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第四話 空の旅
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「ってことが昨日の夜にあったんだ」
ドワーフの国行きの馬車を、昨日の酒屋の一室で待ちながら、ブレイブは昨日の夜の出来事を語っていた。
「昨日は呑んでいたし、幻聴でも聞こえたんじゃないか?」
ブルーは、そんなブレイブの話を冗談半分で聞いていた。
「いい? 皆んな、話を戻すわよ。ドワーフの国に着いたら、すぐに依頼を進めてもらうから」
カリーナは、トゥオブ商会から依頼された内容を皆んなに話し始めた。
トゥオブ商会――それは、ドワーフの国とストロフ共和国間の貿易を独占している巨大な商会のことである。
『ドライブ』を始めとして、ドワーフ国で作られた商品は、トゥオブ商会のおかげで、ストロフ共和国がどの国よりも先立って、販売路を確保できるのである。
「依頼内容は、『貿易路を襲う盗賊団の討伐』。報酬は要相談……」
アイは、依頼内容の書かれた紙を丁寧に読み上げる。
「また賊か」
ブルーは、アイから紙を取り上げると、つまらなそうにため息をついた。
「何? ブルー」
カリーナは、目を細めて紙を見つめるブルーに尋ねる。
ブルーは、その紙をブレイブに回した。
「報酬は要相談って……これ大丈夫か?」
「要相談だから大丈夫なのよ。きっと、交渉次第で何でも頼めるってことよ」
カリーナは得意げに話す。
「多分違うと思いますよ」
アイはカリーナのそんな甘い考えを否定した。
「アイ、聞いて。いざとなれば、サラマンダーがいるから何とでも出来るの。私はこの報酬で、超高級馬車でも頂くつもりよ」
カリーナは両手でアイの両肩を掴むと、不気味に笑った。
「一体、誰がカリーナを変えたのかしら……」
アイは頭を抱える。
視界の端では、ブレイブとブルーが、窓の外を歩く女性達を見て下品に鼻の下を伸ばしていた。
馬車が酒場前の停車場に到着し、一行は馬車に乗った。
行き先は、ドワーフ王国のある別大陸を結ぶ飛行船の発着場がある街である。
「もっと詰めろ、ブルー」
ブレイブが快適そうに座るブルーに指示する。
「これ以上は無理だ、諦めろ」
ブルーは、自分が快適に乗れるように巧妙にスペースを空けていた。
「詰めたらどうだ?」
最後に入ってきたサラマンダーが、ブルーの周りに空いたスペースを刀の鞘でつついて指摘する。
ブルーは渋々、スペースを詰めた。
「何だ、たった数秒で痩せれるんだな」
ブレイブは、ブルーを揶揄うと席に座った。
対面の席では、カリーナとアイが楽しそうに窓の外を見ながら、会話を楽しんでいた。
馬車は北上する。
「二人とも、ここ数日イライラしてるけどどうしたの?」
カリーナは、窓の外を見るブルーとブレイブに話しかける。
「気にしなくていい、賭け事で負けてからずっとこれだ。どうせ数日で治る病だ」
反応しない二人の代わりに、サラマンダーが淡々と答えた。
「なんだ、心配して損した」
カリーナはすぐに興味を失った。
「到着しましたよ」
御者が馬車を止め、一行は地に足をつけた。
◆◇◆◇
ストロフ共和国の北にある街、ヒュードルフ。
ここにはドワーフの国と共和国を繋ぐ飛行船の発着場があった。
「ちょっと、お金ある?」
カリーナは、アイの目を見た。この中で、常に金銭管理をしているのは、几帳面なアイだけだった。
「全く……メイドに金を出させる姫って」
アイは、紐で閉じられた小袋を開くと、銀貨を二枚カリーナに渡した。
「ありがと」
カリーナはそれを御者に渡し、巨大な発着場を見上げた。
