10 / 18
オリヴィエと異変
しおりを挟む
異変は、数値として現れていた。
魔素計器の針が、わずかに、だが確実に振れている。
「……やはり上がってる」
オリヴィエは、窓辺に設置された計器を見つめたまま、淡々と呟いた。公爵領に聳え立つ旧神殿のある森の方角。目視では何も見えない。風も穏やかで、鳥の声すら聞こえる。
――それでも。
魔素は嘘をつかない。魔導具はきっちりその仕事をしている。
ゆっくりと、だが継続的に上昇している。急激ではない。それに伴い、瘴気量も増えつつある。まだ危険視するほどの量ではないけれど、必ず闇の一族がいる証拠。
「吸血族……最後の1人か」
背後で、扉がノックされた。
「オリヴィエ」
聞き慣れた声に、オリヴィエの肩の力が抜ける。
「アーサー。いえ、アーサー殿下。どうなさいました?」
「いつも通りの呼び方で構わないよ、相棒。それより報告を受けたんだが」
彼は、いつものように穏やかな顔でそう言ったが、その目は鋭い。
「公子ですか」
「ああ。授業中でも気に入らないことがあると声を荒立てて、生徒だろうが教師だろうが暴力を振るうようになったらしい。他にも夜中に叫び声が聞こえたとか、使用人に掴みかかったとか……あと、人を殺めているらしい、とか」
「予想より、早いですね」
「まだ噂の域を出ないけど、以前より話が通じなくなっているようだ」
口調は淡々としているが、アーサーの声音にはわずかな緊張が滲んでいた。腕を組んだまま、ドアに寄りかかる。扉を閉めるようなことはしない。仮にも正式に婚約者がいるのだ。昔の婚約者の元に入り浸りなどという噂はいただけない。
オリヴィエは、計器から視線を外し、彼を見る。
「アーサー。ナターリエ様とお話はされましたか」
「……昨日、少し」
「それで?」
一瞬の沈黙。
「国を背負える、強い信念を持った人だよ」
オリヴィエは小さく息を吐く。
「彼女が折れなかったのは、幸いでした。もし、彼女が悪感情に呑まれていたら……この国は、今頃もっと不安定になっていたでしょう」
「君が言うと、説得力があるな」
「事実ですから」
そう答えながら、オリヴィエの脳裏には、ミラという名の“違和感”が浮かぶ。
学園に入り込んでいる、異物。
調べても調べても、出てこない。身元も、過去も、家系も、どこかが必ず途切れている。魔力の反応も、人間にしては過敏すぎる。だが、完全な人外とも言い切れない。
だけど、最近になって彼女も焦っているらしい。遠くから殺意を感じることが多くなった。捕食者の目を向けられている。対象が、私ならそれでいい。
「……狩りの前兆、かしら」
「吸血族?それとも魔人?」
「魔人ほど大胆な行動はとっていませんから、吸血族の可能性が高いです。ミラ嬢が200年前の吸血族の生き残りか、突然変異なのかは、まだわかりませんが……ただの人間でない事は確か。彼女、旧神殿に出入りしているようです。そして瘴気が最も深いのも旧神殿」
オリヴィエは、机の上に広げた地図を指で叩く。旧神殿。公国の歴史上、最も古い森の中心にあり、公爵邸宅からほど近い。古代歴史書では、勇者と聖女が召喚されたとされる神殿。今は朽ち果て、訪れるものもいないと聞いた。そこにミラが行き来しているとなれば。
「彼女は、エドワード公子を“眷属”にしようとして、魅了を使ったと私は見ています。けれど、それが思いのほかかかりすぎて、精神破綻を起こしてしまったのではないでしょうか。彼が使えない、となって焦りを見せている今、次は、より価値のある獲物を狙うでしょう」
アーサーが、ふと視線を逸らす。
「……私、か?」
「……いいえ。あなたは魔導具を常に身につけていて、魅了が効かない。それはこの数日でもうわかっている。それに、彼女はかなり慎重に事を進めて来ていたことから、今、帝国の皇子を手玉にとって帝国自体を敵に回すとは思えない。もっと脆弱で、魅了にかかりやすい存在か……あるいは、あなたを自由に使うために、弱みになる人間……」
「じゃあ、オリヴィエ。君か」
「私が魅了にかかりやすい脆弱な人間だと?」
「い、いや、そっちじゃない」
即答でオリヴィエを名指すアーサーに苦笑する。気がつくように、と一言添える。
「あるいは、ナターリエ様」
「彼女には私がそばにいる」
即座に答えるアーサーに、沈黙が落ちる。
