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しおりを挟む一瞬だらりとしたライド様の体だったけれど、僅か数秒で意志を持ち始めた。
「フレイオ…今度は俺が、慰めてやろう。もう、こうして既成事実も作ってしまった。
フレイオは、俺と婚姻するんだ、ぞ!」
瞬間的に、僕の視界に星が散ったのがわかった。
「あっ……ンっやぁっ……はんっ…はぁ……」
「もうへばったのか? 俺はまだイってないんだけど…?」
「や…ハァ……ん! もぅ、ぼくっボクボッ……うぅっ!!」
「はは……もうイった? ここからは何も出てないみたいだけど。」
ライド様は僕の先端に指の先で円を描いた。
「ぅうっ、ちょっ…今、イっ…ひぃ…いいい!!」
「コラ、唇は噛み締めるなよ。」
「らって…らいっがアっ…や……まだダメぇ…」
「本当にかわいい奴だな、フレイオは。」
「はんっ…?…んっんんうっ……」
チュッ…ちゅうっ
僕はたぶん、いつの間にやら気を飛ばしていたようだった。
だって次に目が覚めた時、体は不快なところはなく、さっぱりとしていて、夜着を着ていたのだから。
それから、夢か現か何かにサインをした記憶があり、その証拠とでも言うのか、利き手である右手の中指のペンだこの辺りに黒いインクが付いたところがあった。
その場所を眺めていると、湯気を体に纏わせたライド様が、上半身裸で髪を拭きながらこちらにやって来た。
「フレイオ、目が覚めたのか? 良かった。もう3日間も目を覚まさないから、責任取らせてあの剣折ってやろうかと思ってた。」
ライド様は顎でしゃくるように、シーの入っている剣を差す。
『何で私を壊そうとするのだ? 完全に、お前が抱き潰したせいじゃないか!』
「はぁ? お前が精神的にフレイオにダメージ与えたんだろうが!」
『それは…そうかもしれない。だがお前だってフレイオの体力を!』
「そうだ。確かに俺の体でな。」
『くぅぅーーー!!』
「もう止めて! 頭がガンガンするから、静かにできないなら2人とも出て行って!」
『「はい。ごめんなさい。」』
「静かにしてくれるなら、いいよ。僕、まだ眠くて…ごめん。また寝るね。」
次に目が覚めた時は暗かった。
そしてなぜか、胸側はひんやり、背側はポカポカとしていた。
身動ぎすれば、わかった。
胸側にはシーが入っている最強の剣が、パーティでの帯剣用の飾り付の鞘に収納されており、
背側にはライド様が、僕の臍の前で腕をクロスするように抱きしめていた。
何だか、過去と今、どちらの自分も抱きしめられているようで、嬉しくなった。
あれから何度寝かして朝を迎えた。
起きるとライド様が僕を着替えさせ、着替えが終われば横抱きにされて部屋を出た。
なぜか行き先はエントランスだった。
エントランスには、ライド様と似た色合いの立派な体躯の大男と華奢な男性が揃っている。
「ライド、婚姻おめでとう。伯父さんによろしくね。」
「はい。」
「え? 婚? 誰が? え?」
慌てる僕に対して、
「俺とフレイオだ。これから辺境に行って、俺は大伯父の養子に入るんだ。フレイオとの婚姻の届けは、滞りなく受理されてるから安心しろ、な。」
僕がポカンとしていると、額にキスをされた。
馬車に乗り込むと、
「馬車の中では臭いが籠もるから、ヤッちゃだめよ~!」
「孫の顔を見るの、楽しみにしているぞ~!!」
「わかっています。キスだけにしますから、安心してくれ!! 父上母上も、どうかお元気で~!」
そんな中、馬車はゆっくりと出発した。
こうして《しがない男爵令息》であった僕は、前前?いやもっと前?の恋人で今は剣精サマであるシーと、これから辺境最強の騎士に成長するライド様に、現在進行系で求愛されている。
知らないうちに婚姻して苗字が変わっていたのにもビックリだけど、どうやらこれから辺境へ向かうらしい。
ライド様は僕を膝に乗せて、嬉しそうに車窓に見えるものの解説をしてくれている。
シーはまた剣から出てきて透け感のある男性になって、僕の左膝をさすさすしている。
とりあえず、僕が幸せになれそうなのは間違いなさそうである。
おしまい
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