42 / 53
Ⅴ リバウンド対策☆
⑥
しおりを挟む
翌日から理香子は毎日放課後に残って文化祭の準備に参加するようになった。クラスの皆で楽しくできる事を喜びたいのに、凛太朗の胸の内はモヤモヤが積み重なった。
「あ、あたしも看板手伝お」
酒井たち男子が作業している作業に理香子が加わろうとする。凛太朗は気になってしまい、それを横目に見た。
「お、いいよ」
軽く返事をする男子にムカッとした。断わらなきゃだめだろ、と思った。
「いや、理香子さんは止めといて。こっちはペンキとか扱うし、スカートで作業してほしくないから」
ズバッと断る酒井の声に凛太朗は胸がスッとした。
(さっすが僕の酒井だ! 最高!)
心の中で叫んだ。これで理香子は諦めるだろう。
「じゃ、ジャージに着替えるね。それならいい?」
食い下がる理香子に凛太朗は(はぁぁあ?)と心で絶叫した。
「だめ。邪魔になる」
冷静な酒井の言葉に凛太朗は心でガッツポーズをした。
「おい、酒井。さすがにそれは酷いだろ。理香子さん、一緒にやろうぜ」
周りの男子がフォローして、結局理香子は看板作成に参加した。
酒井はそれ以上は無言だった。だけど凛太朗は理香子の笑いが聞こえるたびにイライラして、自分の作業が手に付かなくなってしまった。別に理香子は意地悪をしているわけではないのに、彼女の行動にムカついてばかりの自分が嫌になってしまった。
作業途中の制作物をロッカーの上に片づけて今日の作業が終了した。続きは明日だ。
「凛太朗、帰ろ」
酒井の声に凛太朗は頷いた。
「おぉ。疲れたぁ」
「二人って、ほんと仲良しだね」
急に理香子が会話に割って入った。
「もしも、どっちかに彼女とかできたら、どうするの? あ、風見君どんな子がタイプ? 紹介しよっか」
凛太朗はギョッと驚いた。彼女とか考えたことが無かった。焦って拒否をしようとしたが。
ガン、と酒井が椅子を蹴った。
「ざけんな」
低い声を酒井が出した。酒井に手を引かれて凛太朗は教室を後にした。理香子は付いて来なかった。
「酒井? 大丈夫、か?」
恐る恐る聞いた。酒井の背中が怒りに満ちている。
「……ん。ごめん。あ――、ウザすぎて怒れた」
深呼吸して振り返った酒井は困ったように笑った。そんな酒井を見て凛太朗は安心した。自分だけが理香子にイラついていたのではないと思えた。
「うん。積極的過ぎて、陽キャのパワーに負けるよな」
「それだよ。俺たちはもともと教室の隅でひっそり生きていたいタイプじゃんか。あの積極性は慣れん」
そりゃそうだと笑い合った。
「じゃ、ご褒美に今日は特別、アイス食べていく? シャーベット系にすればカロリーダウンだから」
「え? まじ? 久しぶりのアイスかも。心の準備が」
ワザとらしく胸を押さえる酒井のポーズが面白かった。
「そういえば、体育祭の頃はダイエット停滞期だったよな。今は?」
「あぁ、体育祭が終わって、凛太朗の食事再開から減ったんだ。やっぱし凛太朗ごはんが最強ってことだな」
「ばぁか。でも、減り始めたなら良かった。停滞期ってキツイってネットでも出てたし」
「ん。なんか、あの時は色々辛い事だらけだった。でも、凛太朗もだよな」
酒井が軽く言ってくれるから凛太朗も重くならずに話せた。
「あん時さ、僕放課後に教室でパニックになったとき。あの時、けっこう責められたんだ。僕の不甲斐なさを実感したというか」
酒井は真剣な顔で聞いてくれた。
「で、その相手が理香子さんたちなんだけど。こないだ、買い出しの時に、謝ってきたんだ」
「ふうん」
「酒井が怒鳴って怒ってくれたんだろ?」
「は? そこまで言ったのかよ。ま、あの時に凛太朗に何かあったのは一目瞭然だったし。廊下であいつらにすれ違ったし」
「そっか。ありがとな」
「いや、それしか出来てない。スーパーマンみたいに助けたいのに、全然だめで、ごめん」
「あはは。スーパーマンか」
表現が可愛らしくて笑えた。凛太朗にじんわり温かさが満ちる。酒井の気持に触れると、いつもこんな風に満たされる。
「僕にとって、酒井はいつもスーパーマンだ」
温かい気持ちのまま酒井に微笑みかけた。
酒井は頬を染めてニッコリ微笑み返してくれた。そんな酒井を見ると幸せが湧きあがる。
今日のイライラが全て流れ去るようだった。
「あ、あたしも看板手伝お」
酒井たち男子が作業している作業に理香子が加わろうとする。凛太朗は気になってしまい、それを横目に見た。
「お、いいよ」
軽く返事をする男子にムカッとした。断わらなきゃだめだろ、と思った。
「いや、理香子さんは止めといて。こっちはペンキとか扱うし、スカートで作業してほしくないから」
ズバッと断る酒井の声に凛太朗は胸がスッとした。
(さっすが僕の酒井だ! 最高!)