――そうだ。アーサーが守るべき人間はナターリエ様ただ1人。私では、ない。少しだけ、心が軋む。
「……安心しました。ですから、私が動きます」
オリヴィエはアーサーから視線を外し、地図を見る。
「まだ、相手は自分が優位だと思っています。帝国が動いていることに気づいていない。だから今がチャンスです」
「私はどうすれば?」
「あなたは、ナターリエ様をが安全な場所で守ってください」
その言葉に、アーサーは微かに笑った。
「わかったよ。面倒なことは君に任せる」
オリヴィエは、笑って少しだけ目を伏せる。
「……私は、あなたを守る役目を離れました」
「何を。今でも、十分守られているよ」
「そうでしょうか」
オリヴィエは、窓の外を見る。
穏やかな学園。何も知らない学生たち。平和な日常。穏やかだった12年という年月を、守られていたのは、どちらだったのか。
だが、今、闇は蠢いている。その闇を追い続けたのはオリヴィエ。積年の念願を叶えるために、ここまできた。これは、オリヴィエの責任であり、使命。
「アーサー」
「うん」
「もし、私があなたを呼び寄せる“餌”として堕ちた場合」
彼女は、アーサーの目を見て淡々と続けた。
「躊躇なく、私を切ってください」
空気が凍る。
アーサーは、首を横に振った。
「くだらないな。君らしくない弱気な判断だ」
静かな声だった。
「君が自分を切り捨てる前提で動くなら、私がこの国を救う意味を見失う」
オリヴィエは、少しだけ驚いたように目を瞬いた。
「計画は単純だ。君はたとえ囮になろうと闇を切り裂き、最後の吸血鬼を叩き潰し、ナターリエ嬢は国の頂点に立ち、私は安全な場所で君に守られながら、その全てを見続ける。そして全ては、あるべき姿を保つ。どうだ、極めて単純だろう」
オリヴィエは、しばらく彼を見つめてから、吹き出した。
「……了解しました、殿下」
あなたのいる、その場所を守るために、私は戦いに挑みましょう。
魔素計器の針が、わずかに、だが確実に振れている。
「……やはり上がってる」
オリヴィエは、窓辺に設置された計器を見つめたまま、淡々と呟いた。公爵領に聳え立つ旧神殿のある森の方角。目視では何も見えない。風も穏やかで、鳥の声すら聞こえる。
――それでも。
魔素は嘘をつかない。魔導具はきっちりその仕事をしている。
ゆっくりと、だが継続的に上昇している。急激ではない。それに伴い、瘴気量も増えつつある。まだ危険視するほどの量ではないけれど、必ず闇の一族がいる証拠。
「吸血族……最後の1人か」
背後で、扉がノックされた。
「オリヴィエ」
聞き慣れた声に、オリヴィエの肩の力が抜ける。
「アーサー。いえ、アーサー殿下。どうなさいました?」
「いつも通りの呼び方で構わないよ、相棒。それより報告を受けたんだが」
彼は、いつものように穏やかな顔でそう言ったが、その目は鋭い。
「公子ですか」
「ああ。授業中でも気に入らないことがあると声を荒立てて、生徒だろうが教師だろうが暴力を振るうようになったらしい。他にも夜中に叫び声が聞こえたとか、使用人に掴みかかったとか……あと、人を殺めているらしい、とか」
「予想より、早いですね」
「まだ噂の域を出ないけど、以前より話が通じなくなっているようだ」
口調は淡々としているが、アーサーの声音にはわずかな緊張が滲んでいた。腕を組んだまま、ドアに寄りかかる。扉を閉めるようなことはしない。仮にも正式に婚約者がいるのだ。昔の婚約者の元に入り浸りなどという噂はいただけない。
オリヴィエは、計器から視線を外し、彼を見る。
「アーサー。ナターリエ様とお話はされましたか」
「……昨日、少し」
「それで?」
一瞬の沈黙。
「国を背負える、強い信念を持った人だよ」
オリヴィエは小さく息を吐く。
「彼女が折れなかったのは、幸いでした。もし、彼女が悪感情に呑まれていたら……この国は、今頃もっと不安定になっていたでしょう」
「君が言うと、説得力があるな」
「事実ですから」
そう答えながら、オリヴィエの脳裏には、ミラという名の“違和感”が浮かぶ。
学園に入り込んでいる、異物。
調べても調べても、出てこない。身元も、過去も、家系も、どこかが必ず途切れている。魔力の反応も、人間にしては過敏すぎる。だが、完全な人外とも言い切れない。
だけど、最近になって彼女も焦っているらしい。遠くから殺意を感じることが多くなった。捕食者の目を向けられている。対象が、私ならそれでいい。
