アルファ王子に嫌われるための十の方法

小池 月

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Ⅹ 辿り着いた幸せ

④※

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「ゆっくり、舐めて。すごくドキドキするね。発情期じゃないセックスって恥ずかしさもあっていいね」
全然そんなことを思っていないであろうカロール殿下に文句を言いたくなる。恥ずかしいのはリンだ。

リンはカロール殿下の上に覆い被さり殿下の顔の上に秘所をさらけ出している。リンの目の前にはカロール殿下の隆々と起ちあがった男根。互いに舐めよう、と嬉しそうに提案する殿下を断ることは出来なかった。でもこれは恥ずかしくて逃げたくなる。
「舐めるって、どこを、でしょう?」
恐る恐る聞いてみる。

「ん? じゃ、俺のまねして」
『はい?』と聞き返す前にリンの男根に強烈な刺激。

「はぅ! あぁ! カロール、殿下!」
「可愛い起立だ。ちゃんと嬉しそうに滴を垂らして。ビクビクと元気だね」
舌でレロレロと舐めながら話すから刺激が強くてたまらない。

「分か、分かりました! やりますから」
腰が揺れそうになり逃げの姿勢をとってしまう。そうしながら必死でリンは目の前の男根に舌を伸ばした。独特の固さに心臓がゾクゾクする。下腹部が、リンの身体の奥がキュンキュンして身体がびくつく。

「こら。どこ行くのかな? じゃ、リンのこっちを愛そうかな」
腰がすこし逃げたせいでリンの後腔に手を伸ばしやすくなったのだろう。カロール殿下がリンの後腔を指でトントンつつく。その刺激にリンの背中がビクリとしなる。

「ヒクヒクして可愛い。こんなにじっくり眺められて幸せだ。リンは俺のを舐めていてね」
「あい」
舐めながら答えて変な返事をしてしまった。恥ずかしすぎる。でもカロール殿下の男根がビクビクして気持ちよくなっているのが分かるから、舌を止められない。

そのうちにカロール殿下がリンの後腔を優しく押す。その刺激に入り口が動いてしまう。感覚がリアルだ。恥ずかしくて逃げようとするが、内腔に指がズブリと入ってくる。
「んぅ!」
期待していた気持ちよさに足が震える。

「温かい。発情期ではないが濡れているね。ちゃんと感じている。嬉しい」
カロール殿下の男根がグンと力を持ち張り詰めてくる。その様子を間近に見てリンがゴクリと唾をのむ。これがリンに入るのだ。心臓が期待して速く動く。リンは欲望のままに殿下の鈴口にキスをした。カロール殿下の「あっ」という声がリンの脳に蕩けるように染み入る。

「やっぱり交代だ」
カロール殿下と身体を入れ替えられる。リンがベッドに寝かせられてカロール殿下が覆い被さる。殿下がリンに微笑んでキスをする。キスをしながらカロール様の大きな手のひらがリンの肌を撫で回す。その感覚にフハっとリンが笑う。
「くすぐったいです」
「すこし我慢。リンの肌を味わいたいから」
そう言いながらカロール殿下がまたリンの中に指を入れる。

ヌチヌチと鳴る後腔の音が耳につく。そうしながらリンの胸の飾りをグリグリといじる。そうされると乳首が固くなるのが自分でも分かった。ぞわぞわと気持ちよさがリンを襲う。

だんだん全身がしびれて考えが追いつかなくなる。「あぁ、やぁ」「あぅ!」と恥ずかしい声が漏れていく。突き上げる腰の動きが止められない。前を触りたくて自分で手を伸ばした。

リンに入る指が数本になっていて内腔を探るように動く。その動きが気持ちよすぎてリンの腰がカクカクする。自慰をするように自分の男根をいじると「可愛い。見せて」と声がする。快感を追っていたリンが声の方に意識を向けると、頬を染めて微笑むカロール殿下が目に映る。発情期じゃないからラットの顔ではない。優しい顔が嬉しくてリンも微笑み返す。途端にリンの中に入っていた指が前立腺を強く擦る。

「やぁぁ! で、出るぅ!」
我慢できず射精する。本日二回目の射精に疲れ切って身体の力が抜ける。荒い息を繰り返してぐったりしたリンの腰をカロール殿下に抱えられる。

「ゆっくり挿入るけど、苦しかったら止めるから」

後腔に当たる熱い塊。リンの身体はこの後の快感を覚えている。期待でリンの背がゾクゾクする。それと同時に後腔が無意識にパクパクとする。カロール殿下の男根にチュウチュウ吸い付いているようで恥ずかしくなる。焦らさずに早く入って欲しい。
「ここが俺にキスしているみたいだ。本当に可愛い」
そう言いながらカロール殿下がグッと腰を進める。

