中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP

じゅん

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1 心霊スポットMAPのはじまり

心霊スポットMAPのはじまり 4

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「そうと決まったら、どの心霊スポットにする?」
「考えておくよ。初回だから、難易度が低いところから始めよう」
 二人が嬉しそうにしているのを見ながら、アカリは早くも後悔していた。
(早まったかな。わたしが心霊スポットなんて行ったら、また幽霊が出ちゃうよ)
 それが目当てで誘われたのだけれど。
 一回だけ参加して義理を果たしたら、グループを抜けようとアカリは決心した。
「アカリくん、冴子くんに悪霊を撃退できるお札をもらってきてもらえないかな。念のための備えとしてね」
 冴子も翔陽や京四郎と同じで、小学校からのアカリの友達だ。修学旅行では、冴子が窓に札を貼ったことで心霊現象がとまった。
 冴子の家は寺なので、魔よけグッズを入手することができるのだ。
 ちなみに、京四郎は男女問わず、名前に“くん”をつける。呼び捨てにしているのは親友の翔陽くらいだ。
「京四郎くんがもらいに行けばいいでしょ」
 アカリは押し切られた自分が悪いと思いながらも、少しすねていた。巻き込まれてしまった、という思いが強い。
「ぼくが頼んでも断られるかもしれないから。その点、冴子くんはアカリくんに甘い。もちろん、札の料金はぼくが払う」
「しょうがないなあ」
 アカリはしぶしぶと立ち上がった。
 冴子は一年A組だ。残念ながらクラスが分かれていた。
「いいなあ、アカリは」
 教室を出る時に、クラスメイトの女子グループに声をかけられた。
「いつも翔陽くんや京四郎くんといっしょにいるよね。うらやましい!」
「同じ小学校だったからね」
 アカリは苦笑した。モテる二人の傍にいるので、こう言われることは慣れっこだ。
 となりの家で幼なじみの翔陽とは話すことが多く、すると翔陽の親友である京四郎も混ざってくる、というだけのことだけど。
 それでも、アカリも二人のことはイケメンだと思うし、女子にうらやましいと言われるのは悪い気はしない。
「フツー、イケメンとばかりいたらムキーッてなりそうだけど、アカリだからなぁ」
「アカリだと思うと、腹が立たないよね」
 それは誉め言葉だろうか。さりげなくけなされているのだろうか。
「さっき、三人でどこかに遊びに行くって言ってたでしょ」
「両手に花ならぬ、両手に王子だね! アカリと代わりたい!」
(わたしこそ代わりたい)
 アカリは「ハハハ……」と乾いた笑いをもらした。
 これは楽しい遊びじゃなくて、心霊スポット巡りなんだよ。わたしは心霊現象を起こす能力を買われて、声をかけられただけなんだよ……。
 そう言いたいのをこらえて、クラスメイトに手を振って教室を出た。自分から「霊感少女」であると言いふらしたくはない。
 開いている扉からA組を覗き込むと、いつものように窓際の後ろの席で、姿勢よく背筋を伸ばして本を読む冴子の姿があった。腰まである長い黒髪に光が当って輝いている。女子のアカリが見てもウットリしてしまう美少女だ。
 アカリが「かわいい制服でラッキー」と思っている、スカートとタイがベージュのタータンチェックになっているセーラー服は、冴子のためにつくられた制服であるかのように似合っている。
「冴子ちゃん、おじゃましてもいい?」
 空いている冴子の前の席に座って、アカリが声をかけた。冴子が顔を上げる。
「A組に入って来るなんて、珍しいわね」
 黙っていると冷たそうに見える冴子の顔に笑みが浮かんだ。
「あのね、幽霊をやっつけるお札が欲しいの。修学旅行で使ったような」
「札を? なぜ?」
 冴子に聞かれて、アカリは事情を説明した。
「心霊スポット巡りなんて、バカなことを考えるわね。最近、危険な霊が出るってうわさになっているのに」
「えっ、そうなの?」
 アカリは青くなった。京四郎に教えてあげたほうがいいかもしれない。
「約束しちゃったから、一回だけ付き合う。二人とも楽しみにしてたし……」
「真面目なんだから。なにかあったら私に連絡するのよ」
 冴子がアカリの頭をなでた。
(相変わらず、冴子ちゃんはお姉ちゃんみたい。同じクラスになれたらよかったのに)
 アカリは札をもらう約束をして、A組の教室を出た。
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