ、そのせいで少子化になっているという批判も出てはいるが、草食のオメガになった事が無い奴らの言葉なので、無視でいい。
とにかく、おかげで一番多い草食のベータに擬態できて、こうやって普通の生活を送れる。感謝しかない。保険も効くし。
だから、発情期もうまく隠せているし、大きな悩みなくこうやって自由に学生生活をおう歌しているってわけだ。可愛い後輩も、気づいていないし。
オレは、鼻より耳が良いので、他の草食獣人の事はあまりわからないが、先ほどのようなどうでもいい会話は結構聞こえてきてしまうのが、悩みっちゃ悩みだった。
それぐらいだったのに。
こいつと話すのが、楽しくて。オレがこいつが毛嫌いしているウサギ獣人で、あろうことかオメガなんだって、その事実を言えずにズルズルときてしまった。
いつか言おう、いつか言わなければと思っていたのだが、どんどん、話が合って、気が合って。
もう、ウサギ獣人だと言い出せないところまで、きてしまった。
今さら、こいつに嫌われたくない。
オメガだって言って、侮蔑の目で見られたくない。
少なくとも草食獣人はオメガだからと言って差別しないが、肉食獣人は、どうしてもオメガを下に見てくる。そういう経験を、してきた。
だから。
学生生活が終わるまでは。
何とか、騙しておきたかった。
卒業したら、どうせ名家のこいつとは人生は交わらないだろうから、大学時代に良い先輩がいた、と思って欲しかったのだ。オレの小さな欲。
「どうしたの、センパイ。もう部室着くよ」
ふと、考え事をしてしまっていた。
狼谷の言葉で、ハッと我に返る。
「ああ、いや。そういえば、お前が欲しがってたマンガの限定版、いつもの書店に入る予定があるって聞いたなって思って」
「マジ?! あのマンガの作者、限定版に頭おかしいほどの書き下ろし小冊子つけてくれるから。絶対欲しかったんだよ! 今日予約しに行こ、センパイも行くよな」
すごく嬉しそうに笑う後輩に、オレは弱い。別に書店に行くつもりはなかったが、いいよ、と頷いていたのだった。
オオカミ獣人という勝ち組リアルモテ男のこいつが、なんでオレやアニ研のようにオタク、しも結構重度になってしまったのか、聞きたいような聞きたくないような思いをしながら、オレたちは部室に入った。
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