「あぅ! あぁ~~」
身体の中に侵入される独特の圧迫にリンの声が上がる。気持ち良さが勝るまでの少しの苦しい時間。

「大丈夫? リン?」
「うぅ、はい、大丈夫、です」
大丈夫とは言ったが、実際は苦しい。

発情期ほど快感だけが勝る状況ではない。喘ぐように呼吸を繰り返すと涙がジワリと滲む。リンの状況が分かるのか、カロール殿下は動かずにいる。腰を動かさずに密着していると、リンの中のカロール殿下がビクリビクリと震えている様子がリアルに内腔に伝わってくる。

カロール殿下が「温かい締め付けが気持ちいい。リンの中がひらいていくのが分かる」と呟く。その言葉に、リンが内腔で感じているように、カロール殿下が逞しい男根でリンの中を感じているのが分かり、背筋がゾクゾクする。リンだけじゃない。カロール殿下も、リンに酔っている。そう考えると途端にお腹の奥がキュンキュンとうごめく。

たまらずにリンは腰を動かし「んぅっ」と声を漏らした。繋がっている後腔が先ほどよりヌメヌメと湿っているのが自分で分かる。気持ち良くて恥ずかしくて心臓がドクドク高鳴る。

「ゆっくり動くよ」
カロール殿下の言葉を合図に、身体に入り込んだ存在感のあるものがズンズンと出入りする。

内壁を擦られる独特の刺激に「あぁ! あぅ!」と声が上がる。その内に奥まで突き上げられて快感に脳が溶けそうになる。全身が勝手にビクビクして涙と嬌声が漏れていく。リンの男根からもプシャプシャと何かが漏れている。
「あぁ、最高に気持ちがいい。リン、大好きだ」
カロール殿下の言葉が耳に入る。

殿下を見れば幸せそうな顔。リンだって幸せだ。微笑みながらカロール殿下を抱き締めた。



「リン、大丈夫?」
互いの存在を慈しむようにセックスをして、ベッドの上で裸のまま寄り添っている。意識を飛ばすようなことは無かった。ただ愛を感じ合う優しいセックスだった。まだ身体の中の熱が引かずに心臓がトクトクと幸せに鳴っている。

「ん、はい。えっと、意識がハッキリあるって、照れますね」
「発情期じゃなくても愛し合うっていいな」
「そうですね。時々は、いいのかも」

「おいおい。そんなに可愛いこと言うと、もう一回したくなる」
「そ、それは僕の体力的に無理です!」
さすがに焦ってリンはカロール殿下から離れようとするが、すぐに抱き締め直される。

「そうだった。病み上がりだった」
あはは、と笑うカロール殿下の振動が直接伝わってくる。リンもつられて笑う。笑いながら軽くキスをする。裸で密着したままのソフトキス。先ほどから何度も会話して笑って、キスを繰り返している。温かくて幸せな時間だ。

「さ、そろそろ風呂に入るか」
「そうですね」
一緒に果実水を飲んでから浴室に向かうためにベッドから降りる。

軽く身体を拭いてくれてあるが、リンの後腔からトロリと漏れる液体。恥ずかしくて足を進められずに動きを止めると、カロール殿下に抱き上げられる。

「発情期じゃないから妊娠しないが、中に出してしまった。ごめん」
リンは恥ずかしくて顔を上げられずコクリと頷いた。

「なぁ、リン。結婚前に、その、うなじを噛んでも、良いだろうか?」

小さな自信がなさそうな声がリンに降ってくる。リンは驚いてカロール殿下を見上げた。殿下は真っ赤な顔で前を見ている。汗でも流れそうな殿下の様子にリンはクスリと笑う。

「はい。もちろんです」

答えるとリンを抱き上げているカロール殿下の腕がギュッと強まる。まるでカロール殿下の身体の中に閉じ込められそうな抱擁。

「ありがとう。俺はこの国の王になるし、迷惑をかけるかもしれない。でも、全身全霊をかけてリンを幸せにする」

「はい。僕もカロール殿下を幸せにします。僕がいつもカロール殿下を受け止めます。だから前を向いて、胸を張って生きてください」

「……さすが、リンだ」
愛しむような優しい声が聞こえた。

 二人で微笑み合って温かい湯船に入った。心の芯まで満たされる、幸せな温かさだった。リンはカロール殿下のために生きて行こうと心に決めた。幸せに、涙が流れた。





「リン! 久しぶりだね」
「セレス! すごいね。とうとう、この日が来たね。おめでとう!」

ザザ国のアール・スモール城でリンはセレスに再会している。出会うと気持ちが上ってリンとセレスは抱きしめ合ってしまう。間近で互いの顔を見て微笑み合う。オメガのリンから見てもセレスはオメガの中の最高峰だと思う。