「……狩りの前兆、かしら」
「吸血族?それとも魔人?」
「魔人ほど大胆な行動はとっていませんから、吸血族の可能性が高いです。ミラ嬢が200年前の吸血族の生き残りか、突然変異なのかは、まだわかりませんが……ただの人間でない事は確か。彼女、旧神殿に出入りしているようです。そして瘴気が最も深いのも旧神殿」
オリヴィエは、机の上に広げた地図を指で叩く。旧神殿。公国の歴史上、最も古い森の中心にあり、公爵邸宅からほど近い。古代歴史書では、勇者と聖女が召喚されたとされる神殿。今は朽ち果て、訪れるものもいないと聞いた。そこにミラが行き来しているとなれば。
「彼女は、エドワード公子を“眷属”にしようとして、魅了を使ったと私は見ています。けれど、それが思いのほかかかりすぎて、精神破綻を起こしてしまったのではないでしょうか。彼が使えない、となって焦りを見せている今、次は、より価値のある獲物を狙うでしょう」
アーサーが、ふと視線を逸らす。
「……私、か?」
「……いいえ。あなたは魔導具を常に身につけていて、魅了が効かない。それはこの数日でもうわかっている。それに、彼女はかなり慎重に事を進めて来ていたことから、今、帝国の皇子を手玉にとって帝国自体を敵に回すとは思えない。もっと脆弱で、魅了にかかりやすい存在か……あるいは、あなたを自由に使うために、弱みになる人間……」
「じゃあ、オリヴィエ。君か」
「私が魅了にかかりやすい脆弱な人間だと?」
「い、いや、そっちじゃない」
即答でオリヴィエを名指すアーサーに苦笑する。気がつくように、と一言添える。
「あるいは、ナターリエ様」
「彼女には私がそばにいる」
即座に答えるアーサーに、沈黙が落ちる。
――そうだ。アーサーが守るべき人間はナターリエ様ただ1人。私では、ない。少しだけ、心が軋む。
「……安心しました。ですから、私が動きます」
オリヴィエはアーサーから視線を外し、地図を見る。
「まだ、相手は自分が優位だと思っています。帝国が動いていることに気づいていない。だから今がチャンスです」
「私はどうすれば?」
「あなたは、ナターリエ様をが安全な場所で守ってください」
その言葉に、アーサーは微かに笑った。
「わかったよ。面倒なことは君に任せる」
オリヴィエは、笑って少しだけ目を伏せる。
「……私は、あなたを守る役目を離れました」
「何を。今でも、十分守られているよ」
「そうでしょうか」
オリヴィエは、窓の外を見る。
穏やかな学園。何も知らない学生たち。平和な日常。穏やかだった12年という年月を、守られていたのは、どちらだったのか。
だが、今、闇は蠢いている。その闇を追い続けたのはオリヴィエ。積年の念願を叶えるために、ここまできた。これは、オリヴィエの責任であり、使命。
「アーサー」
「うん」
「もし、私があなたを呼び寄せる“餌”として堕ちた場合」
彼女は、アーサーの目を見て淡々と続けた。
「躊躇なく、私を切ってください」
空気が凍る。
アーサーは、首を横に振った。
「くだらないな。君らしくない弱気な判断だ」
静かな声だった。
「君が自分を切り捨てる前提で動くなら、私がこの国を救う意味を見失う」
オリヴィエは、少しだけ驚いたように目を瞬いた。
「計画は単純だ。君はたとえ囮になろうと闇を切り裂き、最後の吸血鬼を叩き潰し、ナターリエ嬢は国の頂点に立ち、私は安全な場所で君に守られながら、その全てを見続ける。そして全ては、あるべき姿を保つ。どうだ、極めて単純だろう」
オリヴィエは、しばらく彼を見つめてから、吹き出した。
「……了解しました、殿下」
あなたのいる、その場所を守るために、私は戦いに挑みましょう。
3
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢だったわたくしが王太子になりました
波湖 真
恋愛
クローディアは十年ぶりに祖国の土を踏んだ。婚約者だったローレンス王子が王位を継承したことにより元々従兄弟同士の関係だったクローディアが王太子となったからだ。
十年前に日本という国から来たサオリと結婚する為にクローディアとの婚約を破棄したローレンスには子供がいなかった。
異世界トリップの婚約破棄ものの十年後の悪役令嬢クローディアの復讐と愛はどうなるのか!!
