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妻、啖呵を切る
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「ま、待ってくれ!なんで俺が侯爵家を出て行く話になっているんだっ!俺は君とっ」
「ちょっ、今のどう言うこと?!」
やっと頭が機能したんかと、呆れてため息を吐き、ネイサンに「ちょっと黙っとき」と縋り付く手を鬱陶しい気持ちのままペイっと剥がして押し退けた。
「どうもこうもない。ネイサンの父があんたとの結婚を認めない限り、あんたと結婚するには貴族を捨てるしかない。
近衛騎士は貴族のみと決められとる。貴族やめるなら、お仕事もパァや。そんで侯爵家名義の家も返さなあかん。他人のもんやから当たり前やろ。
そんでもこの人が居たら他はなーんも要らんっちゅーなら、熨斗つけてあげる。どぉぞ?」
やって貰って当たり前生活のボンボンが、一般兵か騎士になれても下積みで実績積み上げてやっとなれても下級から。
アリーシャにも内職とかやって、なんとか慎ましく暮らせるかと言うところ。覚悟があれば出来なくはない。
「なんで……そんな…………」
呆然と青褪めた顔を、フルフルと小さく横に振りながら呟くように言うアリーシャ。どうやらそこまで手放さなければならない事に、気づいていなかったらしい。
「“愛”……があるんでしたっけ?どぉーぞ、持って帰ったら?」
「待ってくれ!俺は!!」
「あんたもあんたや。『一生愛する事はない』って言うてたんちゃいますの?言いましたよね『別に要りませんけど』って。なんもかんも捨てられん、風見鶏も真っ青なお軽い“愛”を振りかざせば免罪符になると思ってんのかいな?……ッハ、ありえんわ。
あっちに行くにせよ、ここに居続けるにせよ、きっちり誠意見せぇ!
分かったら2度と私や侯爵家を下らんことに巻き込むなや!分かったかぁ?!」
「は、はひっ」
「……宜しい」
ネイサンはピシッと姿勢良く直立すると、何故か顔を赤らめ騎士礼を示して硬直した。
私は今度こそ踵を返して、侍女長へと手を差し出し、元いた仕事部屋へと足を進めた。
「若奥様、あまり興奮されるとお腹のお子に障ります……」
困った顔した侍女長は、優しく手を引きながらそう小声で嗜めた。
「もう安定期とは言え、無理し過ぎていたのかも。仕事に戻る前にお茶をお願いできる?ちょっと休息を取るわ」
侍女長は優しく微笑んで、「ハーブティーをお持ちしますね」と答えてくれた。
侍女長の特製ブレンド、好きなのよ。
「ちょっ、今のどう言うこと?!」
やっと頭が機能したんかと、呆れてため息を吐き、ネイサンに「ちょっと黙っとき」と縋り付く手を鬱陶しい気持ちのままペイっと剥がして押し退けた。
「どうもこうもない。ネイサンの父があんたとの結婚を認めない限り、あんたと結婚するには貴族を捨てるしかない。
近衛騎士は貴族のみと決められとる。貴族やめるなら、お仕事もパァや。そんで侯爵家名義の家も返さなあかん。他人のもんやから当たり前やろ。
そんでもこの人が居たら他はなーんも要らんっちゅーなら、熨斗つけてあげる。どぉぞ?」
やって貰って当たり前生活のボンボンが、一般兵か騎士になれても下積みで実績積み上げてやっとなれても下級から。
アリーシャにも内職とかやって、なんとか慎ましく暮らせるかと言うところ。覚悟があれば出来なくはない。
「なんで……そんな…………」
呆然と青褪めた顔を、フルフルと小さく横に振りながら呟くように言うアリーシャ。どうやらそこまで手放さなければならない事に、気づいていなかったらしい。
「“愛”……があるんでしたっけ?どぉーぞ、持って帰ったら?」
「待ってくれ!俺は!!」
「あんたもあんたや。『一生愛する事はない』って言うてたんちゃいますの?言いましたよね『別に要りませんけど』って。なんもかんも捨てられん、風見鶏も真っ青なお軽い“愛”を振りかざせば免罪符になると思ってんのかいな?……ッハ、ありえんわ。
あっちに行くにせよ、ここに居続けるにせよ、きっちり誠意見せぇ!
分かったら2度と私や侯爵家を下らんことに巻き込むなや!分かったかぁ?!」
「は、はひっ」
「……宜しい」
ネイサンはピシッと姿勢良く直立すると、何故か顔を赤らめ騎士礼を示して硬直した。
私は今度こそ踵を返して、侍女長へと手を差し出し、元いた仕事部屋へと足を進めた。
「若奥様、あまり興奮されるとお腹のお子に障ります……」
困った顔した侍女長は、優しく手を引きながらそう小声で嗜めた。
「もう安定期とは言え、無理し過ぎていたのかも。仕事に戻る前にお茶をお願いできる?ちょっと休息を取るわ」
侍女長は優しく微笑んで、「ハーブティーをお持ちしますね」と答えてくれた。
侍女長の特製ブレンド、好きなのよ。
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