至高のオメガとガラスの靴

むー

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アカリちゃんの気持ち

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テーブルにはフルーツの他にサンドウィッチやケーキなどの軽食が用意されていた。
備え付けのケトルでお湯を沸かして紅茶を淹れる。

それらを食べ終わる頃には外は真っ暗な夜なっていた。

❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

バスルームから出ると、部屋は照明を落とされ真っ暗だった。

目を凝らすと窓際に卵型のシルエットが見えた。
そのシルエットを目指しゆっくり進み、その隣りに座る。

「星、結構見えるよ」
「ホントだ。綺麗だね」

そのまましばらく星空を眺めていると、肩にコツンと重みがかかる。

「今日………すごく嬉しかった」
「遅くなってごめんね」

肩をグリグリされ、アカリちゃんが頭を振ったことを感じる。

「ヒロ、すっごくカッコよかった」
「そ、そう?」

結構カッコ悪い登場だったし、殴られて蹴られたけど、アカリちゃんはそんな僕もかっこいいって言ってくれた。

「それに……ヒロ、ちょっと背が伸びた」
「えっ、ホント?」
「うん、目線がボクよりちょっとだけ高かった」

暗くて表情がよくわからないけど、僕を覗き込む目はキラキラしていた。
肩が軽くなって僕の頬に手が触れた。

「ヒロ、肩とほっぺ大丈夫?」
「あ、うん。肩は青タンになってたけど大丈夫そう。頬も蹴られた時に口の中ちょっと切れたけど、それももう止まったよ」
「そう…良かったぁ」

僕の頬を撫でていた手が離れ、また肩に重みがかかった。
少しの無言の後、アカリちゃんはポツポツと話し出した。

「ボクね………ずっと消えてしまいたいって思ってたんだ。……あの日……アイツの家に迎えにきてくれたヒロの匂いがしなくて……アイツの匂いも臭いって感じなくなって……ああ、ボク、アイツの番になっちゃったんだ、って思ったから……。そう思ったらね……目の前が真っ暗になった……」

自分の身体を抱きしめながら話すアカリちゃんから震えが伝わる。
その震えは、お風呂で温まったはずのアカリちゃんの身体から熱を奪っていく。

「入院中は、食べれない、眠れないで、毎日点滴打たれてたんだ。そしたらどんどん痩せてちゃった。退院する頃、やっと少しずつ食べれるようになってきたんだけど、眠るとアイツが出てきてうなされた。ここまで出てきたら惚れちゃうかなって思ったけど、益々嫌いになったよ。ははっ」
「アカリちゃん、もうーー」
「ううん、最後まで聞いて」

カタカタと震えるくらい辛くて今にも泣きそうなのに、アカリちゃんは続ける。

「お正月、家に帰ってヒロに会えた時、ほんとはすごく嬉しかった」
「………」
「でも、ちょっと離れていても分かるヒロの匂いが全然しなくて………お父さんもお母さんも大丈夫だって言ってくれてたのに……ヒロに触られるのが怖くなった」
「………」
「あの時は叩いちゃってごめんね」

「ううん」と首を振った。

「ボク…ずっと怖かった。このままアイツと結婚して……アイツに…アイツのフェロモンに発情して…アイツの子供を身籠って……う、産むって考えたら……考えただけで気持ち悪くて…怖くて…どうしようもなく震えが止まらなくて……」

一層震える肩に僕は腕を回して抱きしめる。
触れてる部分から僕の熱が伝わるよう願いながら強く。

「ふふっ、ヒロ、あったかい」

僕の背中に腕を回し抱きしめ返すアカリちゃんの身体から少しずつ震えが収まっていく。

「でも、今日、ヒロが現れて、ヒロがね『アカリちゃんは物じゃない』『アカリちゃんの番はアカリちゃんが決めることだ』って言ってくれた時、真っ暗だった世界が明るくてキラキラしたの………そうしたらーー」
「?」
「そうしたら、ヒロの匂いがしたんだ。嬉しくて身体が勝手に動いて、くっさいアイツを蹴り飛ばしちゃった。ふふっ」

僕の胸の中で笑うアカリちゃんの身体はゆっくりと熱が戻ってきていた。

「でもダメだよ。ボクがヒロ以外の人を好きになるわけないじゃん」
「ううっ……ごめんなさい」
「うん、許す」

温かくなった身体をキュッと抱きしめると、微かに懐かしい香りがした。

チュ

首にアカリちゃんの唇と吐息が当たる。
少しだけ身体を離すと目が合った。

「アカリちゃん、大好きだよ」
「うん、ボクもヒロが大好き」

吸い込まれるように唇が触れ、そのまま啄むようなキスをしながら抱きしめ合う。
キスは徐々に淫らな音を立て始め…。

「ん……ヒロ……んっ……ボク……」

ブワッとアカリちゃんから強い香りが放たれた。

「アカリちゃん……もしかして…」
「んっ……発情期……はぁ……きた、みたい……ぅんっ……」

__________________

あと残り3話です。

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