Nova | 大人気アイドル×男前マネージャー

むぎしま

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【番外編】

ねこほん!1 本郷(猫)誕生

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──3話の楽屋の会話より


 最近、Star Novaファンからちょくちょく届く、おねだりのお便り。それは──「本郷さんがもっと見たい」!

 普段の本郷は、カメラの外にいることが多かった。
 撮影中は機材の横で腕を組み、進行を見守る。名前が出たときにだけ、ふと視線が上がって、画角の端に映り込む程度だ。
 険しそうに見えるのは、眉間に寄った皺のせいだろう。しかしカメラに撮られ続けると、困ったように眉を下げるその表情が、視聴者の目を引いたらしい。
「今の人だれ?」
「もっと映してほしい」
 そんな声が、少しずつ増えていった。

 満を持して、本郷をメインに据えることが決まったのは、とあるネット配信番組だった。さっそく一度、試しに仮収録をしてみたのだが──結果から言えば、散々だった。
 進行が甘いところには口を挟み、無茶な企画には首を振り、メンバーの軽率な言動には、つい注意が飛ぶ。
 盛り上げようとしている、というよりも……事故が起きないか、誰かが無理をしていないか。本郷の視線は終始、そちらに向いていた。
「……ノリ、悪いな」
 誰かが冗談めかして言って、本郷は小さく息を吐いた。

「だーかーらー、本郷さんに喋らせるからそうなるんだよ! 本郷さんは喋っちゃだめ!」
「ええ、俺、喋れねぇの? 俺メインって聞いたんだけど」
「もうさ、猫とかにする? 本郷(猫)」
 春陽が軽く言った言葉に、雪乃と晃弥が目を輝かせた。
「わ、いいかも! にゃーとかみゃーしか言えないの、可愛いじゃん!」
 晃弥の言葉に、雪乃がうんうんと頷く。二人の反応を見て、春陽がニコニコと口を開いた。
「この企画の時は本郷さんは猫ちゃんだから喋っちゃだめ。うん、良い設定かも!」
「賛成」
「浩誠まで? え、俺言いたいこと沢山あんだけど」
 自分がカメラに映る、というのは、緊張するが少し楽しみでもあった。それなのに喋れないのは──。
(あれ、俺が見たいという要望に応えた企画だったよな? 喋れないなら、俺が映る意味はあるのか……?)
 本郷はつい、首を捻った。
「小言とか説教とか細かい話になったりするでしょ?」
「それはお前たちが変なことするからだろ!」
「本郷喋んな、お前は今猫なんだから」
「え、もう始まってんの?」
 浩誠に言われると、本郷も弱い。おまけに、周囲を見渡すとみな、ジリっとした視線をこちらに向けていた。
 ──周りの雰囲気に押され、本郷はとうとう、観念した。
「うー……にゃあ」


 そして櫻井来夢が現れ、帰っていった、数時間後──。
「晃弥……何してんの?」
「へっへー、描けましたよ本郷さん……」
「なに?」




「これが本郷(猫)です!!」


 目の前のイラストに、本郷は反応に困った。
「……うん……可愛いけど……」
「俺たちはクイズやるから、本郷さんは猫になって可愛く鳴いててね」
「その企画……何?」
「あ、でもこの絵は別に企画に使わないから、はい」
 手渡されたのは、猫耳カチューシャと、同じ色の猫尻尾だった。
「なんでこんなの持ってるの?」
「雪乃がさっき買ってきてくれたよ」
「そう……」
「このままスタジオ移動するから、猫の準備しといてね」

 こうして生まれたのが──
 喋らない、注意しない、ただただ可愛いだけの存在。
 本郷(猫)、通称〝ねこほん〟だった。




どや。
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