心の中で叫んだ。これで理香子は諦めるだろう。
「じゃ、ジャージに着替えるね。それならいい?」
食い下がる理香子に凛太朗は(はぁぁあ?)と心で絶叫した。
「だめ。邪魔になる」
冷静な酒井の言葉に凛太朗は心でガッツポーズをした。
「おい、酒井。さすがにそれは酷いだろ。理香子さん、一緒にやろうぜ」
周りの男子がフォローして、結局理香子は看板作成に参加した。
酒井はそれ以上は無言だった。だけど凛太朗は理香子の笑いが聞こえるたびにイライラして、自分の作業が手に付かなくなってしまった。別に理香子は意地悪をしているわけではないのに、彼女の行動にムカついてばかりの自分が嫌になってしまった。
作業途中の制作物をロッカーの上に片づけて今日の作業が終了した。続きは明日だ。
「凛太朗、帰ろ」
酒井の声に凛太朗は頷いた。
「おぉ。疲れたぁ」
「二人って、ほんと仲良しだね」
急に理香子が会話に割って入った。
「もしも、どっちかに彼女とかできたら、どうするの? あ、風見君どんな子がタイプ? 紹介しよっか」
凛太朗はギョッと驚いた。彼女とか考えたことが無かった。焦って拒否をしようとしたが。
ガン、と酒井が椅子を蹴った。
「ざけんな」
低い声を酒井が出した。酒井に手を引かれて凛太朗は教室を後にした。理香子は付いて来なかった。
「酒井? 大丈夫、か?」
恐る恐る聞いた。酒井の背中が怒りに満ちている。
「……ん。ごめん。あ――、ウザすぎて怒れた」
深呼吸して振り返った酒井は困ったように笑った。そんな酒井を見て凛太朗は安心した。自分だけが理香子にイラついていたのではないと思えた。
「うん。積極的過ぎて、陽キャのパワーに負けるよな」
「それだよ。俺たちはもともと教室の隅でひっそり生きていたいタイプじゃんか。あの積極性は慣れん」
そりゃそうだと笑い合った。
「じゃ、ご褒美に今日は特別、アイス食べていく? シャーベット系にすればカロリーダウンだから」
「え? まじ? 久しぶりのアイスかも。心の準備が」
ワザとらしく胸を押さえる酒井のポーズが面白かった。
「そういえば、体育祭の頃はダイエット停滞期だったよな。今は?」
「あぁ、体育祭が終わって、凛太朗の食事再開から減ったんだ。やっぱし凛太朗ごはんが最強ってことだな」
「ばぁか。でも、減り始めたなら良かった。停滞期ってキツイってネットでも出てたし」
「ん。なんか、あの時は色々辛い事だらけだった。でも、凛太朗もだよな」
酒井が軽く言ってくれるから凛太朗も重くならずに話せた。
「あん時さ、僕放課後に教室でパニックになったとき。あの時、けっこう責められたんだ。僕の不甲斐なさを実感したというか」
酒井は真剣な顔で聞いてくれた。
「で、その相手が理香子さんたちなんだけど。こないだ、買い出しの時に、謝ってきたんだ」
「ふうん」
「酒井が怒鳴って怒ってくれたんだろ?」
「は? そこまで言ったのかよ。ま、あの時に凛太朗に何かあったのは一目瞭然だったし。廊下であいつらにすれ違ったし」
「そっか。ありがとな」
「いや、それしか出来てない。スーパーマンみたいに助けたいのに、全然だめで、ごめん」
「あはは。スーパーマンか」
表現が可愛らしくて笑えた。凛太朗にじんわり温かさが満ちる。酒井の気持に触れると、いつもこんな風に満たされる。
「僕にとって、酒井はいつもスーパーマンだ」
温かい気持ちのまま酒井に微笑みかけた。
酒井は頬を染めてニッコリ微笑み返してくれた。そんな酒井を見ると幸せが湧きあがる。
今日のイライラが全て流れ去るようだった。
113
あなたにおすすめの小説
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。
陽七 葵
BL
主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。
しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。
蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。
だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。
そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。
そこから物語は始まるのだが——。
実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。
素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる