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社会人 編
臆病な告白
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「……お前は、どうしたい?」
オレの言葉に、後輩はゴシゴシと目を擦った。
ずっと鼻をすすり、きりっと、オレの前に立った。
そこにいたのは、大人になった可愛いオレの後輩だった。
オレの答えは、決まっている。
「……寧さん」
「うん」
「オレと、付き合ってくださいっ」
頭をバッと下げて、オレの言葉を待つ狼谷。
口に出したい言葉はあるのに、臆病なオレは、違う言葉を吐いてしまう。
「お前はさぁ、
格好良いし、
声も良いし、
狼のアルファだし、
モテるのに、
……本当に、オレで良いのか?」
今オレは、凄く困ったような顔をしていると思う。
頭を下げていた狼谷が、今度は勢いよく頭を上げた。めまいとか大丈夫か。
「寧さんが良いんだ! オレの番になってください!」
「番?」
「あっ」
真面目な顔をしていた狼谷の顔が、一気に真っ赤に染まった。先ほどまでとは違い、本当に恥ずかしそうに、焦ったように口を開いていた。
「あ、えっと、ち、ちがくて。いや、順番が、違って、もっとあとに、センパイをめちゃくちゃ甘やかした後に言おうと思ってたのにぃ」
両手で顔を覆い、後悔と恥ずかしさが混じったような声で、後輩が呟く。
こいつが、オレと番まで考えてたなんて、びっくりした。びっくりしたけど、オレの答えは、決まっていた。
狼谷の両手首をつかみ、その顔を覆うごつごつした手を優しく引き、顔が見えるように広げた。
「せ、センパイ……?」
戸惑ったように、だが、期待した瞳で、オレを見つめる狼谷。ふと、笑みが漏れる。
キラキラしたお前の瞳を、また見れて、嬉しいよ。
「オレも、お前の事、好きだよ……たぶん、大学の時から。だからあの時、嬉しかったんだ。嬉しく思った、罰が当たんだってずっと思ってたんだけど……違うのかもなって、ようやく、今、思えたよ」
「えっ! ほ、ほんとに?!」
耳がピンと立ち上がり、尻尾がブンブンと風を切っている音がする。
男前が、なんだか余計キラキラして見える。
「よ、良かったぁ……センパイ、センパイ本当にごめんなさい。あんな事、して良いわけなかったのに、止められなかったんだ。だってセンパイの事好きだったから。あわよくばって思った、オレが、悪かったんだ。もう、居なくならないでよセンパイ」
キラキラしたと思ったら、今度はまた怒られた大型犬の顔をして、オレにガバッと抱き着いてきた。と、思えばアオアオと泣きながら頬を摺り寄せて甘えてくる。いやこれ、どんな状況?!
「よしよし」
仕方なく、気が済むまでしたいようにさせてやる事にした。頭を撫でてやると、さらに大男はぐずぐず泣き言を言う。
「もとはといえばセンパイが可愛いのが悪いよ。有馬部長からあんなにあからさまに好意を寄せられてるのに、気づいてなくて。気付いたらどうなっちゃうんだろうってオレの心配なんて全然しらないクセに、オレだけ特別扱いしてくれるんだから、本当にズルい。でもそんな所も好き」
……んん? なんか、変な方向に行ってないか?
オレの言葉に、後輩はゴシゴシと目を擦った。
ずっと鼻をすすり、きりっと、オレの前に立った。
そこにいたのは、大人になった可愛いオレの後輩だった。
オレの答えは、決まっている。
「……寧さん」
「うん」
「オレと、付き合ってくださいっ」
頭をバッと下げて、オレの言葉を待つ狼谷。
口に出したい言葉はあるのに、臆病なオレは、違う言葉を吐いてしまう。
「お前はさぁ、
格好良いし、
声も良いし、
狼のアルファだし、
モテるのに、
……本当に、オレで良いのか?」
今オレは、凄く困ったような顔をしていると思う。
頭を下げていた狼谷が、今度は勢いよく頭を上げた。めまいとか大丈夫か。
「寧さんが良いんだ! オレの番になってください!」
「番?」
「あっ」
真面目な顔をしていた狼谷の顔が、一気に真っ赤に染まった。先ほどまでとは違い、本当に恥ずかしそうに、焦ったように口を開いていた。
「あ、えっと、ち、ちがくて。いや、順番が、違って、もっとあとに、センパイをめちゃくちゃ甘やかした後に言おうと思ってたのにぃ」
両手で顔を覆い、後悔と恥ずかしさが混じったような声で、後輩が呟く。
こいつが、オレと番まで考えてたなんて、びっくりした。びっくりしたけど、オレの答えは、決まっていた。
狼谷の両手首をつかみ、その顔を覆うごつごつした手を優しく引き、顔が見えるように広げた。
「せ、センパイ……?」
戸惑ったように、だが、期待した瞳で、オレを見つめる狼谷。ふと、笑みが漏れる。
キラキラしたお前の瞳を、また見れて、嬉しいよ。
「オレも、お前の事、好きだよ……たぶん、大学の時から。だからあの時、嬉しかったんだ。嬉しく思った、罰が当たんだってずっと思ってたんだけど……違うのかもなって、ようやく、今、思えたよ」
「えっ! ほ、ほんとに?!」
耳がピンと立ち上がり、尻尾がブンブンと風を切っている音がする。
男前が、なんだか余計キラキラして見える。
「よ、良かったぁ……センパイ、センパイ本当にごめんなさい。あんな事、して良いわけなかったのに、止められなかったんだ。だってセンパイの事好きだったから。あわよくばって思った、オレが、悪かったんだ。もう、居なくならないでよセンパイ」
キラキラしたと思ったら、今度はまた怒られた大型犬の顔をして、オレにガバッと抱き着いてきた。と、思えばアオアオと泣きながら頬を摺り寄せて甘えてくる。いやこれ、どんな状況?!
「よしよし」
仕方なく、気が済むまでしたいようにさせてやる事にした。頭を撫でてやると、さらに大男はぐずぐず泣き言を言う。
「もとはといえばセンパイが可愛いのが悪いよ。有馬部長からあんなにあからさまに好意を寄せられてるのに、気づいてなくて。気付いたらどうなっちゃうんだろうってオレの心配なんて全然しらないクセに、オレだけ特別扱いしてくれるんだから、本当にズルい。でもそんな所も好き」
……んん? なんか、変な方向に行ってないか?
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