至高のオメガとガラスの靴

むー

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僕とアカリちゃんの小学2年生の頃の話

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僕は誰もいない道を1人で歩くのが怖い。
不意にあの日を思い出すから。
怖くて怖くて動けなくなる。

自分がどれほど無力な人間なのか思い知らされたあの日。

❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

それは突然だった。

小学2年のある日。

下校途中、マサキとトーマと別れた後、突然現れた2人の男に口を塞がれ抱えられた僕とアカリちゃんは近くに駐車していたワンボックスカーに乗せられた。

あっという間のことで、僕たちは悲鳴ひとつ上げることができなかった。

車に乗せられた時に薬を嗅がされて、目覚めた時には手足をロープ縛られ、口はガムテープで塞がれていた。
薬の影響で頭が働かず、ボーッと首を動かして周りを見る。
ちょっと先にランドセルが二つ転がっていた。

1つは僕ので、もう1つは…。
背後で人が動く気配を感じて、完全に覚醒した。

手足を縛る紐は固く解くのは無理そうだけど、手首は前に縛られていたから多少動けそうだ。
手をついて起き上がって振り返ると、そこにはやはりと言うか、アカリちゃんが僕と同じ状態で転がっていた。

僕とアカリちゃんの口を塞いでいたガムテープを剥がして、アカリちゃんを揺する。

「アカリちゃん、アカリちゃん!」
「う…ん…」

薄ら目を開けたアカリちゃんにホッと息を吐き、怪我はないかと見る。
見える範囲では怪我はないようで、またホッと息を吐く。

「ふぇ…ここ、どこ?」

ボーッとしているアカリちゃんはまだ状況が飲み込めていないようだ。

「アカリちゃん、僕たちゆーー」
「あーもう起きちゃった?」

「誘拐された」と言う前に、第三者の声に阻まれてしまった。

「お目覚めは如何ですか?ナナツキヒロくんとナツメアカリくん」

楽しげに声をかけた男たちに、僕たちは狙われて誘拐されたことを知った。

❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

誘拐犯は全部で4人。
そのうちの1人、リーダーらしきスーツ姿の男は、外国人なのか金髪だ。
でも、目元は掛けているサングラスでよく分からない。
他の3人は20歳前後でとてもラフな格好だった。

僕とアカリちゃんはお互いの手を握り寄り添っていたが、男たちに引き剥がされてしまった。

「あれ、このガキ、もしかしてオメガか?」
「本当だ、これネックプロテクターじゃん」
「や……やだ…ヒロぉ…」

2人の男に囲まれたうえ、その1人にネックプロテクターを摘まれたアカリちゃんはイヤイヤと首を振り僕の名を呼ぶ。

「あの如月のオメガなら高く売れますね」
「まだちっちゃいから味見できないのが残念」
「アカリちゃんに触るなー!」

涙を溢して嫌がっているアカリちゃんに僕は身を捩って叫んだ。

「煩い黙れよ」

僕を掴んでいた男に殴られた。
左こめかみから頬にかけ衝撃が走って地面に叩きつけられ、眼鏡も吹っ飛んだ。

「ヒロっ!」

アカリちゃんが僕の名を呼ぶ。
頭がクラクラして、顔左側の痛みですぐに動くことができなかった。
そんな僕の頭を掴んで上を向かせた男は僕の首にネックプロテクターがないことを確認して言った。

「お前はオメガじゃなさそうだから身代金たっぷり貰ったら魚の餌な」

殴られたショックで声が出なくて、目の前の男を睨むことしかできない状況のに、悔しくてボロボロ涙が出た。

「あーあ、泣いちゃった」

僕を魚の餌にすると言った男は僕を見て笑った。

「おい、どけ」

ずっと後ろで静観していた金髪の男が、顔を寄せサングラスを少しだけずらして僕を見た。

「ほう、あの男、こんな珍しいものを隠してたのか」

そう言うとククっと笑った。
サングラス越しでも分かる射抜くような眼に、僕は体に力が入らず動けなくなる。

「予定変更だ。この子は私がもらう」
「えっ、どういうことですか?」
「言葉の通りだ。私が貰う」
「はぁ?」

スーツの男はアルファの様で、その威圧感に3人の男は口を継ぐんだ。

それから僕たちは何もない部屋に連れて行かれ、そこで丸一日、身を寄せあって過ごした。


次に目を覚ました時、そこは病院のベッドの上だった。
傍にはお父さんとお母さんがいた。
横を見ると、隣のベッドにはアカリちゃんが眠っていて、傍にアカリちゃんのお父さんとお母さんがいた。
少ししてアカリちゃんが目覚めた。

お父さんは僕たちを発見した経緯を教えてくれた。

僕の眼鏡とアカリちゃんのネックプロテクターにGPSが仕込まれていたため、早期に居場所を特定した。
僕たちの安全と犯人を確実に確保するために周辺の警備を強化し、身動きが取れなくなったところで犯人を確保して僕たちを救出したそうだ。

犯人はいづれも20代前後の3人の男だった、と。
僕を連れて行くと言った4人目の金髪の男はいなかった。

❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

救出された僕たちは1週間入院した。
僕とアカリちゃんはひとつのベッドで手を握り合って眠った。
そして、お互いうなされる度、声を掛け合った。

退院後、しばらくの間、学校へは車で登校した。
そんな僕たちにいつも通りに接してくれたのは、マサキとトーマだけだった。

その後、アカリちゃんと僕は自衛のために格闘技を習い始めた。

そんな小学2年生の出来事。

__________________

読みづらいところが多々あるため、何回か修正予定です。
語の展開に変更は変わりません。

次回は18時更新予定です。
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