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しおりを挟む「勝手な思い込みで付き纏ったんだ。家族や一族に迷惑をかけて『知らなかった』では済まされないよ」
公爵家に睨まれた貴族家が社交界でいままでの立場を維持できるはずはありません。
まあ、どこの家庭でも「おたくの娘さん、うちの息子にちょっかいかけてるんだけど。どんな教育してるの? 迷惑だってわからない?」なんて内容の抗議文を受け取って泡を食ったらしい。
娘に話を聞いて事実と知り、家族揃って公爵家と我が家に謝罪した。
その中で何人かの幼稚脳なお嬢さんが「知らなかっただけ」と言い訳してましたよ。
そんな無知蒙昧な開き直りをされて、黙っているご家庭はないでしょう?
無知蒙昧と言われても「鞭も上手い? 加虐思考なんですね」なんて言ったご令嬢がいらっしゃいましたわ。
「反省も謝罪もできず、言葉も知らないお子さまを連れて何しに来たのかね?」
両家当主にそう言い捨てられて、一世一代の謝罪パフォーマンスは終わりました。
これ以上続ければ、謝罪だけでは済まなくなるからです。
無事に謝罪劇を演じ切った人たちは後添い経由修道女への道か、他国にある『世界で一番厳しい修道院(in孤島)』へ直行。
決めたのは彼女たちの両親。
次期当主に負債を引き継がせないための厳しい処置です。
たとえ次世代が許すとしても、修道院に入った令息令嬢は還俗出来ません。
すでに『神に仕えし者』であり、神に所有権を委ねられた存在なのだから。
神が所有権を握る相手を、高高人間風情がどうこうしようなどと烏滸がましいのです。
修道士や修道女が還俗出来ない理由に「彼ら彼女たちは反省が足りないため、いまだ老いることも死ぬことも許されていないから」と言われていますが、その真偽は定かではありません。
「まあ、戻りたくても戻る家はないだろうね」
一度目は『当事者の追放』で許されたのだ。
それを生家に連れ戻すというなら、許されたはずの罪もまた戻ってくることになる。
二度目はない。
貴族であるなら、その意味を理解して行動しなくてはならないのです。
当主の一存で恩赦などと言って連れ戻すのであれば…………
戻る家自体を無くせばいいだけ、なのです。
戻る場所を失えば、待っている人がこの世からいなくなれば…………
贖罪とは、時が解決してくれるような、そんな甘いものではないのです。
そうそう、「鞭も上手い」と「鞭も美味い」などと誤解なさったご令嬢たちは、領邸に住む幼い弟妹と机を並べて、いちから言葉のお勉強中ですわ。
そのまま14歳下の子たちと学園に入学、卒業されるころには30歳になるかどうかです。
それから社交界デビューして婚約者探し。
…………後妻枠で嫁ぎ先が見つかれば良いですね。
法律で13歳差以上の方とは結婚できません。
ご令嬢たちは同級生の子息と婚約はできず。
一度問題を起こして、罰として『人生やり直しプログラミング』を受けたのです。
卒業して罪を償い終わったからと言って、一度ついた罪状は消えません。
正常な思考の親であれば、そんな令嬢を息子の初婚相手に選ぶはずがありません。
13歳差の後妻枠でも、結婚の際には〈子成らずの実〉を含まされて継承問題は起きないようにされます。
娼婦や男娼も同じ実を口にしていることから見ても、どんな立場か分かるでしょう?
生き恥を晒す、という罰ですもの。
一生かけて償ってくださいな。
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