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じゅん

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四章 雨降り小僧と狐の嫁入り

四章 8

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「白銀、どうして……」
 瞠目して固まっている翔太に、白銀は駆け寄った。
「翔太、会いたかった!」
 飛びついてきた白銀を翔太は受け止めた。お揃いのレインコートが重なった。
「オレのこと、嫌いになってねえの?」
 ふるふると白銀は首を振る。
「ならないよ、ぼくたち友達だから」
「そうだよな。友達だもんな」
 翔太はぐっと唇を噛みしめた。
「……ありがとう白銀」
 そう言うと、大人びて見えていた翔太の顔がみるみる崩れていった。
「あんなこと言ってごめんな。全部うそなんだ。オレは自分のことしか考えないで、おまえのこと傷つけちまった。本当にごめん」
「聞いてたよ」
 白銀は顔をあげた。ずっと泣き顔だった顔に笑みを浮かべている。
「翔太の気持ちがよくわかった」
 周囲が明るくなった気がして、毬瑠子は空を見た。厚みのあった灰色の雲が薄くなり始めている。
「きっと翔太はぼくが見えなくなる。ぼくは人間に化けたりできないからね。でも、見えないだけで、ぼくの存在が消えるわけじゃない。見えなくなったって、ぼくはずっと翔太が好きだよ。その気持ちも消えたりしない」
「そうだよな。なんでオレ、全部なくなると思ってたんだろう」
 翔太は手の甲で涙をぬぐう。
 白銀はにっこりと微笑んだ。
「翔太が見えなくても、ぼくは翔太の傍にいるよ。翔太の大切な日はみんな晴れにしてあげる。学校の行事、家族の行事、そして翔太の結婚式」
「結婚とか、随分先の話だな」
 翔太は苦笑した。実感がわかないのだろう。
「婚儀は、キツネは雨が喜ばれるけど、人間は晴れのほうがいいんだよね。もっと先、翔太の子供や孫の大切な記念日も、みんな晴れにするよ」
「すげえな、おまえ。さすがフローチョージュだな」
 翔太が笑った。白銀も嬉しそうに笑った。
「でもさ、晴れただけじゃ、たまたまなのかおまえがやってくれたのか、わからねえじゃん」
「そうかな」
 白銀は小首をかしげる。
「こういうのにしてくれよ」
 翔太は空を指さした。
「お天気雨。レアな天気だろ。太陽が出てるのにパラパラ雨も降るんだ」
「いいね、オマケに虹もつけてあげる。こんな感じで」
 空に大きな虹がかかった。
「きれい……」
 毬瑠子も思わず感嘆の声を漏らした。
「おまえ、マジですげえな! アッパレだな!」
 二人は肩を抱いて笑い合っている。
 もう翔太と白銀は大丈夫だろう。
 二人はずっと友達だ。
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