「久しぶりに来たわね」
停泊した、船というよりもはや城のような巨大な飛行船を見上げる。幼い頃に両親と乗った、優雅な空の旅の思い出が蘇った。
「懐かしいですね」
アイも、幼いカリーナと乗った穏やかな思い出を反芻していた。
「行くわよ、皆。ついてきて」
カリーナは、思い出を振り払うように先導し、飛行船の入場口に向かった。ちょうど入場が始まっており、一行は列に並んだ。
「申し訳ございません、お客様。ペットの入場口は別でして……」
列を整理していた男が、後ろに立つブルーをチラチラと見て、一行を止めてしまった。
「誰がペットだ」
ブルーは、男を鋭く睨みつけた。
「ペットだって……ペット」
後ろに並ぶブレイブは、必死に笑いを堪えていた。
ブルーは無言で、ドスッとブレイブの鳩尾に肘を入れた。
「ぐっ!」
ブレイブは、強烈な一撃を喰らい、その場で悶絶する。
「はぁ……」
アイは、そんな二人のやりとりを見て、呆れたため息を吐いた。
飛行船の中には、賭博場やレストラン、劇場などが設けられていて、空の旅を退屈させない工夫が凝らされていた。
「ブルー、リベンジしよう」
這いつくばっていたブレイブが、懲りずにブルーを誘う。
「……」
ブルーは顔を向かない。
「貴方達、お金を持っていないでしょうよ」
アイは、何を言っているんだこの人たちは、という軽蔑の目を向ける。
「心配するな、借りた」
ブレイブは、腕を組んで佇むサラマンダーを指差した。
「いいのですか?」
アイは、思わずサラマンダーに尋ねる。
「あの二人は、宿屋でもずっとコレだからな。旅の間、俺の睡眠を確保する為にも、これは必要な投資だ」
サラマンダーは腕を組み、冷静に理由を説明した。そして、賭博場へ向かう二人を静かに見送った。
飛行船がゆっくりと飛行を始め、地を離れた。
「あれ? 姫様は?」
アイは、カリーナの姿を見失っていた。
ドワーフの国行きの馬車を、昨日の酒屋の一室で待ちながら、ブレイブは昨日の夜の出来事を語っていた。
「昨日は呑んでいたし、幻聴でも聞こえたんじゃないか?」
ブルーは、そんなブレイブの話を冗談半分で聞いていた。
「いい? 皆んな、話を戻すわよ。ドワーフの国に着いたら、すぐに依頼を進めてもらうから」
カリーナは、トゥオブ商会から依頼された内容を皆んなに話し始めた。
トゥオブ商会――それは、ドワーフの国とストロフ共和国間の貿易を独占している巨大な商会のことである。
『ドライブ』を始めとして、ドワーフ国で作られた商品は、トゥオブ商会のおかげで、ストロフ共和国がどの国よりも先立って、販売路を確保できるのである。
「依頼内容は、『貿易路を襲う盗賊団の討伐』。報酬は要相談……」
アイは、依頼内容の書かれた紙を丁寧に読み上げる。
「また賊か」
ブルーは、アイから紙を取り上げると、つまらなそうにため息をついた。
「何? ブルー」
カリーナは、目を細めて紙を見つめるブルーに尋ねる。
ブルーは、その紙をブレイブに回した。
「報酬は要相談って……これ大丈夫か?」
「要相談だから大丈夫なのよ。きっと、交渉次第で何でも頼めるってことよ」
カリーナは得意げに話す。
「多分違うと思いますよ」
アイはカリーナのそんな甘い考えを否定した。
「アイ、聞いて。いざとなれば、サラマンダーがいるから何とでも出来るの。私はこの報酬で、超高級馬車でも頂くつもりよ」
カリーナは両手でアイの両肩を掴むと、不気味に笑った。
「一体、誰がカリーナを変えたのかしら……」
アイは頭を抱える。
視界の端では、ブレイブとブルーが、窓の外を歩く女性達を見て下品に鼻の下を伸ばしていた。
