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第4部 グランダ魔道学院対抗戦
第102話 最終戦
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グランダの国民たちは、物見高い各国からの観戦客は多いにこの出し物を楽しんだ。
ここまで、なんと魔道院の3勝2敗。
毎回もらえる豪華なパンフレットは、総天然色だ。この印刷技術だけとっても、国もとに帰れば周りに自慢出来ることは間違いなし。
付録のポスターは、有料で追加増刷された。
「印刷物」としてはとんでもない値段であったが、飛ぶように売れている。
購入できるのは来場者だけだったから、またまた入場券は、法外な値段に釣り上がったが、横流しするものはほとんどいなかった。
何が何でも入場して、ポスターを買い漁り、転売した方が、儲かることは目に見えていたからだ。
「さあ、みなさん。いよいよこの日がやってまいりました!」
ウィルニアの語り口は本日も軽妙と思われたが、今日、マイクを握ったのは、ルト、だった。
「講師陣が主体の魔道院チーム、正直、はじまるまでは圧倒的に有利かとも思われたのですが、ランゴバルド冒険者学校が意外に検討している、そんな見方も出来るのではないでしょうか。
そして迎えた最終戦。
なんと、両校の校長が自ら、登場です。
ここで、勝って、星を5分に戻して、来年に繋ぎたい
(え、ちょっとまってこれ毎年やるの?)
えーっと、来年に繋げたいランゴバルド冒険者学校。
最終戦のゲストはこの方々、第一戦で活躍した“銀雷の魔女”ドロシー・ハート選手!」
細身の少女は立ち上がり、おずおずと周りに手を振った。
返ってきた歓声は、闘技場を揺るがせた。
ドロシーは、びっくりしたように立ち尽くした。
彼女はほとんどの期間、入院中でパンフレットのことも彼女が、ポスターとしてあられもない格好で登場させられていたこともロクに知らなかったので、市中での彼女の人気がとんでもないことになっていたのは、まったく気がついていなかったのである。
「第二戦で、熱い戦いを見せてくれた、エミリア選手! リア選手!」
ロリバと健康美溢れる美女は、立ち上がって手を振る。
ポスター登場は、リアが一回。
前をはだけた入院着のドロシーを、全裸のリアが後ろから抱き締めるという、けっこう踏み込んだもので、露出度としては、それほどではないものの、いろいろ想像をかき立てるという理由で未成年は閲覧禁止が、のちに発表された。
エミリアは、ポスターへの登場は全力で断っている。なにが楽しくて盗賊団の副頭目が顔を印刷物に顔を晒さねばならないのか。
「そして第四戦で圧倒的な勝利をもぎ取ったヨウィス選手。」
フードのしたで、ヨウィスは、うぃ、と呟き、片手をちょっとだけ振った。
「以上が、実は一応両校に“生徒”として間違いなく在籍してたメンバーです。どうも開催までの準備期間が短いためか、教師はまだしも、部外者らしき者も参加があった様子!
こう言ったところは改善してほしいものです。」
「そして、もうひとつ、これはグランダのみなさんにはうれしいお知らせかもしれません。
“銀雷の魔女”ドロシーの魔道院への留学が決定しております。」
再び、大歓声。
「第一戦の相手、ジウル選手への弟子入りということで、魔道と体術の融合を研鑽するそうです。街で見かけたら応援をよろしくお願いします。」
これで、ボルテックとドロシーが出来てしまったら、結構なスキャンダルになる。
すぐに弟子に手を出す師匠と、それをやすやすと受け入れる弟子。
“二人の特訓は夜も続くのか! 銀雷の魔女と暴虐拳士がお泊り試合!”
脳裏に新聞の見出しまで浮かんで、ルトは内心ニヤッとした。止めて止まるものではないなら、構わない。
構わないけど、塩を贈る気もない。
ヤレるものならヤッてみろ。
「さて、ここで第六戦の内容について解説が必要ですね。
ヨウィスさん、なんと最終戦はゲームで行われるそうですが?」
「グリムド、という。もともとは古竜たちが作ったゲームだ。」
ヨウィスはすらすらと答えた。凄腕の冒険者にして真面目な学生なのだ、彼女は。
「膨大な魔力を消費し続けることになるため、通常の人間の術者にはゲーム自体が維持できない。
まあ、うちの学院長は、ウィルニアなのでなんの問題もない。」
「ルールス先生も魔力量は充分です。対戦経験もあるそうです。
さて、巷ではこのグリムド、呪われたゲームとして知られてるそうですが。」
「呪われてるわけでは、ない。」
ヨウィスは淡々と言った。
「ただ、対戦中に両者以外のプレーヤーが現れる。第三勢力『グリムト』。ゲームの名前になったモノだ。
設定はまったくのランダム。二人のプレーヤーが共同して当たらねば相手にならぬほど強いこともあれば、まったく問題にならないこともある。やたらに好戦的なことも、もっぱら守勢まわるときも。
それが、ゲームそのものが創り出した魔道知性体なのか、実際にどこからの世界からの知的生命体を召喚しているのかは不明。」
「しかし、それにしてもゲームですよね。チャトランガやチェス、軍儀に似た。
対抗戦の最終戦にふさわしいものでしょうか?」
「うむ。」
ヨウィスは満足そうに頷いた。
「そこは、ウィルニアだけあって、演出のほうに力をいれるから。」
世界が反転した。
闘技場は、消え失せ、客席は漆黒の空中にうかんでいる。
見渡すかぎりの空間は、戦場に塗り替えられ、対立する者たちは、それぞれ、リクライニングチェアに腰掛けて、互いを見つめていた。
白いトーガのウィルニア。
傍らにネイアを従え、魔導師の黒いマントを羽織ったルールス分校長。
「試合! 開始!」
ここまで、なんと魔道院の3勝2敗。
毎回もらえる豪華なパンフレットは、総天然色だ。この印刷技術だけとっても、国もとに帰れば周りに自慢出来ることは間違いなし。
付録のポスターは、有料で追加増刷された。
「印刷物」としてはとんでもない値段であったが、飛ぶように売れている。
購入できるのは来場者だけだったから、またまた入場券は、法外な値段に釣り上がったが、横流しするものはほとんどいなかった。
何が何でも入場して、ポスターを買い漁り、転売した方が、儲かることは目に見えていたからだ。
「さあ、みなさん。いよいよこの日がやってまいりました!」
ウィルニアの語り口は本日も軽妙と思われたが、今日、マイクを握ったのは、ルト、だった。
「講師陣が主体の魔道院チーム、正直、はじまるまでは圧倒的に有利かとも思われたのですが、ランゴバルド冒険者学校が意外に検討している、そんな見方も出来るのではないでしょうか。
そして迎えた最終戦。
なんと、両校の校長が自ら、登場です。
ここで、勝って、星を5分に戻して、来年に繋ぎたい
(え、ちょっとまってこれ毎年やるの?)