「ぎゃぁぁ! 久しぶりの萌えだぁ!」
懐かしい絶叫とともに鼻の下が伸びた顔のドーラ殿下。はぁはぁと鼻息が聞こえそうな顔を見ると、さすがにリンは苦笑いしてしまった。

「ドーラ、相変わらずだな」
笑いを噛みしめてカロール殿下がドーラ殿下に声をかける。

「カロール、お前など視界に入れたくない。せっかくの可愛い天使たちの逢瀬なのだ」
「あぁ、こっちも同感だ。でかいお前がウロチョロするな。ハッキリ言って、邪魔だ!」

久しぶりの再会だというのに言い合いを始める二人の殿下。懐かしい光景にリンとセレスは肩を寄せ合って笑った。リンとセレスの首には金の首保護帯が輝いている。

 半年前、ドーラ殿下はアローラ国訪問でセレスに求婚した。そして、そのままセレスを婚約者としてザザ国に連れ帰ってしまった。あまりにドラマティックな出来事に新聞や情報誌が「究極のシンデレラストーリー」とか「アローラ国とザザ国を繋ぐ平和の天使」と騒いで、国中がセレスで溢れていた。ニッゼン家は時の人になってしまい、領地観光が増えて大変そうだ。

そしてドーラ殿下とセレスの結婚式にカロール殿下とリンが国賓として招待されている。結婚式は三週間後なのだが、ザザ国視察も含めて式前旅行を一緒にしよう、とドーラ殿下からお誘いが来たのだ。

「冬にゴメンね」
可愛いセレスの言葉にリンはニッコリ微笑み返す。
「ううん。春に結婚式するのかと思っていた。でも年始めに合わせて、なのかな? それもおめでたいよね」

「違うんだ。実は、出来ちゃって」
セレスが頬を染めながらお腹をさする。

「はぁぁぁ?」
ついリンが絶叫してしまった。

「そうだろう。リン、驚いたか! 俺とセレスの子だ」
超ドヤ顔でドーラ殿下がふんぞり返る。

「はぁぁ? え? だって、もう番になったのですか?」
リンの質問にセレスがそっとうなじを見せる。金の保護帯の下にくっきりと噛み跡。番の印だ。

「ドーラ、いつの間に」
カロール殿下が呆れている。

「だってさ、春まで待てなくて。こんなに愛らしいセレスだよ? 噛まないでいられるかよ!」
「そりゃ、気持ちは分かるが、な」
うんうんとカロール殿下が納得顔をすればドーラ殿下も賛同する。

そんな二人は放っておいてリンはセレスに向き合う。
「今は妊娠初期? 寒いだろ? 婚前旅行など大丈夫?」
セレスをソファーに誘導して座らせる。

「うん。それが、ザザ国の医療ってスゴイんだよ。妊娠の悪阻除去の薬剤があって、それをもらっているよ。これが効くんだ。それに動けるうちにリン達と会いたくて。激しく動くのは無理だけど、普通に過ごせるよ」
えへへ、とセレスが笑う。

「そっか。体調が良くて安心したよ。セレス、おめでとう。番に結婚に子供か。スゴイな。幸せが沢山だ」
「そうだね。オメガって辛いこともあるけどさ、良い事もあるね」
リンはセレスの隣に座って手を握る。

「うん。セレスの言う通りだ。自分のアルファに愛される幸せも、愛する幸せもいいよね。僕はオメガで良かったと思えるよ」
リンの言葉にセレスがコクリと頷く。
「そうだね。そして、僕はリンと出会えて良かった。リンと親友で良かった」
「セレス……」
感極まってリンとセレスが涙を流した。そっと互いの涙を拭いた時。

「うぉぉ! 神さま、ありがとう!」
「本当に! 心から感謝する! 久々の神回だ!」

来るだろうと思っていた通りの反応。セレスとリンは声を出して笑った。ドーラ殿下とカロール殿下も楽しそうに騒いでいる。

 リンは神様に願った。
ーーどうかこの幸せが、ずっとずっと続きますように。  

  〈完〉
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