まだストックが無いので不定期に更新します
よろしくお願いします
(完)婚約破棄ですか? なぜ関係のない貴女がそれを言うのですか? それからそこの貴方は私の婚約者ではありません。
青空一夏
恋愛
グレイスは大商人リッチモンド家の娘である。アシュリー・バラノ侯爵はグレイスよりずっと年上で熊のように大きな体に顎髭が風格を添える騎士団長様。ベースはこの二人の恋物語です。
アシュリー・バラノ侯爵領は3年前から作物の不作続きで農民はすっかり疲弊していた。領民思いのアシュリー・バラノ侯爵の為にお金を融通したのがグレイスの父親である。ところがお金の返済日にアシュリー・バラノ侯爵は満額返せなかった。そこで娘の好みのタイプを知っていた父親はアシュリー・バラノ侯爵にある提案をするのだった。それはグレイスを妻に迎えることだった。
年上のアシュリー・バラノ侯爵のようなタイプが大好きなグレイスはこの婚約話をとても喜んだ。ところがその三日後のこと、一人の若い女性が怒鳴り込んできたのだ。
「あなたね? 私の愛おしい殿方を横からさらっていったのは・・・・・・婚約破棄です!」
そうしてさらには見知らぬ若者までやって来てグレイスに婚約破棄を告げるのだった。
ざまぁするつもりもないのにざまぁになってしまうコメディー。中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。途中からざまぁというより更生物語になってしまいました。
異なった登場人物視点から物語が展開していくスタイルです。
働きませんわ。それでも王妃になります
鷹 綾
恋愛
「私は働きませんわ」
そう宣言して、王太子から婚約破棄された公爵令嬢エルフィーナ。
社交もしない。慈善もしない。政務にも口を出さない。
“怠け者令嬢”と陰で囁かれる彼女を、王太子アレクシスは「王妃に相応しくない」と切り捨てた。
――だが彼は知らなかった。
彼女が動かないからこそ、王家は自力で立つことを覚えたのだということを。
エルフィーナは何もしない。
ただ保証を更新せず、支援を継続せず、静かに席を外すだけ。
その結果――
王家は自らの足で立つことを強いられ、王太子は“誰の力にも頼らない王”へと変わっていく。
やがて外圧が王国を揺らしたとき、彼は気づく。
支配でも依存でもなく、並んで立てる存在が誰だったのかを。
「君と並びたい」
差し出されたのは、甘い救済ではない。
対等という選択。
それでも彼女の答えは変わらない。
「私は働きませんわ」
働かない。
支配しない。
けれど、逃げもしない。
これは――
働かないまま王妃になる、公爵令嬢の静かなざまあ恋愛譚。
優雅で、合理的で、そしてどこまでも強い。
“何もしない”という最強の選択が、王国を変えていく。
【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。
秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」
「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」
「……え?」
あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。
「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」
「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」
そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。
【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。
やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。
落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。
毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。
様子がおかしい青年に気づく。
ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。
ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
最終話まで予約投稿済です。
次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。
ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。
楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。
なんでも思い通りにしないと気が済まない妹から逃げ出したい
木崎優
恋愛
「君には大変申し訳なく思っている」
私の婚約者はそう言って、心苦しそうに顔を歪めた。「私が悪いの」と言いながら瞳を潤ませている、私の妹アニエスの肩を抱きながら。
アニエスはいつだって私の前に立ちはだかった。
これまで何ひとつとして、私の思い通りになったことはない。すべてアニエスが決めて、両親はアニエスが言うことならと頷いた。
だからきっと、この婚約者の入れ替えも両親は快諾するのだろう。アニエスが決めたのなら間違いないからと。
もういい加減、妹から離れたい。
そう思った私は、魔術師の弟子ノエルに結婚を前提としたお付き合いを申し込んだ。互いに利のある契約として。
だけど弟子だと思ってたその人は実は魔術師で、しかも私を好きだったらしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる