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三章 愛しい人との別れ
愛しい人との別れ 4
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ぼくを抱きしめてヴィンセントは横に跳ねた。次の瞬間、ぼくたちのいた場所に魔弾が当り、その場が焦げついた。
突然のことに驚いて、ぼくは硬直してしまう。
魔弾の軌跡をたどると、手を前にかざした、緑のローブの人物が立っていた。顔はフードに隠れて見えない。
「ここで問題を起こす者は即刻退去だぞ」
ヴィンセントが忠告する。
「うるさい! 倒したいヤツが目の前にいて、黙っていられるか!」
「おまえは……」
ヴィンセントが驚いたように息をのむ。
再び魔弾が飛んできた。周囲から悲鳴が上がり、人が散っていく。
ヴィンセントがその魔弾を避けると「離れていろ」と声をかけながらぼくを降ろし、一人でローブの人物に向かっていく。
ヴィンセントが魔弾を避けてその人物の懐に飛び込み、腕を握って引っ張るとフードが外れた。
魔法を使っていたのは、猫のような耳を生やした、十五歳前後に見える少年だった。耳と同じ茶色い髪で、丸顔に黄色がかった大きな瞳をして可愛らしい顔をしている。身長も百六十センチないだろう。
「やっぱり、クロムか」
ヴィンセントが表情を曇らせる。
クロム。
魔族と人との間に生まれた猫型の獣人で、優秀な魔導士でもある。
ぼくはその人物を知っていた。
「勝負しろヴィンセント。オイラはヴィンセントを倒すために、必死に魔法を磨いてきたんだ!」
クロムはヴィンセントから距離をとり、頭上に手を掲げた。今度は魔力エネルギーが円盤状になり高速回転を始める。クロムを中心に気流が舞い上がる。いかに魔力が凄まじいのか、離れていてもわかった。
「いけっ!」
放たれた魔法は目で追うことが難しいほどのスピードでヴィンセントに迫る。彼は瞬時に抜いた聖剣で魔法を弾いた。弾かれた魔法は広場の大木を切断し、木がベンチを潰して倒れる。
クロムはすぐに第二弾の円盤を練り上げ、それをヴィンセントに投げつけた。先ほどよりもスピードを上げていたが、ヴィンセントは正確に聖剣で打ち返した。
「うわっ!」
自ら放った魔法が戻ってきて、クロムは慌てて魔法の壁を作ってガードする。その隙を見逃さず、ヴィンセントは一瞬にして間合いを詰め、クロムに馬乗りになって押さえつけた。クロムの顔の横の地面に剣を突き刺す。
「気はすんだか。オレの勝ちでいいな」
勝負はついた。
負傷者などは出なかったが、中央広場は傷だらけになってしまった。
「よくない」
クロムはヴィンセントを睨んだ。
「こんな中途半端に終わらすなよ。落とし前をつけろ!」
「オレにどうしろっていうんだよ、クロム」
「殺れよ! オイラはそのつもりで挑んだんだ!」
ヴィンセントは小さく息をはいて立ち上がると、剣を鞘に戻した。それからクロムの手を引いて立ち上げる。
「友達にそんなことできるわけねえだろ」
「友達……」
クロムは大きな瞳を潤ませながらも、眉をつりあげた。
「ふざけんな! ヴィンセントなんか友達じゃない!」
「嫌われていることくらいわかってるよ。クロムがどう思っていようと、オレはクロムを友達だと思ってる。勝手に思っているくらい、いいだろ」
「だったら……」
クロムの瞳から大粒の涙が流れた。
「だったらなんで、オイラたちを捨てたんだよっ」
突然のことに驚いて、ぼくは硬直してしまう。
魔弾の軌跡をたどると、手を前にかざした、緑のローブの人物が立っていた。顔はフードに隠れて見えない。
「ここで問題を起こす者は即刻退去だぞ」
ヴィンセントが忠告する。
「うるさい! 倒したいヤツが目の前にいて、黙っていられるか!」
「おまえは……」
ヴィンセントが驚いたように息をのむ。
再び魔弾が飛んできた。周囲から悲鳴が上がり、人が散っていく。
ヴィンセントがその魔弾を避けると「離れていろ」と声をかけながらぼくを降ろし、一人でローブの人物に向かっていく。
ヴィンセントが魔弾を避けてその人物の懐に飛び込み、腕を握って引っ張るとフードが外れた。
魔法を使っていたのは、猫のような耳を生やした、十五歳前後に見える少年だった。耳と同じ茶色い髪で、丸顔に黄色がかった大きな瞳をして可愛らしい顔をしている。身長も百六十センチないだろう。
「やっぱり、クロムか」
ヴィンセントが表情を曇らせる。
クロム。
魔族と人との間に生まれた猫型の獣人で、優秀な魔導士でもある。
ぼくはその人物を知っていた。
「勝負しろヴィンセント。オイラはヴィンセントを倒すために、必死に魔法を磨いてきたんだ!」
クロムはヴィンセントから距離をとり、頭上に手を掲げた。今度は魔力エネルギーが円盤状になり高速回転を始める。クロムを中心に気流が舞い上がる。いかに魔力が凄まじいのか、離れていてもわかった。
「いけっ!」
放たれた魔法は目で追うことが難しいほどのスピードでヴィンセントに迫る。彼は瞬時に抜いた聖剣で魔法を弾いた。弾かれた魔法は広場の大木を切断し、木がベンチを潰して倒れる。
クロムはすぐに第二弾の円盤を練り上げ、それをヴィンセントに投げつけた。先ほどよりもスピードを上げていたが、ヴィンセントは正確に聖剣で打ち返した。
「うわっ!」
自ら放った魔法が戻ってきて、クロムは慌てて魔法の壁を作ってガードする。その隙を見逃さず、ヴィンセントは一瞬にして間合いを詰め、クロムに馬乗りになって押さえつけた。クロムの顔の横の地面に剣を突き刺す。
「気はすんだか。オレの勝ちでいいな」
勝負はついた。
負傷者などは出なかったが、中央広場は傷だらけになってしまった。
「よくない」
クロムはヴィンセントを睨んだ。
「こんな中途半端に終わらすなよ。落とし前をつけろ!」
「オレにどうしろっていうんだよ、クロム」
「殺れよ! オイラはそのつもりで挑んだんだ!」
ヴィンセントは小さく息をはいて立ち上がると、剣を鞘に戻した。それからクロムの手を引いて立ち上げる。
「友達にそんなことできるわけねえだろ」
「友達……」
クロムは大きな瞳を潤ませながらも、眉をつりあげた。
「ふざけんな! ヴィンセントなんか友達じゃない!」
「嫌われていることくらいわかってるよ。クロムがどう思っていようと、オレはクロムを友達だと思ってる。勝手に思っているくらい、いいだろ」
「だったら……」
クロムの瞳から大粒の涙が流れた。
「だったらなんで、オイラたちを捨てたんだよっ」
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