えーっと、来年に繋げたいランゴバルド冒険者学校。
最終戦のゲストはこの方々、第一戦で活躍した“銀雷の魔女”ドロシー・ハート選手!」
細身の少女は立ち上がり、おずおずと周りに手を振った。
返ってきた歓声は、闘技場を揺るがせた。
ドロシーは、びっくりしたように立ち尽くした。
彼女はほとんどの期間、入院中でパンフレットのことも彼女が、ポスターとしてあられもない格好で登場させられていたこともロクに知らなかったので、市中での彼女の人気がとんでもないことになっていたのは、まったく気がついていなかったのである。
「第二戦で、熱い戦いを見せてくれた、エミリア選手! リア選手!」
ロリバと健康美溢れる美女は、立ち上がって手を振る。
ポスター登場は、リアが一回。
前をはだけた入院着のドロシーを、全裸のリアが後ろから抱き締めるという、けっこう踏み込んだもので、露出度としては、それほどではないものの、いろいろ想像をかき立てるという理由で未成年は閲覧禁止が、のちに発表された。
エミリアは、ポスターへの登場は全力で断っている。なにが楽しくて盗賊団の副頭目が顔を印刷物に顔を晒さねばならないのか。
「そして第四戦で圧倒的な勝利をもぎ取ったヨウィス選手。」
フードのしたで、ヨウィスは、うぃ、と呟き、片手をちょっとだけ振った。
「以上が、実は一応両校に“生徒”として間違いなく在籍してたメンバーです。どうも開催までの準備期間が短いためか、教師はまだしも、部外者らしき者も参加があった様子!
こう言ったところは改善してほしいものです。」
「そして、もうひとつ、これはグランダのみなさんにはうれしいお知らせかもしれません。
“銀雷の魔女”ドロシーの魔道院への留学が決定しております。」
再び、大歓声。
「第一戦の相手、ジウル選手への弟子入りということで、魔道と体術の融合を研鑽するそうです。街で見かけたら応援をよろしくお願いします。」
これで、ボルテックとドロシーが出来てしまったら、結構なスキャンダルになる。
すぐに弟子に手を出す師匠と、それをやすやすと受け入れる弟子。
“二人の特訓は夜も続くのか! 銀雷の魔女と暴虐拳士がお泊り試合!”
脳裏に新聞の見出しまで浮かんで、ルトは内心ニヤッとした。止めて止まるものではないなら、構わない。
構わないけど、塩を贈る気もない。
ヤレるものならヤッてみろ。
「さて、ここで第六戦の内容について解説が必要ですね。
ヨウィスさん、なんと最終戦はゲームで行われるそうですが?」
「グリムド、という。もともとは古竜たちが作ったゲームだ。」
ヨウィスはすらすらと答えた。凄腕の冒険者にして真面目な学生なのだ、彼女は。
「膨大な魔力を消費し続けることになるため、通常の人間の術者にはゲーム自体が維持できない。
まあ、うちの学院長は、ウィルニアなのでなんの問題もない。」
「ルールス先生も魔力量は充分です。対戦経験もあるそうです。
さて、巷ではこのグリムド、呪われたゲームとして知られてるそうですが。」
「呪われてるわけでは、ない。」
ヨウィスは淡々と言った。
「ただ、対戦中に両者以外のプレーヤーが現れる。第三勢力『グリムト』。ゲームの名前になったモノだ。
設定はまったくのランダム。二人のプレーヤーが共同して当たらねば相手にならぬほど強いこともあれば、まったく問題にならないこともある。やたらに好戦的なことも、もっぱら守勢まわるときも。
それが、ゲームそのものが創り出した魔道知性体なのか、実際にどこからの世界からの知的生命体を召喚しているのかは不明。」
「しかし、それにしてもゲームですよね。チャトランガやチェス、軍儀に似た。
対抗戦の最終戦にふさわしいものでしょうか?」
「うむ。」
ヨウィスは満足そうに頷いた。
「そこは、ウィルニアだけあって、演出のほうに力をいれるから。」
世界が反転した。
闘技場は、消え失せ、客席は漆黒の空中にうかんでいる。
見渡すかぎりの空間は、戦場に塗り替えられ、対立する者たちは、それぞれ、リクライニングチェアに腰掛けて、互いを見つめていた。
白いトーガのウィルニア。
傍らにネイアを従え、魔導師の黒いマントを羽織ったルールス分校長。
「試合! 開始!」
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