馬車が酒場前の停車場に到着し、一行は馬車に乗った。
行き先は、ドワーフ王国のある別大陸を結ぶ飛行船の発着場がある街である。
「もっと詰めろ、ブルー」
ブレイブが快適そうに座るブルーに指示する。
「これ以上は無理だ、諦めろ」
ブルーは、自分が快適に乗れるように巧妙にスペースを空けていた。
「詰めたらどうだ?」
最後に入ってきたサラマンダーが、ブルーの周りに空いたスペースを刀の鞘でつついて指摘する。
ブルーは渋々、スペースを詰めた。
「何だ、たった数秒で痩せれるんだな」
ブレイブは、ブルーを揶揄うと席に座った。
対面の席では、カリーナとアイが楽しそうに窓の外を見ながら、会話を楽しんでいた。
馬車は北上する。
「二人とも、ここ数日イライラしてるけどどうしたの?」
カリーナは、窓の外を見るブルーとブレイブに話しかける。
「気にしなくていい、賭け事で負けてからずっとこれだ。どうせ数日で治る病だ」
反応しない二人の代わりに、サラマンダーが淡々と答えた。
「なんだ、心配して損した」
カリーナはすぐに興味を失った。
「到着しましたよ」
御者が馬車を止め、一行は地に足をつけた。
◆◇◆◇
ストロフ共和国の北にある街、ヒュードルフ。
ここにはドワーフの国と共和国を繋ぐ飛行船の発着場があった。
「ちょっと、お金ある?」
カリーナは、アイの目を見た。この中で、常に金銭管理をしているのは、几帳面なアイだけだった。
「全く……メイドに金を出させる姫って」
アイは、紐で閉じられた小袋を開くと、銀貨を二枚カリーナに渡した。
「ありがと」
カリーナはそれを御者に渡し、巨大な発着場を見上げた。
「久しぶりに来たわね」
停泊した、船というよりもはや城のような巨大な飛行船を見上げる。幼い頃に両親と乗った、優雅な空の旅の思い出が蘇った。
「懐かしいですね」
アイも、幼いカリーナと乗った穏やかな思い出を反芻していた。
「行くわよ、皆。ついてきて」
カリーナは、思い出を振り払うように先導し、飛行船の入場口に向かった。ちょうど入場が始まっており、一行は列に並んだ。
「申し訳ございません、お客様。ペットの入場口は別でして……」
列を整理していた男が、後ろに立つブルーをチラチラと見て、一行を止めてしまった。
「誰がペットだ」
ブルーは、男を鋭く睨みつけた。
「ペットだって……ペット」
後ろに並ぶブレイブは、必死に笑いを堪えていた。
ブルーは無言で、ドスッとブレイブの鳩尾に肘を入れた。
「ぐっ!」
ブレイブは、強烈な一撃を喰らい、その場で悶絶する。
「はぁ……」
アイは、そんな二人のやりとりを見て、呆れたため息を吐いた。
飛行船の中には、賭博場やレストラン、劇場などが設けられていて、空の旅を退屈させない工夫が凝らされていた。
「ブルー、リベンジしよう」
這いつくばっていたブレイブが、懲りずにブルーを誘う。
「……」
ブルーは顔を向かない。
「貴方達、お金を持っていないでしょうよ」
アイは、何を言っているんだこの人たちは、という軽蔑の目を向ける。
「心配するな、借りた」
ブレイブは、腕を組んで佇むサラマンダーを指差した。
「いいのですか?」
アイは、思わずサラマンダーに尋ねる。
「あの二人は、宿屋でもずっとコレだからな。旅の間、俺の睡眠を確保する為にも、これは必要な投資だ」
サラマンダーは腕を組み、冷静に理由を説明した。そして、賭博場へ向かう二人を静かに見送った。
飛行船がゆっくりと飛行を始め、地を離れた。
「あれ? 姫様は?」
アイは、カリーナの姿を見失っていた。
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