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社会人 編
最終話 声になった、想いと想いと重い
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「オレもちゃんと好意伝える勇気なかったから悪いんだけど、センパイの横にずっと居ていいのはオレだけなのに、有馬部長と明らかに秘密共有してる風だし、有馬部長は嬉しそうだし。オレの入り込む余地なんてなさそうに仲良くしてるのに、センパイはオレだけ構ってくれるし……オレもうどうしたら良いのかってずっと考えてたのにっ」
ぐずぐずと延々と文句なんだか告白なんだかわからない言葉を言い続けているのだが、これは、いつ終わるんだ?? いい加減、オレも恥ずかしくて死にそうなんだが。
って、オイ。こいつ、もしかして。
「……狼谷」
「センパイ、オレいま本当に夢見てるみたい。センパイを見つける事ができて、センパイに受け入れてもらえて良かった。本当は、センパイから連絡が来たら、ピシッとスーツできめて、高級車で迎えに行って、ちゃんと謝ってって、色々段取り考えてたのに、全部無駄になったけど、でも良いんだ。結果オーライだし。今からでも、大学のやり直しをさせて欲しい。センパイはどこに」
「なあ、狼谷、当たってる……」
「……」
二人の間に微妙な間が流れる。
そして。
「……本当に、ごめん、なさい。一生懸命、おさえてる、んだけど」
プルプルと狼谷が顔を上げないまま身体を震わせる。
下半身に、明らかに、硬いものがあたっている。
いや、これは、狼谷が悪いわけではない。
だって、オレ、いま発情期のフェロモンめっちゃ出てるんだもん。仕方ないだろ! こっちだってずっと失恋したと思ってた相手から告白されて、両想いですって言われて、嬉しくないわけないし、そういう気持ちになったって!
そういうオレだって、下半身人の事言えないし……。
「……一旦、今日は、解散しないか?」
「……うん」
お互い、さすがに勢いでしでかしてしまった大学の事があるので、今、というのは抵抗があった。
名残惜しそうに、狼谷は体を引いた。恥ずかしそうに、顔を赤らめている。
「えっと、帰れそうか?」
「う、うん、大丈夫だと思う」
ちょっと(主に下半身が)心配だが、大丈夫だという狼谷を信じる事にする。
「気をつけてな。連絡、するよ」
「うんっ、待ってるから、センパイ……あっ、寧さん」
狼谷がニカッと嬉しそうに笑う。
「絶対、幸せにする! 大学からの分まで。だから、覚悟しといてよ。オレに愛されるってどういう事か」
「へっ」
チュッ。
そして、不意に唇に柔らかい感触。
一瞬遅れて、キスをされた事に気づいた。
「お、おまっ」
「約束! 絶対、センパイから連絡くれよ、待ってるから!」
本当に幸せそうに、キラキラ笑いながら、狼谷は手を振って去って行った。雑誌で見た、どこか影のあるイケメンは面影すらなくなっていた。
狼谷が見えなくなった後、オレは扉を閉めて、ズルズルとそこに崩れ落ちた。
「ずるいのは、どっちだよ」
頬が顔が熱くて、どうして良いのかわからない。とりあえず、顔を両手で覆うと、よけい熱くなった。水をかけたら湯気がでるんじゃないかな、今。
とりあえず。
人生というのは、どういう方向に向かうか、わからないというのが今日一日で嫌というほどわかった。
スマホをポケットから取り出し、連絡先を開く。
そこには、鍵をかけたまま、消すこともできない、狼谷の名前があった。
ギュッと、スマホを両手で握り締める。ポロッと自然に涙がこぼれた。でも、これは悲しい涙じゃない。
暖かい、涙が流れて、消えた。
「狼谷、好きだよ」
今、オレの言葉は消えるかもしれないけれど、これから先は、聞いてくれる人が居る。
それは、とても幸せな事に思えた。
追いかけてきてくれて、ありがとう、狼谷。
今度は、逃げないよ。
おわり
ぐずぐずと延々と文句なんだか告白なんだかわからない言葉を言い続けているのだが、これは、いつ終わるんだ?? いい加減、オレも恥ずかしくて死にそうなんだが。
って、オイ。こいつ、もしかして。
「……狼谷」
「センパイ、オレいま本当に夢見てるみたい。センパイを見つける事ができて、センパイに受け入れてもらえて良かった。本当は、センパイから連絡が来たら、ピシッとスーツできめて、高級車で迎えに行って、ちゃんと謝ってって、色々段取り考えてたのに、全部無駄になったけど、でも良いんだ。結果オーライだし。今からでも、大学のやり直しをさせて欲しい。センパイはどこに」
「なあ、狼谷、当たってる……」
「……」
二人の間に微妙な間が流れる。
そして。
「……本当に、ごめん、なさい。一生懸命、おさえてる、んだけど」
プルプルと狼谷が顔を上げないまま身体を震わせる。
下半身に、明らかに、硬いものがあたっている。
いや、これは、狼谷が悪いわけではない。
だって、オレ、いま発情期のフェロモンめっちゃ出てるんだもん。仕方ないだろ! こっちだってずっと失恋したと思ってた相手から告白されて、両想いですって言われて、嬉しくないわけないし、そういう気持ちになったって!
そういうオレだって、下半身人の事言えないし……。
「……一旦、今日は、解散しないか?」
「……うん」
お互い、さすがに勢いでしでかしてしまった大学の事があるので、今、というのは抵抗があった。
名残惜しそうに、狼谷は体を引いた。恥ずかしそうに、顔を赤らめている。
「えっと、帰れそうか?」
「う、うん、大丈夫だと思う」
ちょっと(主に下半身が)心配だが、大丈夫だという狼谷を信じる事にする。
「気をつけてな。連絡、するよ」
「うんっ、待ってるから、センパイ……あっ、寧さん」
狼谷がニカッと嬉しそうに笑う。
「絶対、幸せにする! 大学からの分まで。だから、覚悟しといてよ。オレに愛されるってどういう事か」
「へっ」
チュッ。
そして、不意に唇に柔らかい感触。
一瞬遅れて、キスをされた事に気づいた。
「お、おまっ」
「約束! 絶対、センパイから連絡くれよ、待ってるから!」
本当に幸せそうに、キラキラ笑いながら、狼谷は手を振って去って行った。雑誌で見た、どこか影のあるイケメンは面影すらなくなっていた。
狼谷が見えなくなった後、オレは扉を閉めて、ズルズルとそこに崩れ落ちた。
「ずるいのは、どっちだよ」
頬が顔が熱くて、どうして良いのかわからない。とりあえず、顔を両手で覆うと、よけい熱くなった。水をかけたら湯気がでるんじゃないかな、今。
とりあえず。
人生というのは、どういう方向に向かうか、わからないというのが今日一日で嫌というほどわかった。
スマホをポケットから取り出し、連絡先を開く。
そこには、鍵をかけたまま、消すこともできない、狼谷の名前があった。
ギュッと、スマホを両手で握り締める。ポロッと自然に涙がこぼれた。でも、これは悲しい涙じゃない。
暖かい、涙が流れて、消えた。
「狼谷、好きだよ」
今、オレの言葉は消えるかもしれないけれど、これから先は、聞いてくれる人が居る。
それは、とても幸せな事に思えた。
追いかけてきてくれて、ありがとう、狼谷。
今度は、逃げないよ。
おわり
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