家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫

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第41話

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「止まるんだ。もう目隠しは取っていいぞ!」


 迷いの森へ入って半日ほど歩いたところで、アイルから声を掛けられた。かなりぐるぐると回っていたようで、どのくらいの距離を移動したのかいまいち分からない。

そこは多くの太い木が生い茂り、太陽の光すらも僅かな隙間からしか入ってこない鬱蒼とした深い森だった。ここで迷えば方向すらも分からなくなることだろう。


「あそこに光が見えるだろう?あそこを抜ければ森の出口だ!」


アイルの指差す方には、確かに薄暗い森の先に、まるで生きてるもの全てを誘うような光の広がる場所があった。



「ここまで案内ありがとう!色々とあったが、最後に敵対せずに済んだことを感謝する。」


「約束だったからな!二度と顔も見たくない!!もう戻って来るなよ!!」


「それは約束する!ユウナさんにもよろしく伝えてくれ!!」


「分かった!さっさと行け!!」



「ママ、ひかり、あかり、さあ行こう!長かったが、ようやく人間の暮らす世界へ行けそうだ!」


「そうね。楽しみだわ!」


「どんなとこかな?楽しみだね♪」


「あかりもー!」



俺たちは4人で手を繋いで歩き出した。


森の先にある光へ向かうと、俺たちは不思議な感覚に襲われた…

まるで自分の体が一度分解され、再構築されるような感覚である。



「今のは?みんなも今の不思議な感覚感じたか?」


「ええ。何だか酔いそうな気持ち悪い感覚だったわ…」


「ひかりは楽しかったー!!」


「あかりもー!」



 その時、遠くからアイルの声が聞こえてきた。


『入ってしまったな!そこは迷いの森でも特別な場所…一度入れば誰だろうと出ることは叶わない特別な場所!!エフロディーテでも族長にのみに口伝されてきた絶対に足を踏み入れてはならない封印された土地なのだ!!!

お前たちに我らへの強い悪意がないのは分かっている。だがそれは250年前のことも同じことだ!マルコからも悪意は一切感じられなかった…

それでもあの悲劇は起きてしまったのだ。


お前の言う通りだったのだ!

今回もエフロディーテのことをお前らが話さない保証はない!目隠ししてようが、封印してようが、万が一の危険の種を残しておきたくない。


お前たちにここまでする恨みはないが、すまないがエフロディーテの為に犠牲になってくれ!」


「ふざけるなー!!」


俺は慌てて戻ろうとするが、見えない壁に邪魔されて来た道を戻ることは叶わない!



「くそっ!くそくそ!!」


どんなに壁を殴ろうと、銃で撃とうと見えない壁に何の変化も見られない。


「ムー!」


俺はムーの消滅の力を壁にぶつけるが…それすらも全く効果を成さなかった。



「無駄だ。そこは遥か祖先たちが不要となったものを封印した場所だそうだ!一度入ってしまえば二度と外に出られないようになっているらしいからな!

お前には色々と学ばせてもらった。
せめてそこで、最後の家族の時間を楽しめることを祈っている。

…さらばだ!」


それからアイルは振り返ることもなく、去っていった。



やられた…これは非常にまずい…外へ出る方法が全く思いつかない!!

さっきの感覚からいって、ここは異空間の牢獄のような場所なのではないだろうか?漫画やラノベで異空間から外に出る方法…

よくあるのは、強力な力を爆発させて内部から破る方法。俺には無理だろうな…

他には外の味方が救いだしてくれる?
ひかりのテレパシーなら連絡を取れるか?

ダメだ。ユウナさんならこの状況を知れば助けようと動いてくれる筈だ!しかし、ここから出る方法は族長であるアイルも知らないようだった。ユウナさんを無駄に危険に晒す訳にはいかない。



「パパ、大丈夫?」


気づいたら家族が心配そうに俺を囲んでいた。


1人で悩んで、家族に逆に心配を掛けてしまっていたようだ。



ここで悩んでも仕方ない!…ここを探索して、この空間を生み出している原因を見つけるしかなさそうだ。



「大丈夫だよ!みんなも体はどうもない?」


「大丈夫よ。でも閉じ込められちゃったね…私たちこんなところで死ぬのかな?」


「バカ!そんなことはない!!子供たちの前で簡単に弱音を吐くんじゃない!」


「ひかり死んじゃうの?」


ひかりが不安になったのか、泣きそうになってしまう。


「そんなことないよ!今すぐには無理だけど、パパとママがついてるから、絶対に救ってみせるからね!!」


浩美もハッとなったようで、直ぐに笑顔で子供たちに話しかけた。


「私たちにはとっても頼りになるパパがいるからね!絶対に助かるよ!!だから泣かなくていいのよ!

せっかくだから、この森でのサバイバル生活を楽しみましょう!?キャンプで必要なものは何かな?」


「テントとキャンプファイヤー!あとはカレーライス♪」



昨年の夏に連れていったキャンプを思い出したのだろう。笑顔で返事が返ってきた。


「テントは持ってきてるし、夜になったらキャンプファイヤーとカレーにしようね!

今日は沢山歩いたし、これから早速キャンプファイヤーの準備をしようか?」


「そうするー!!」



 俺たちはこの場所の探索を明日からすることにし、近くに落ちている木の枝をみんなで集め、簡単なキャンプファイアーを組み立てた。

本格的なキャンプを趣味にする人からいわせると、ただの焚き火の延長なんだろうが…今の暗くなりがちな状況の俺たち夫婦には、この作業で明るい笑顔を見せてくれる子供たちにただただ癒されていた。


カレーはこんなときだから余計にレトルトではなく、きちんと作った。
料理をみんなで作るということを楽しみたかったからだ!


「「おいしー!」」


「良かった!いっぱいあるから、たくさんお食べ!」



辺りが暗くなる頃には、子供たちはテントで眠りについていた。ずっと戦いや歩き続ける生活を強いられていた為、疲れていたのだろう。

テントの周りには足を引っ掻けると音が鳴る仕掛けを広範囲に仕掛けてる。気配関知と合わせるとよっぽどでなければ大丈夫だと思う。


俺が座って子供たちの寝顔を見ていると、浩美が横に座った。


「ここがどんなとこなのか全然分からないけど、絶対にこの子たちを守っていきましょう!」


「そうだね。ママも含め、俺がきっと守ってあげるからね!明日からはここを探索していこう。きっと何処かにここの空間を断絶している何かがある筈なんだ!」


「それを見つければここを出ることができるのね?」


「分からないが、おそらくはそうだと思う!」


俺たち夫婦は互いの手を握り合い、不安な気持ちを打ち消し合うのだった。



この時には、この牢獄の中にあんなに長く閉じ込められることになるとは思いもしなかった。

そして…この場所の秘密が、あんなことだったとは思いもよらないことだった。



こうしてただ家族4人で平和に暮らしたいだけの俺たち家族は、簡単そうで遠いその未来を追いかけ続けることになるのだった…

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