中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP

じゅん

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4 髪切り屋敷の謎【恐怖指数 ☆★★★★】

髪切り屋敷の謎【恐怖指数 ☆★★★★】 8

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「ぼくらは三か所の心霊スポットに行ったね。その幽霊の共通点があるだろ」
「共通点?」
 アカリは首をかしげた。
 一つ目は、廃アパートで『ひとりかくれんぼ』をして、サルのぬいぐるみが襲ってきた。
 二つ目は、トンネルでアカリが神隠しにあい、事故死したと思われる霊に襲われた。
 三つ目は、大きな洋館で髪を欲しがる幽霊に襲われた。
「どの霊も、なにかを吐き出してから消えただろ」
「あっ、そうだったね」
 ぬいぐるみは目玉、トンネルの霊は成人男性の指、そして今日の霊は赤色の髪だった。
「……あれ? 赤色の髪って、どこかで聞いたことがある気がする……」
 アカリが記憶をたどっていると、京四郎はうなずいた。
「冴子くんが忠告してくれた“質の悪い霊”の特徴は、“赤色の髪をした和装の男”なんだ」
「それって……?」
「その霊が、自分の体の一部を、別の霊に与えているのかもしれない」
(自分の目玉や指を与えるって……)
 アカリはぞっとする。
「その男の霊のせいで、鈴竹市の霊が活発になっている、ということか?」
「活発というよりも、おとなしい霊を悪霊化している、という方が正確かもしれない」
 京四郎は翔陽に答える。
「言われてみれば、吐き出した後の幽霊は大人しく消えていったよね。さっきの霊なんて、『なにかを飲まされてから、自分の体ではないようになった』って言ってたし」
「そうだね。つまりは、こういう図式になる」

 赤髪の霊のせいで、鈴竹市は心霊現象の被害が増えた。
 ↓
 赤髪の霊がいなくなれば、鈴竹市は平和になる。
 ↓
 誰かが赤髪の霊を倒さなければいけない。

「なるほど。この辺りの悪霊のボスが、赤髪の幽霊ってことか」
 翔陽はポンと手を打った。
「まさか、まさか! わたしたちでその霊をやっつけよう、とか言わないよね」
 アカリは後じさった。
「もちろん、そのまさかだよ。この事実を知っているのは、ぼくたち四人だけだからね」
 京四郎はにっこりとほほ笑んだ。
(やっぱり!)
「でも、さっきの今だからね。みんなに内緒でぼくが勝手に話を進めたら、今度は冴子くんのビンタじゃすまないだろう」
「当然でしょ」
 冴子はジロッと京四郎に目を向けた。
「だから、多数決をしよう。ぼくらで赤髪を倒す? それとも、これからも増える被害に目をつぶる?」
(わたしたちがやらないと、困る人が増えちゃうんだ。わたしたち四人しか知らないなら、ここで逃げたらヒトデナシだよね。じゃあ、怖くてもやるしかないじゃん!)
 今までの三件だって怖かったのに、きっと、もっと怖い目にあってしまうのだ。アカリは震えた。
「その二択は悪意を感じるわ。私なら、こういう二択にする。自分たちで赤髪の霊を倒すか、ベテランの除霊師に任せるか」
「おっと、冴子くんに気づかれたか。やっぱりキミは厄介だね」
 京四郎は苦笑した。
(京四郎くん、さっきフルスイングで叩かれたばかりなのに、全然反省してない!)
 アカリは京四郎にあきれながら、ベテランに頼るという手があったのかと、女神をあがめるようなキラキラした目で冴子を見た。
「いや、でもさ。京四郎が自分たちでやりたいって言う気持ちもわかるよ。そいつ、スゲー悪霊っぽいじゃん。倒せるか挑戦したいよな。人の役に立つし、再生数も伸びそうだし」
「翔ちゃん、ゲームじゃないんだからね!」
「さすが翔陽、わが友よ」
 京四郎が抱きつこうとするのを、ひょいと翔陽はよける。
「なつくな。おまえのせいでケガした頭がまだ痛いんだからな」
(この二人、なんで親友なんだろう……)
 アカリに素朴な疑問が浮かんだ。
「直接対決するとしてさ、おれ、思うんだよ。お札がその赤髪のボスに有効か。ちゃんと倒せる方法はあるのか。金縛りを解く方法がないなら、そもそも勝負にならない」
「うん、いい発言だね、翔陽」
 京四郎はニッコリと笑った。
「それなら、ぼくたちで赤髪の霊を倒せるか、作戦を練ってみないか?」
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