ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃

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大学生 編

有馬部長

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「良いんですよ。苦しんでるの、放っておくほうが嫌じゃないですか」

 うう、と部長が唸る。
 その背中をさすってやる。
 ウマ獣人はスラッとした体形が多いが、部長も例にもれずきれいな背中をしていた。

「ちょうど、一年前だったかな。君に、はじめて助けてもらったのも」

 部長は、涙目になったのをぬぐうためか、伊達メガネを外した。
 スッと鼻筋の通った顔面がまぶしい。
 狼谷とはまたタイプが違うイケメンなんだよなあ、このひと。

「でしたかね。びっくりしましたよ、はじめてアニ研行ったら蹲ってるんですもん。ウマ獣人は大変ですね、すぐにお腹痛くなるし、重症化しやすいんでしょ」
「あの時も、本当に助かったよ……はあ、この体質が恨めしい」

 よたよたと歩く、オレより頭1.5個分高い部長の顔を見上げる。
 猫背じゃないとこんなにも身長差あるんだな、この人と。狼谷より高い。

「このお礼はするよ」
「いえ、大丈夫です。オレも、部長には助けられてるから、おあいこですよ」

 部長は、困ったように眉を寄せた。
 
「狼谷氏の事ですな。……宇佐木氏はそれで本当に良いのですか?」

 伊達メガネをかけなおし、いつもの喋り方に戻る。
 よかった、だいぶ元気になったようだ。
 オレは、苦笑する事しかできなかった。

「はい、大学出たら会う事もないだろうし。せめて、学生の内は、懐いているあいつと、楽しくやりたいんです」

 部長は、それには何も言わず、ふうと息を吐いた。

「まあ、宇佐木氏がそれで良いと言うなら、小生からは何も言いますまい」

 そして、ちょっとだけ真剣な表情でオレを見た。

「ただ、何かあったら、頼ってくれて良いからね。肉食獣人ほどじゃないけど、私もアルファだから。何か助けてあげられる事があったら、遠慮なく言って欲しい」

 伊達メガネ越しでも、その真剣さはわかった。
 一瞬ドキッとした後、胸がジーンとした。

 こうやって人に優しくされるの、嬉しいな。それが、自分が助けた人からかえってきたものなら、なおさら。

「ありがとうございます」

 部長を見上げニッと笑うと、部長が照れくさそうに顔をそむけた。
 格好つけたなって、自分でも思ったんだろうか。ちょっとだけ笑うと、部長はさらに恥ずかしそうに顔を横に向けた。

「じゃあ、部長。オレはもうちょっと図書館に居ますけど、どうしますか?」

 オレがそういうと、部長は照れくさそうに顔をそむけたまま、

「小生は、一旦家に帰ろうと思います。今日は、アニ研に寄れないかもしれないので、お伝えくだされ」
「わかりました、お大事に」

 オレの言葉に部長ははにかんで、猫背で図書館を出て行った。……あの猫背、お腹痛い時が多いから癖になっちゃったんだって聞くと、可哀想になあと思う。

 ウマ獣人って、スラッとしてて、足めっちゃ速くて、力も強いのに、体質的にお腹痛くなりやすいんだそうだ。
 他の種族にもそういう、メリットデメリットがいっぱいある。

 あんまり、人を外から見ただけで羨ましいと思ってもしょうがないんだなって、部長との出会いはそう思わせてくれた。
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